2024.05.19

はぴテク相談室:「お金の要らない社会」では幸福度が高くなるとの研究結果

相談者

最近、仕事でお金のことばかり考えていて、なんか虚しいなって感じています。もっと稼げば幸せになれると思って頑張ってきたんですけど、全然そんな気がしなくて…。お金と幸せって、本当に関係あるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

その感覚、すごく大事なことに気づいているんだと思いますよ。実はそのモヤモヤを直接テーマにした研究があるんです。マギル大学とバルセロナ自治大学のチームが2021年に発表した研究で、「お金がほとんど関係しない社会に暮らす人たちの幸福度」を調べたものなんです。

相談者

どんな人たちを調べたんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

バングラデシュの人々678人を対象に、比較的裕福な都市部と、物々交換が中心の漁村・離島などの暮らしをしている地域とで幸福度を比べました。聞き取り調査を数カ月かけて実施しています。ただ、対象者の約84%が男性で、これはイスラム教の文化的背景から女性へのインタビューが難しかったためなので、その点は結果を見るときに頭に置いておく必要があります。

相談者

で、結果はどうだったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

驚くことに、お金がほとんど介在しない漁村などに住む人たちの幸福度が、都市部よりも高かったんです。しかも、その数値が「幸福度世界トップレベル」と言われる北欧諸国の人たちに匹敵するくらいだったと。研究者たちは「経済成長が低所得者の幸福度を高める」という従来の前提を覆す結果だと述べています。

相談者

えっ、お金がなくてもそんなに幸せになれるんですか?その人たちって何で幸せを感じていたんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

面白いことに、幸せの「中身」が都市部と漁村部で違ったんです。お金があまり関係しない漁村部の人たちは「音楽を聴く」「リラックスする」「海辺を散歩する」といった自然や体験に関することで幸せを感じていました。一方、都市部の人たちは「親族と一緒に暮らす」といった社会的・経済的なつながりに幸せを見出すことが多かったんです。

相談者

確かに、私も休日に自然の中を散歩したときのほうが、給料日よりも満足感があったりする気がします(笑)。でも、情報社会に生きていると「もっと稼がないと」って思ってしまうんですよね。外からの情報って影響しないんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それも研究で調べていて、興味深い結果が出ています。以前の研究では「インターネットなどで豊かな国の情報を見ると、自分の生活と比べて幸福度が下がる」という傾向が示唆されていました。でも今回の調査では、そういった兆候は見られなかったそうです。ただ、これはあくまでこの調査対象の地域での結果なので、すべての状況に当てはまるとは言い切れません。

相談者

じゃあ、私みたいに情報に囲まれた都市に住んでいたら、幸せになるのは難しいってことなんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうとも言い切れないと思います。研究者のバリントン=リー教授は「安全で快適で、健全なコミュニティの中で自由に生活を楽しめる場合は、お金を稼いでいるかどうかに関わらず幸せなようだ」とコメントしています。つまり、お金そのものが幸不幸を決めているわけではなく、どんな体験や環境に自分を置いているかが関係している可能性を示しているんです。

相談者

なるほど。じゃあ今の自分の生活でできることって何かありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究の結果からヒントを探すとすると、「体験」に目を向けてみることかもしれません。漁村の人たちが幸せを感じていたのは、散歩・音楽・リラックスといったシンプルな体験でした。日常の中でお金をかけずに「ただそこにいる」「感じる」時間を少し意識してみるのも一つの選択肢ではないでしょうか。

相談者

確かに。最近そういう時間をどんどん削って、仕事に費やしてたかもしれません。目的と手段が逆転してたのかな。

はぴテクさん
はぴテクさん

その気づきはとても大事だと思います。この研究が示唆しているのは「経済成長=幸福」という方程式が必ずしも成り立つわけではないということです。お金は生活を支える手段の一つではあるけれど、それ自体が幸せのゴールではないかもしれない。あなたが「虚しい」と感じたのは、もしかするとそのズレに気づいていたからではないでしょうか。

■ 今日のまとめ

  • お金がほとんど介在しない社会(漁村・離島など)に暮らす人たちの幸福度が、都市部よりも高く、北欧諸国に匹敵するレベルだったことが研究で示されました。
  • 幸せの「中身」はお金の関わり方によって変わり、貨幣化が少ない地域では自然・体験的な活動(散歩・音楽・リラックス)が幸せの源泉になっていました。
  • 「経済成長が幸福度を上げる」という前提は必ずしも成り立たない可能性があり、安全・快適・自由なコミュニティの中での生活が幸福に関係している可能性が示されています。

■ 出典・注意事項

  • 【出典】Barrington-Leigh, C. et al. (2021). 'Happy without money: Minimally monetized societies can exhibit high subjective well-being.' PLOS ONE, 16(1): e0244569. https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0244569

  • 【注意①・対象の限界】調査対象はバングラデシュの678人(平均年齢37歳、男性83.6%)に限定されており、他の地域・文化・性別への一般化には慎重さが必要です。

  • 【注意②・因果ではなく相関】「お金が少ない→幸福度が高い」という因果関係が証明されたわけではなく、両者の間に関連が見られたという観察結果です。貨幣化の程度以外の要因(コミュニティの絆、自然環境など)が幸福度に影響している可能性もあります。

  • 【注意③・情報環境の影響】「ITインフラが幸福度に影響しない」という今回の結果は、この調査対象に限った知見であり、他の地域や文化では異なる結果が出る可能性があります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
「お金の要らない社会」では幸福度が高くなるとの研究結果
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-05-19-1716156007/

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