はぴテク相談室:準貧困層はウェルビーイングか?
最近、収入が少なくて将来が不安で…。友達と比べると自分は稼げていないし、幸せになれないのかなってずっと思っているんです。
それは不安になりますよね。実は、収入と幸福度の関係について、日本の面白い研究があるんです。今日はそれをもとにお話ししてみますね。少し気持ちが楽になるかもしれませんよ。
収入と幸福度の研究ですか?やっぱりお金持ちのほうが幸せって結果なんじゃないですか?
確かに、収入が高い層のほうが幸福度は高い、という結果ではあります。でも、注目すべきは「差の大きさ」なんです。この研究では、人々を大きく3つのグループに分けていて、世帯年収が高い「一般層」、その下の「準貧困層」、さらに下の「貧困層」という分け方をしています。幸福度の順番は一般層>準貧困層>貧困層なんですが、差が一番大きいのは一般層と準貧困層の間で、準貧困層と貧困層の間はあまり差がなかったんです。
へえ、それはちょっと意外ですね。準貧困層と貧困層はあまり変わらないってどういうことなんでしょう?
統計的な分析の結果、準貧困層と貧困層は「似たグループ」として扱えるくらい、幸福度の差が小さかったということなんです。逆に言うと、「一般層とそれ以外」というところに、大きな壁がある、という見え方になります。ちなみに準貧困層というのは、だいたい世帯年収250万〜500万円未満くらいのイメージで、実はかなり多くの家庭がここに入ります。
じゃあ、収入が低いと幸せになれないってこと…?落ち込んでしまいます。
ちょっと待ってください!もう少し見てみると、実は全体として一般層と貧困層の幸福度の差そのものは、思ったよりも大きくないんです。この研究で使われた「人生の階段」という指標(キャントリルのラダーといいます)で見ると、差はおよそ1点ちょっとくらい。日本とアメリカの国全体の平均の差と同じくらい、というイメージです。
それって、どのくらいの差なんですか?
たとえばフィンランドと日本の差は1.8〜1.9点くらいあると言われていますが、今回の貧困層と一般層の差はそれよりずっと小さい。つまり、「ちょっとやってみたいことを見つける」とか「日常の中で周りへの感謝が少し増える」といった小さな変化で、カバーできるくらいの差のスケール感、ということです。もちろんこれは平均の話で、お金のことで本当につらい思いをしている方がいることは研究者も認めていますが、平均値として見るとそこまで大きな差ではない、ということは確かです。
平均値としては、そんなに差がないんですね。それは少し気持ちが楽になりました。でも、じゃあ収入を上げることより、別のことを考えたほうがいいってこと?
この研究からは「だから収入を上げなくていい」とは言えないんです。相関(関係性)を見た研究なので、収入が原因で幸福度が決まる、とまでは断言できませんし、研究者も「準貧困層に固有のリスクをもっと調べる必要がある」と言っています。ただ、収入だけが幸福度のすべてではない、という視点は持てそうですよね。
そう言われると、確かに。収入が低い自分はダメだ、って思いすぎていたかもしれません。
そうなんです。この研究は、お金の多少だけで幸福度が大きく決まるわけではない、ということを数字で示してくれています。むしろ「一般層との壁」がどこから来るのか、準貧困層特有のリスクは何かをもっと調べることが大事だ、と研究者は言っているんですよね。今感じている不安や焦りも、収入以外のところにヒントがあるかもしれませんね。
なんか、収入だけで幸せが決まるわけじゃないって、データで見ると少し信じられる気がします。ありがとうございます。
よかったです!まとめると、収入と幸福度には関係があるけれど、その差は思ったより小さいこと、そして小さな日常の工夫が積み重なると、その差をカバーできるスケール感であること、これはデータが教えてくれていることです。自分を責めすぎず、日々の小さな楽しみや感謝を大切にしてみてくださいね。
■ 今日のまとめ
- 収入と幸福度には関係があるが、貧困層と一般層の幸福度の差は思ったより小さく、日常の小さな変化でカバーできるスケール感である(ただしあくまで平均値の話)。
- 幸福度の差が最も大きいのは一般層と準貧困層の間で、準貧困層と貧困層の間の差は統計的に小さく、両者は似たグループとして分析された。
- 収入だけが幸福度のすべてではなく、研究者も「準貧困層に固有のリスクのさらなる解明」が必要と述べており、収入以外の要因にも目を向けることが大切。
■ 出典・注意事項
- 出典:「準貧困層のウェルビーイングは平等なのか ─ 2018年社会階層とライフコース全国調査(SSL-2018)による分断の統計分析 ─」成蹊大学文学部紀要, 2024/5/19 http://repository.seikei.ac.jp/dspace/bitstream/10928/1692/1/bungaku-59_33-40.pdf
- 注意事項①:この研究は相関分析(関係性の分析)であり、収入が幸福度の原因であると因果関係を断定するものではありません。
- 注意事項②:調査対象は2018年に日本でランダムサンプリングされた1126人(有効回収率40.2%)であり、結果がすべての人・状況に当てはまるわけではありません。
- 注意事項③:幸福度は平均値で比較されており、個人差は大きい可能性があります。お金の問題で深刻な困難を抱えている方が一定数いることも研究内で言及されています。
研究自体の紹介はこちら😊
準貧困層はウェルビーイングか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-05-19-1716157805/