2024.04.02

はぴテク相談室:アジア3大思想:仏教、道教、儒教(制御的、自己啓発的)と心の平穏

相談者

最近、なんとなく心が落ち着かなくて…。友人から『仏教や道教の考え方が心に良いらしいよ』って聞いたんですが、実際どうなんでしょう?アジアの伝統的な思想って、心の平穏に本当に効果があるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それは気になりますよね!実はちょうどそのテーマを調べた研究があるんです。中国・日本・台湾・アジア系アメリカ人・白人アメリカ人、合わせて約2000人を対象に、仏教・道教・儒教という3つのアジアの思想が『心の平穏』にどう関連しているかを調べたものです。全体的に見ると、これらの思想はおおむね心の平穏と結びついていることが分かりました。

相談者

へえ、3つも思想が!それぞれどんな違いがあるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

簡単に言うと、道教は『自然の流れに逆らわず、あるがままに』という考え方、仏教は『悟りや慈悲、執着を手放す』という方向性、儒教は人間関係や礼儀を大切にしつつ、自分を磨いていくという思想です。面白いのは儒教で、大きく2つの側面があることが分かりました。ひとつは『制限的な部分』、もうひとつは『自己啓発的な部分』です。

相談者

儒教に2つの側面があるというのは、どういうことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

『制限的な部分』というのは、対人調和・礼儀正しさ・人間関係のヒエラルキー(上下関係)を守ること、といったイメージです。一方、『自己啓発的な部分』は、自己修養・率先垂範・人心掌握、つまり自分を磨いてリーダーシップを発揮するような方向性です。研究では、この2つが心の平穏に対して正反対の関連を示していたんですよ。

相談者

正反対?それはどういうことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

自己啓発的な儒教の考え方は心の平穏と正の関連、つまりプラスに働いていたのに対して、制限的な儒教の考え方は心の平穏を下げる方向に関連していたんです。『周りと波風を立てずに合わせなきゃ』『上下関係をきっちり守らなきゃ』というプレッシャーが、心の余裕を奪ってしまう可能性が示唆されているわけです。ただし、これはあくまで関連性を見た研究で、原因と結果を直接証明したものではない点はご注意ください。

相談者

なるほど…。たしかに『空気を読まなきゃ』『礼儀を崩せない』って感じているとき、すごく疲れます。日本人だと特にそういうプレッシャーが強そうですよね。日本人のデータはどうでしたか?

はぴテクさん
はぴテクさん

日本人のデータも出ていて、道教は心の平穏と正の関連がありました。儒教については、制限的な部分は平穏を減らす方向、自己啓発的な部分は平穏を高める方向と関連していたのは全体と同じ傾向です。仏教については、日本人サンプルではどちらとも言えない結果でした。5つの文化グループでそれぞれ少しずつ結果が異なるのが、この研究の興味深いところです。

相談者

道教の『あるがままに』という考え方が心の平穏と結びついているのは、なんとなくイメージできます。じゃあ、日常でどんなことを意識すると良さそうですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究の知見から言えることとして、たとえば『自分を磨くこと・成長すること』への意識は心の平穏と関連していたので、小さな自己成長の積み重ねを楽しむ感覚は大切かもしれません。また道教的に言えば、『すべてをコントロールしようとしない』『流れに乗ってみる』という姿勢も、心を落ち着ける方向に関連していたようです。反対に、『人間関係の上下関係に縛られすぎている』『常に周囲に合わせなきゃいけない』と感じているなら、そのプレッシャーがじわじわ心の余裕を削っている可能性もあります。

相談者

『周囲に合わせなきゃ』という感覚、まさに自分もあるかもしれないです。それを手放すのって難しそうですが…。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですよね、すぐには変えられないですよね。ただ、まずは『あ、今自分、周囲に合わせることで消耗しているな』と気づくだけでも違います。儒教の考え方でも、礼儀や調和を守ることと、自分を成長させることは別のものとして分けて考えることができます。制限的な縛りとして感じている部分と、自分が主体的に大切にしたいことを、少し切り離して考えてみると、心の余裕が生まれやすいかもしれませんよ。

相談者

なんか整理されてきました。仏教・道教・儒教という3つの思想が、単に『古い教え』じゃなくて、心の状態に実際に関連しているというデータがあるのは驚きでした。今日教えてもらったこと、少し意識してみます!

はぴテクさん
はぴテクさん

ぜひ!一つ補足しておくと、この研究は関連性を調べたもので、『この思想を持てば必ず心が穏やかになる』と断言できるものではありません。また、対象は特定の文化グループに限られているので、すべての人に同じように当てはまるわけでもないです。でも、自分の中にある『縛られている感覚』と『成長したい気持ち』を区別して見てみるって、思想の話に関係なく、心を整えるヒントになりそうですよね。

■ 今日のまとめ

  • 仏教・道教・儒教はいずれもおおむね心の平穏と正の関連があるが、儒教には『制限的な側面(対人調和・上下関係など)』と『自己啓発的な側面(自己修養・率先垂範など)』があり、前者は心の平穏を下げる方向、後者は高める方向に関連していた。
  • 道教的な『あるがままに流れに乗る』姿勢や、儒教の自己成長・自己修養の意識は、心の平穏と結びついている可能性がある。
  • 『周囲に合わせなければ』『上下関係を守らなければ』という縛られた感覚が心の余裕を奪っている場合、その感覚に気づくことが第一歩になりうる。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Kim, B. S. K. et al. (2024). From zen to stigma: Buddhism, Taoism, Confucianism, and their cross-cultural links to mental health. Journal of Counseling and Development, 2024(3). https://www.researchgate.net/publication/379261274

  • 注意事項①:本研究は思想的信念と心の平穏・スティグマとの『関連性』を分析したものであり、因果関係(原因と結果)を証明したものではありません。

  • 注意事項②:対象は中国・日本・台湾・アジア系アメリカ人・白人アメリカ人の特定グループであり、すべての文化・集団に結果が一般化できるわけではありません。

  • 注意事項③:文化グループごとに結果が異なる部分もあるため、日本人サンプルの傾向が他の集団にそのまま当てはまるとは限りません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
アジア3大思想:仏教、道教、儒教(制御的、自己啓発的)と心の平穏
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-04-02-1712098807/

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