はぴテク相談室:先生の幸せには心理的柔軟性と、人生の意味が大事だよ〜
最近、仕事がしんどくて…。毎日やることが多すぎて、授業の準備も保護者対応も追いつかなくて。気づいたら仕事が嫌になってきたし、自分がちゃんとできてるのかも自信がなくて。どうしたらいいんでしょう…
それは本当につらいですね。実は先生のウェルビーイングについて、とても興味深い研究があるんです。トルコの先生554人を対象にした研究なんですが、「仕事のストレスが大きいと、仕事への満足度や仕事のパフォーマンスが下がり、心の苦しさが増えやすい」という関係が確認されたんです。あなたが感じていることと、ぴったり重なりませんか?
ぴったりすぎて逆に驚きました(笑)。でも、それってどうしようもないってことですかね…ストレスがある限り、ずっとしんどいまま?
いいえ、そこが研究の面白いところで!ストレスと「しんどさ」の間に、クッションのような役割を果たすものが2つ見つかったんです。それが「心理的柔軟性」と「人生の意味」です。この2つがあると、ストレスがあっても仕事の満足感やパフォーマンスへの影響が和らぎやすい、という結果が出ました。
「心理的柔軟性」って、なんかメンタルが強いってことですか?
少し違うんです。メンタルが強い=何でも耐えられる、ではなくて。「変えられないことはいったん受け入れて、変えられることには力を注ぐ」「そしてその2つをマインドフルに見分ける」…そんな心の使い方のことなんです。宇多田ヒカルさんの曲に「変えられないものを受け入れる力、そして受け入れられないものを変える力をちょうだいよ」という歌詞があるんですが、まさにそのイメージです😊
あ、なんかわかります!私って、「変えられないこと」にもずっとモヤモヤしてる気がします。保護者からのクレームとか、学校のルールとか…どうにもならないことに力を使いすぎてるかも。
そうかもしれませんね!ちなみにこの心理的柔軟性は、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)という考え方に基づいていて、6つの要素で育まれるとされています。①自分の価値観を明確にして、価値ある行動をとること、②今この瞬間に気づく(マインドフルネス)・受け入れること、③考えに飲み込まれずに少し距離を置くこと、などです。
「価値観を明確にする」って、どういうことですか?先生として何のために働いてるか、みたいな話ですか?
まさにそれです!そしてそれがもう一つのクッション、「人生の意味」にもつながってくるんです。研究では、「自分の仕事に意味を感じられているか」が、ストレスと心の苦しさの間を和らげる要因として出てきました。「子どもの成長を見たくて先生になった」とか「この子に届いた!と感じる瞬間が好き」とか、そういう感覚が自分の中にあるかどうかが大事みたいなんです。
確かに…追い詰められてると、そういう気持ちを全然思い出せなくなりますよね。「なんでこんなことしてるんだろう」ってなっちゃう。
そうなんです。そしてこの研究で重要な発見がもう一つあって、「ストレスが高くなりすぎると、この心理的柔軟性と人生の意味そのものも下がってしまう」という結果も出ているんです。だから、まずストレスを少し下げることも大事で。ストレスの原因を減らしたり、発散の方法を持ったりしながら、同時に柔軟性と意味を育てていく、という両輪が大切そうです。
じゃあ、何か一つだけ頑張ればいいわけじゃないんですね。ちょっと気が遠くなりますが…何から始めればいいんでしょう?
一気にやろうとしなくて大丈夫ですよ😊まず小さいところから。たとえば「今日、少しでも手を抜けることはないか」とストレスを減らすことを意識しつつ、1日の終わりに「今日、少しでも良かったと思えることは何だったか」を振り返るだけでも、意味への気づきにつながることがあります。心理的柔軟性も、「これは自分にはどうにもならないことだな」と気づいて手放す練習から始められます。
「どうにもならないことを手放す」か…難しそうだけど、やってみる価値はありそうです。なんか少し気持ちが楽になりました。ありがとうございます!
お役に立てて嬉しいです!研究はあくまでも「こういう傾向が見られた」というものですし、一人ひとりの状況は違います。でも「心理的柔軟性」と「人生の意味」を少しずつ意識してみることは、今のあなたにとってヒントになりそうですよね。焦らずゆっくり、自分のペースで試してみてください😊
■ 今日のまとめ
- 職業的ストレスが高まると、仕事の満足度・パフォーマンスが下がり、心の苦しさが増えやすい傾向が、先生を対象とした研究で確認されました。
- 「心理的柔軟性(変えられることと変えられないことを見分け、うまく付き合う力)」と「人生の意味(仕事への意味感)」が、ストレスと仕事・心の苦しさの関係を和らげるクッションになる可能性が示されています。
- ただし、ストレスが高すぎると心理的柔軟性や人生の意味そのものも低下しやすいため、ストレスを減らしながら、同時にこの2つを育てていく両輪のアプローチが重要そうです。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Mediating roles of meaning in life and psychological flexibility in the relationships between occupational stress and job satisfaction, job performance, and psychological distress in teachers. Frontiers in Psychology, 2024/5/3. https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2024.1349726/full
- 【注意事項①:研究デザイン】本研究は横断研究(ある時点のデータを一度に収集)であるため、ストレス・心理的柔軟性・人生の意味・仕事満足度などの間の「関連」は示されていますが、因果関係(どちらが原因でどちらが結果か)は確認されていません。
- 【注意事項②:対象集団の限界】対象はトルコの学校教師554人であり、日本や他の国・職種への一般化には限界があります。また便宜サンプリング(オンライン調査に応じた人のみ)であるため、回答者に偏りがある可能性があります。
- 【注意事項③:自己報告】すべてのデータが本人の自己報告式アンケートによるものであり、実際の職務パフォーマンスや客観的なストレス指標とは異なる場合があります。
研究自体の紹介はこちら😊
先生の幸せには心理的柔軟性と、人生の意味が大事だよ〜
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-05-06-1715032824/