はぴテク相談室:ハーバードの世界幸福度(繁栄:Flouring)調査
最近、日本って幸せな国なのかな?ってふと思うんです。周りを見ていても、なんとなく将来に不安を感じている人が多い気がして…。
それ、すごく大事な問いですね。実は、ハーバード大学のHuman Flourishing Programが、22カ国・約20万人を対象にした大規模な幸福度(繁栄)調査を進めていて、その事前調査としてギャラップ社のデータを使った分析が2023年に発表されたんです。その結果が、まさにあなたの感覚を裏付けるようなデータを含んでいるんですよ。
へえ!どんな結果だったんですか?
日本は22カ国中で、「現在の人生評価」は12位とほぼ真ん中なんですが、「5年後の将来への期待」がなんと21位なんです。今はまあまあだけど、先が明るいとは思えない、という感覚が数字にも表れていますね。
やっぱり…。でも逆に良い部分はないんですか?
あるんですよ!日本が高順位(=良い結果)な項目もたくさんあって、「身体的な安全」は非常に高く、たとえば「夜間の一人歩きの安全」は2位、「金銭の盗難」「暴行を受ける」はなんと1位なんです。また「悲しみの少なさ」も1位、「心配の少なさ」も3位で、ネガティブな感情自体は比較的少ない国でもあります。
意外ですね!安全で、悲しみも少ないのに、将来への期待が低いって、なんか複雑な感じがします…。
鋭いですね。この調査でも指摘されているんですが、「繁栄(幸福)」の各領域の間にはトレードオフ、つまり一方が良くても別の一方が低いという関係が起きうる、と示されています。安全や平穏は確保されているけど、将来への希望や期待という別の軸では別の傾向がある、ということですね。
なるほど。他に気になったデータはありますか?
もう一つ気になるのが「敬意を持って扱われているか」という項目で、日本は22カ国中なんと最下位なんです。安全な環境に住んでいても、日常の中で尊重されている感覚が薄いというのは、じわじわと幸福感に影響するかもしれませんね。
それはちょっとショックですね…。職場や人間関係でそういう場面、確かに多い気がします。
そう感じる方は多いと思います。この調査ではさらに、「友人を作る機会」が19位、「生活水準の向上への期待」が20位など、人とのつながりや未来への展望に関する項目が低い傾向が見られます。一方で「笑っているか」は9位と悪くなく、日常の小さな楽しみはちゃんとある、という面も興味深いです。
じゃあ、南米やアフリカの国々は将来への期待が高いんですか?
はい、この調査でもそういう傾向が見られています。いわゆる「陽気な文化圏」とも言われる南米・アフリカの国々は、現在の生活水準が必ずしも高くなくても将来への期待が高い傾向があります。これは「繁栄の概念自体が文化によって異なる」というこの論文の大きなテーマにもつながっています。幸福は一つのものさしでは測れない、ということですね。
なるほど〜。この調査、これからどうなっていくんですか?
これが本当にすごくて、この20万人を年1回・5年間追いかける縦断調査になる予定なんです!一時点のスナップショットではなく、人々の幸福がどう変化していくかを長期で見ていけるので、将来的にはもっと深い知見が得られると期待されています。また、これまでの幸福度調査は欧米中心の視点や、GDPや平均寿命などの少数の指標に偏りがちだったという課題があったのですが、この研究はそれを超えようとしている点でも注目されています。
■ 今日のまとめ
- 日本は「安全」「悲しみの少なさ」など身体的・感情的な安定面では高評価だが、「将来への期待(5年後)」は22カ国中21位と非常に低く、将来展望の弱さが特徴的。
- 「敬意を持って扱われているか」が22カ国中最下位、「友人を作る機会」も19位など、人とのつながりや尊重される感覚に課題がある傾向が見られる。
- 幸福(繁栄)は一つのものさしでは測れず、安全・感情・つながり・将来への希望などの領域間にトレードオフが生じることがある。文化によって「繁栄」の捉え方自体も異なる。
■ 出典・注意事項
- 出典:Tyler J. VanderWeele et al., 「Beyond a Single Story: Heterogeneity of Human Flourishing in 22 Countries」, International Journal of Wellbeing (IJW), 2023/10/31. https://internationaljournalofwellbeing.org/index.php/ijow/article/view/3555
- 使用データ:2022年ギャラップ世界世論調査(GWP)。142カ国・142,601人が対象。本論文ではそのうちGlobal Flourishing Study対象の22カ国分を分析。
- 注意事項①:本データは横断的な調査(ある時点のスナップショット)であり、各項目間の関連は相関であって、因果関係を示すものではありません。
- 注意事項②:調査対象は22カ国に限定されており、日本を含む東アジア全体の傾向を代表するものではありません(中国・韓国などは対象外)。
- 注意事項③:ランキングはあくまで対象22カ国内での相対的な順位であり、世界全体での絶対的な評価ではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
ハーバードの世界幸福度(繁栄:Flouring)調査
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-11-07-1699394412/