2024.04.06

はぴテク相談室:日本の元祖幸せ経営

相談者

最近、仕事のやる気がどうしても出なくて…。給料はそれなりにもらってるんですが、何のために働いてるんだろうって思っちゃうんです。職場もなんか殺伐としてて、上司は数字の話しかしないし。はぴテクさん、何かヒントをもらえませんか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それは辛いですね。数字だけ追いかけていると、「自分はなんのためにここにいるんだろう」ってなりますよね。今日はそのヒントになりそうな話を持ってきました。京セラやKDDIを創業した稲盛和夫さんの経営哲学と、それを実際の会社に適用した事例の研究です。2024年に『稲盛和夫研究』という学術誌に掲載された論文なんですよ。

相談者

稲盛さんって聞いたことあります!でも経営の話って、社員の自分には関係ないかな…って思っちゃうんですが。

はぴテクさん
はぴテクさん

実はそこがポイントで、稲盛さんの考え方は「経営者だけが豊かになればいい」という発想とは全然違うんです。2014年にオックスフォード大学で講演したときにこう言っています。「すべての社員の物心両面の幸福を実現していくことに努める経営こそが、21世紀のグローバル社会にふさわしい経営だ」と。お金(物)だけじゃなく、心の満足も大切にするという考え方ですね。

相談者

「物心両面」ってすごい言葉ですね。でも、それって理想論じゃないですか?実際の職場でそんなことできるんでしょうか。

はぴテクさん
はぴテクさん

その疑問、すごく自然だと思います。だから研究者たちも実際の会社で検証しているんです。論文で紹介されているA社という会社では、「全員参加経営」というものを目指しました。その定義がユニークで、「理念実現と自分や仲間の幸せのために、一人ひとりが自らの役割を担い、目標達成に向けて積極的に参加するさま」と定めているんです。パートさんも含めた全員が主役、という考え方です。

相談者

「仲間の幸せのために」って、なんか響きますね。でも、どうやってそういう雰囲気を作るんですか?うちの職場には到底無理そうで…。

はぴテクさん
はぴテクさん

A社が実際にやったことをいくつか紹介しますね。「会社を好きになる」「経営理念を好きになる」「仲間意識」「褒める文化」「信頼関係」の5つを大切な要素として追求したんです。そのための具体的な取り組みとして、感謝を伝え合う「サンクスカード」の導入、仲間と交流する「コンパ・イベント」の実施、「表彰制度」、昇給・評価制度の見直しなどを実施しています。

相談者

サンクスカードって、お互いに「ありがとう」を書いて渡すやつですか?なんか照れくさそうですけど、効きそうな気もします(笑)

はぴテクさん
はぴテクさん

そうです(笑)。照れくさくても、「自分の仕事が誰かに届いている」と感じられることって、心の充実につながりやすいですよね。A社の事例では、こうした取り組みが「全員参加経営」の土台として機能したと報告されています。ただしこれはあくまでA社という一つの会社の事例研究なので、「どの職場でも同じ効果が出る」とは言い切れません。その点は押さえておいてください。

相談者

なるほど。でも私、一社員だし、制度を変えるとか無理で…。自分でできることって何かありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

いい視点ですね。研究が示しているのは、仕組みとして「褒める文化」「仲間意識」「信頼関係」が大切だということですが、個人レベルでも近いことはできます。たとえば、自分が誰かにちょっとした感謝を伝えること、同僚の良いところを言語化してみること。制度がなくても「サンクスカード的な行動」は自分から始められますよね。

相談者

確かに。私自身が「褒める文化」の起点になれるかもしれないですね。なんか、少し気持ちが楽になってきました。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは良かったです!稲盛さんの哲学の核にあるのは、「働くことと、自分や仲間が幸せになることは矛盾しない」という信念です。今すぐ職場全体を変えるのは難しくても、「自分の働く意味」を自分の中で育てていくことは今日からでもできますよね。A社のように組織全体で取り組めれば理想的ですが、まず自分の半径1メートルから試してみるのも一つの道だと思いますよ。

相談者

「半径1メートルから」、いい言葉ですね。今日はありがとうございました。少しやる気が戻ってきた気がします!

■ 今日のまとめ

  • 稲盛和夫の経営哲学は「物心両面の幸福」を掲げ、給料などの物質的満足だけでなく、心の充実も大切にすることを重視している
  • 実際の会社(A社)の事例では、「褒める文化」「仲間意識」「信頼関係」「全員参加」を意識的に育てる取り組みが全員参加経営の土台として機能したと報告されている
  • 制度がなくても、感謝を伝えるなど「半径1メートル」の行動から、職場の雰囲気づくりに自分が関わることはできる

■ 出典・注意事項

  • 出典:村上裕一「稲盛和夫の経営理念とアメーバ経営― その起源と現代的意義」『稲盛和夫研究』第3巻第1号, 89頁, 2024年4月 (J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/inamori/3/1/3_89/_pdf)

  • 注意事項①:本研究はA社という特定企業の事例研究および稲盛氏の講演・著作の分析であり、「この取り組みが幸福度を高める」という因果関係を実験的に証明したものではありません

  • 注意事項②:事例研究の性質上、A社での結果が他の業種・規模・文化的背景の職場にそのまま当てはまるとは限りません

  • 注意事項③:稲盛氏の言葉として引用されている内容は講演録をもとにしており、文脈によって解釈が異なる場合があります

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
日本の元祖幸せ経営
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-04-06-1712361606/

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