2024.06.13

はぴテク相談室:ハイブリッドな在宅勤務は、パフォーマンスを損なうことなく定着率を向上させる

相談者

最近、会社に毎日出社するのがつらくて…。上司に在宅勤務を提案したいんですが、「生産性が下がる」「チームワークが壊れる」って言われそうで、なかなか言い出せなくて困っています。

はぴテクさん
はぴテクさん

それはモヤモヤしますよね。実は2024年にNatureという権威ある科学誌に、その「生産性が下がる」という心配を正面から検証した研究が発表されたんです。中国のテクノロジー企業で1,600人以上を対象に、くじ引きのようなランダムな方法でグループを分けて比較した、かなり信頼性の高い実験なんですよ。

相談者

えっ、そんな研究があるんですね!どんな結果だったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

週に2日だけ在宅、残り3日は出社という「ハイブリッド勤務」を6ヶ月間試した結果、仕事の満足度が上がって、退職率がなんと3分の1に減ったんです。つまり会社を辞めようとする人がぐっと少なくなった、ということですね。

相談者

退職率が3分の1に!それはすごいですね。でも、生産性はやっぱり下がったんじゃないですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そこが面白いところで、成績の評価グレードも、エンジニアが書いたコードの行数も、ハイブリッド勤務をしたグループとそうでないグループで差がなかったんです。昇進の状況も同様でした。つまり「パフォーマンスを損なわずに、定着率と満足度が上がった」という結果なんです。

相談者

それは説得力がありますね…!上司も生産性のことを心配すると思うんですが、上司側の認識はどうだったんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

実はそれもこの研究で調べているんです。実験に参加した管理職395人に「ハイブリッド勤務は生産性にどう影響すると思うか」を聞いたら、実験前は平均でマイナス2.6%、つまり「少し下がる」と思っていたんです。でも実験後には「プラス1.0%」と、むしろ少しポジティブな評価に変わっていました。

相談者

管理職の方も、やってみたら印象が変わったんですね。ちなみに、効果が特に大きかった人たちってどんな人たちでしたか?

はぴテクさん
はぴテクさん

退職率の低下が特に大きかったのは、管理職ではない一般社員、女性の従業員、そして通勤時間が長い従業員でした。毎日長い時間かけて通勤している人ほど、在宅の日ができることへの恩恵が大きかったということでしょうね。

相談者

私も通勤が片道1時間以上あるので、それは納得感があります。でも週2日だけでそんなに効果があるんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。「完全在宅」じゃなくて週2日の在宅でも、これだけ変化があったというのがポイントですよね。ちなみに私がいろんな研究を見ていて感じるのは、フルリモート(週5日在宅)は逆に孤独感などで幸福度が下がりやすい、というパターンも報告されていることです。ただしこの論文自体には幸福度の記載はないので、あくまで別の研究からの話になりますが。

相談者

なるほど、週2日くらいのちょうどいいバランスが良さそうですね。上司に提案するとき、この研究を見せながら話せたら、少し説得しやすくなりそうです。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですね!「生産性が下がる」という上司の懸念に対して、「実際に実験で確かめた結果、差がなかった」というデータを示せるのは大きいですよね。ただ、この研究は中国のテクノロジー企業が対象なので、業種や職場の文化が違う場合は結果が同じになるとは限りません。あくまで「こういう研究があります」という形で話題のひとつとして共有する使い方がおすすめです。

相談者

分かりました。全部の職場に当てはまるわけではないけど、根拠のある話として話しやすくなりました。ありがとうございます!

■ 今日のまとめ

  • 週2日在宅・週3日出社の「ハイブリッド勤務」は、仕事の満足度を高め、退職率を3分の1に減少させることが、ランダム化比較試験(無作為に2グループに分けた実験)で示されました。
  • 成績評価・昇進・コード行数などのパフォーマンス指標に、ハイブリッド勤務グループとそうでないグループで差は見られませんでした。つまり「定着率UP・満足度UP・パフォーマンスは同等」という結果です。
  • 退職率の低下は特に一般社員・女性・通勤時間が長い人で大きく、また管理職の生産性評価も実験後にポジティブに変化しました。「完全在宅」でなくても、週2日という小さな変化で十分な効果が見られた点が注目ポイントです。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Nick Bloom et al., 'Hybrid working from home improves retention without damaging performance', Nature, 2024年6月12日. https://www.nature.com/articles/s41586-024-07500-2

  • 【注意事項①・対象集団の限界】この研究は中国の特定テクノロジー企業の大卒従業員1,612人を対象としたものです。業種・国・企業文化が異なる職場では、同じ結果が得られるとは限りません。

  • 【注意事項②・研究デザインについて】ランダム化比較試験(RCT)であるため、グループ間の比較は信頼性が高いですが、6ヶ月間の実験であり、長期的な効果については継続的な検証が必要です。

  • 【注意事項③・幸福度について】この論文自体には幸福度(ウェルビーイング)の測定結果は含まれていません。「フルリモートで幸福度が下がる」という言及は、この論文とは別の研究群に基づくものであり、本論文の知見ではありません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
ハイブリッドな在宅勤務は、パフォーマンスを損なうことなく定着率を向上させる
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-06-13-1718316007/

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