2024.05.23

はぴテク相談室:「ウェルビーイングとテクノロジーの関係性」を哲学する

相談者

最近「ウェルビーイング」って言葉をよく聞くんですけど、なんか流行り言葉みたいで正直ピンとこないんですよね。アプリとかテクノロジーで幸せになれるって言われても、なんか違う気がして…。

はぴテクさん
はぴテクさん

その違和感、すごく大事だと思いますよ!実は哲学者の七沢智樹先生も、まさにその点を論文の中で鋭く指摘されているんです。「ウェルビーイング=気分がいい状態」「体も心も社会的にも満足している状態」という使われ方は不十分だ、という批判から論文が始まるんです。

相談者

え、そうなんですか?でも健康で満足してたら幸せじゃないの?って思っちゃうんですが…。

はぴテクさん
はぴテクさん

わかります!でもこの論文では、そういう使い方を「手段としてのウェルビーイング」と呼んで問題にしているんです。たとえば「生産性を上げるために幸福にする」みたいな感じで、ウェルビーイングが何か別の目的のための道具になってしまっている、という批判ですね。

相談者

あー!なんか会社で「社員のウェルビーイング向上」とか言いながら、結局「もっと働かせるため」みたいな使われ方してる気がしてました。それってまさにそれですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭いですね、まさにそういうことです!論文では哲学の考え方を使って、ウェルビーイングを「人生の善さ」として捉え直すべきだと提案しています。哲学では「快楽説」「欲求充足説」「客観的リスト説」という三つの大きな考え方があって、それぞれ「気持ちいいこと」「自分が本当に望むことが叶うこと」「友情・知識・達成など、客観的に価値あることを持つこと」が幸せだという立場なんです。

相談者

なるほど…。じゃあテクノロジーやアプリって、その「人生の善さ」に本当に役立つんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

そこが論文の面白いところで、技術哲学の視点から丁寧に考えています。テクノロジーは単なる「道具」じゃなくて、使うことで私たちの経験や世界の見え方そのものを変えてしまう、という考え方を紹介しています。たとえばスマホで地図を見続けると、自分で道を覚える経験が変わってしまう、みたいなことですね。

相談者

確かに!最近、スマホなしだと何もできない気がして、それが逆にストレスになってたりします。テクノロジーに振り回されてるというか…。

はぴテクさん
はぴテクさん

その感覚、哲学的に言うととても本質的なんです。論文では「テクノロジーが人間の経験を媒介・変容させる」という点に着目して、だからこそテクノロジーとウェルビーイングの関係を無批判に「便利=いいこと」とは言えない、と述べています。テクノロジーがどんな経験をもたらすか、それが自分の「人生の善さ」につながっているかを問い直す必要がある、ということですね。

相談者

じゃあどうすればいいんでしょう?テクノロジーを全部やめるわけにもいかないし…。

はぴテクさん
はぴテクさん

論文でも「やめましょう」とは言っていないんですよ。むしろ具体的な実践として、テクノロジーを使うとき「これは自分にとって何が善いのかという問いとセットで使っているか」を意識することが大事だと提案しています。「このアプリを使うと気持ちいい」だけじゃなく、「これは自分が本当に大切にしたい人生に沿っているか」という問いを持つ、ということですね。

相談者

なんか、テクノロジーを使う前に一歩立ち止まって考えるってことですね。それなら今日からできそう!

はぴテクさん
はぴテクさん

そうです!論文全体を通じて言いたいのは、「ウェルビーイング」という言葉を流行りで消費するんじゃなく、「自分の人生にとって何が本当に善いのか」という哲学的な問いとしてじっくり向き合おう、ということだと思います。テクノロジーはその問いを助ける道具にもなれるし、逆に問いから遠ざける道具にもなりうる。どちらになるかは、使い方次第ということですね。

相談者

ウェルビーイングってなんか難しい言葉だと思ってたけど、「自分の人生にとって何が善いか」って言い換えると、すごく身近に感じられました。ありがとうございます!

■ 今日のまとめ

  • 「ウェルビーイング」を単なる「満足感」や「手段」として使うのは不十分で、「人生の善さとは何か」という哲学的な問いとして捉え直すことが大切だと論文は指摘しています。
  • テクノロジーは私たちの経験や世界の見え方を変えてしまう力があるため、「便利=ウェルビーイングに良い」とは単純に言えません。自分の人生の善さとの関係を問い直す視点が必要です。
  • テクノロジーを使うとき、「これは自分にとって本当に大切な人生に沿っているか」という問いをセットで持つことが、実践的なアプローチとして提案されています。

■ 出典・注意事項

  • 七沢智樹「『ウェルビーイングとテクノロジーの関係性』を哲学する -批判と具体的実践-」『情報処理』情報処理学会、2024年5月号 https://researchmap.jp/tnanasawa/published_papers/46561046

  • 本論文は哲学的・規範的な論考であり、実証的な因果関係を示す研究ではありません。紹介されている考え方は哲学的立場に基づく議論であり、特定の集団を対象にした統計的研究ではない点にご注意ください。

  • テクノロジーとウェルビーイングの関係については現在も多様な哲学的・実証的議論が続いており、本論文はその一つの立場を示すものです。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
「ウェルビーイングとテクノロジーの関係性」を哲学する
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-05-23-1716501621/

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