2023.12.05

はぴテク相談室:アカデミアから見た人的資本経営

相談者

最近、会社で『人的資本経営』って言葉をよく聞くんですが、正直よく分からなくて…。自分の働き方やウェルビーイングと関係あるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

いい質問ですね!実は研究者たちも最近この『人的資本経営』をアカデミックな視点から整理し直しているところなんです。簡単に言うと、人的資本経営とは『従業員の活躍を通じて、会社の価値を中長期的に高めていく活動』と定義されています。つまり、あなたがいきいきと働けることが、会社にとっても大事だという考え方なんですよ。

相談者

へえ、従業員目線でも考えてくれているんですね。でも、なんか会社側の都合のいい話に聞こえてしまって…。

はぴテクさん
はぴテクさん

その感覚、すごく自然だと思います。この研究でも、人的資本経営を実現するには二つのことが必要だと整理されています。一つは『経営戦略と人事戦略をきちんと連動させること』、もう一つは『個人一人ひとりの力を組織全体の力としてまとめていくこと』です。つまり、会社のビジョンと個人の成長が噛み合って初めて機能する、というイメージですね。

相談者

なるほど。でも実際の職場では、そういうのってうまく機能していないことも多い気がして…。

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭いですね!実はこの研究でも、その二つを測る指標やプロセスがまだ明確になっていないことが課題として挙げられています。つまり、『やるべきこと』は分かってきたけど、『どうやって実現するか』の道筋はまだ研究途上なんです。現場で感じるモヤモヤは、学術的にもまだ答えが出ていない部分と重なっているんですよ。

相談者

じゃあ、研究者も実務家も手探りな状態ってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。この研究では、アカデミズム(研究者の世界)と実務家のギャップをきちんと認識して、互いに学び合うことでプロセスが明確になっていく可能性が指摘されています。逆に言えば、現場で働くあなたたちの経験や声も、この分野を発展させる上でとても大切なんですよ。

相談者

それは少し面白いですね。自分たちも研究に貢献できる、みたいな感じで。ところで、ウェルビーイングとの関係はどこに出てくるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

実はこの研究は直接『ウェルビーイング』という言葉は多用していないんですが、人的資本経営が目指すポイント——従業員がいきいきと活躍できる環境、個人の成長と組織の成長が連動する状態——は、ウェルビーイングが高い職場とかなり重なって見えます。研究者自身もそのことに気づいていて、人的資本経営はウェルビーイングに働ける企業像と近いと見ることができると述べています。

相談者

なるほど!でも、従業員がウェルビーイングな状態だと会社の業績が上がる、って言い切れるものなんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ここは大事なポイントで、正直に言いますね。この研究では、経営戦略と人事戦略の連動や、個人の力を組織力に束ねることが企業価値向上に結びつくと整理されていますが、因果関係(原因と結果の関係)を明確に示す指標やプロセスはまだ確立されていない、とも書かれています。つまり『関係がありそう』という段階であって、『必ずこうなる』とは言えない状況なんです。

相談者

正直に教えてもらえて助かります。じゃあ、自分が今の職場でできることって何かありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究の視点から考えると、まず自分が会社の方向性と自分のやりたいことが噛み合っているかを考えてみることが一歩になりそうです。経営戦略と個人の方向性がつながっているときに、個人の力が組織の力になりやすいと整理されているので。完璧に一致しなくても、どこかに接点を見つけられると、働く意味が感じやすくなるかもしれません。

相談者

会社全体の話だと思っていたけど、自分ごととして考えるヒントになりました。ありがとうございます!

はぴテクさん
はぴテクさん

嬉しいです!人的資本経営はまだ発展途上の分野ですが、だからこそ現場で働く人の視点がとても重要なんですよね。あなた自身の『どう働きたいか』という声も、この流れを作る一部になっていると思って、ぜひ日々の仕事に向き合ってみてください!

■ 今日のまとめ

  • 人的資本経営とは『従業員の活躍を通じて中長期的な企業価値を高める活動』であり、経営戦略と人事戦略の連動・個人の力を組織力に束ねることが必要とされています。
  • 人的資本経営が目指す姿は、ウェルビーイングに働ける職場環境と重なる部分が大きいと研究者は指摘しています。ただし、その因果関係を明確に示す指標やプロセスはまだ研究途上です。
  • アカデミズムと実務家が互いの知見を学び合うことで、人的資本経営の実現プロセスが明確になる可能性があり、現場の声も研究の発展に重要な役割を果たします。

■ 出典・注意事項

  • 砂原・千葉・西村『戦略的人的資源管理と人的資本経営:論点整理と今後の研究課題』東京都立大学ビジネススクール リサーチペーパー No.48(2023年12月)https://www.biz.tmu.ac.jp/wp-content/uploads/sites/9/2023/12/RP-48_Sunahara_Chiba_Nishimura.pdf

  • 【注意事項】本研究は論点整理・レビュー的な性格のリサーチペーパーであり、因果関係を実証したものではありません。経営戦略と人事戦略の連動が企業価値向上に結びつくことを示す指標・プロセスは、研究者自身が『まだ明確化されていない』と認めています。

  • 【注意事項】日本の人的資本経営の文脈を主な対象としており、他国・他文化の組織への直接的な適用には限界がある可能性があります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
アカデミアから見た人的資本経営
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-12-05-1701815763/

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