はぴテク相談室:変化の多い時期における、親切な行為は7種類の幸福を予測する
はぴテクさん、実は今年から新しい職場に移ったんですけど、毎日なんとなく不安で、孤独感もあって…。環境に慣れるまで自分のメンタルケアをしっかりしなきゃとは思うんですが、なかなかうまくいかなくて。
それは大変でしたね。新しい環境って、生活リズムもアイデンティティも変わるから、ストレスがかかるのは自然なことなんですよ。実は最近、そういう「変化の多い時期」に何が助けになるかを調べた面白い研究があって、ちょっとご紹介してもいいですか?
ぜひ聞かせてください!自分を癒すためにいろいろ試してみたんですが、どうもしっくりこなくて。
カナダのサイモンフレーザー大学の研究なんですが、大学に入学したばかりの学生さんたち193人を対象に、6週間にわたって日記形式で調べた研究です。注目したのが「自分のケアより、周りの人に親切にすること」が幸福感にどう関係するか、という点でした。
え、自分のケアじゃなくて、周りへの親切ですか?なんか逆な気がしますね。
そうなんです、直感に反しますよね。でもこの研究では、自分の平均より多く「親切な行動」をした週は、幸福感・前向きな気持ち・楽観性・回復力が上がって、不安や孤独感が下がる、という関連が見られたんです。7種類の幸福指標すべてで良い方向に関連していました。
7種類も!具体的にどんな親切が調べられたんですか?なんか特別なことをしないといけないのかな…。
全然そんなことはないんですよ。研究で挙げられた行動リストを見ると、「バリスタに様子を尋ねる」「列に並んでいる人を先に行かせる」「授業のノートを共有する」「荷物を運ぶのを手伝う」「賞賛や賛辞を贈る」など、日常の中でできるちょっとしたことばかりなんです。
あ、それなら新しい職場でもできそう!同僚に「お疲れ様です」って声かけるとか、ちょっと手伝いを申し出るとか…でもそれって本当に自分の不安や孤独感に効くんでしょうか?
研究の結果では、そういった日常的な親切と不安・孤独感の低さとの間に関連が見られました。ただ、これは「親切にすれば必ず不安が消える」という因果関係を証明したものではなくて、あくまで関連が見られた、ということです。でも、変化の時期だからこそ意味があるかもしれないというのが研究者の見立てです。
なるほど。でもなんで変化の多い時期に特に効果的なんでしょう?
研究では明確なメカニズムまでは証明されていませんが、変化の時期は新しい人間関係が生まれやすい時でもありますよね。親切な行動が、その新しい環境での繋がりのきっかけになりやすいのかもしれません。また、「自分は誰かの役に立てた」という感覚が、不安定な時期の自己肯定感を支えることとも関連していると考えられます。
確かに、誰かに感謝されたりすると、ちょっと気持ちが明るくなりますよね。さっそく明日から、職場で小さな親切を意識してみようかな。
いいですね!「特別に頑張ろう」じゃなくて、「今日一つ、誰かのためにちょっとしたことをしてみよう」くらいの気持ちでいいと思いますよ。研究でも、量より「自分の普段よりちょっと多め」という点が鍵になっていたので、無理しすぎず続けることが大切そうです。
「自分の普段よりちょっと多め」か、それなら気軽にできますね。なんか、新しい視点をもらった気がします。ありがとうございます!
■ 今日のまとめ
- 変化の多い時期(転職・入学など)に、日常的な「ちょっとした親切行動」をいつもより少し多めに行うことと、幸福感・楽観性・回復力の高さ、不安・孤独感の低さとの関連が研究で確認されました。
- 「特別な行動」でなくてもOK。声をかける・手伝いを申し出る・感謝を伝えるなど、日常の中でできる小さな親切が対象です。
- ただしこれは「関連が見られた」という研究であり、「親切にすれば必ず幸福になる」という因果関係を証明したものではありません。自分のペースで無理なく続けることが大切です。
■ 出典・注意事項
- 【主な研究】Everyday acts of kindness predict greater well-being during the transition to university / Social and Personality Psychology Compass / 2024年5月27日 / Simon Fraser University / https://compass.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/spc3.12972
- 【関連研究】Titova, Milla & Sheldon, Kennon. (2021). Happiness comes from trying to make others feel good, rather than oneself. The Journal of Positive Psychology. 17. 1-15. / https://www.researchgate.net/publication/349922479
- 【注意事項】主な研究の対象は「大学入学期の学生(N=193)」に限定されており、転職など他の人生の転機や、異なる年齢・文化圏への一般化には限界があります。
- 【注意事項】本研究は日記形式の観察研究であり、親切行動と幸福感の『関連』を示したものです。親切行動が幸福感を『引き起こす』という因果関係を証明したものではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
変化の多い時期における、親切な行為は7種類の幸福を予測する
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-06-24-1719253843/