2023.10.28

はぴテク相談室:クラウドファンディングと幸せ

相談者

最近、クラウドファンディングが気になっていて。面白そうなプロジェクトを見かけるんですけど、支援してみたら何か良いことあるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

いいところに気づきましたね!実はネブラスカ大学とノースウェスタン大学の研究チームが、クラウドファンディングの支援者がなぜ参加するのか、どんな気持ちを得ているのかを調べた研究があるんです。結論から言うと、支援する人は「間接的な成功体験」と「自分より大きな何かの一部になれる感覚」を得ている、ということがわかりました。

相談者

間接的な成功体験って、どういうことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

たとえば、あなたが音楽アルバムのプロジェクトを支援して、そのアルバムが無事に完成したとしますよね。そのとき、実際に音楽を作ったのはアーティストなんですが、支援者も「やった、成功した!」という感覚を味わえると研究者たちは述べています。制作の苦労や感情的なコストを経験していないのに、達成感だけを一緒に感じられる、というイメージです。

相談者

なるほど!じゃあ「自分より大きな何かの一部」というのは?

はぴテクさん
はぴテクさん

キャンペーンが成功すると、支援者は「このプロジェクトを実現させた集団の一員だ」という感覚を得られると報告されています。少額であっても、多くの支援者がそのプロジェクトへの所有者意識みたいなものを感じるそうです。ひとつの大きな波を、みんなで一緒に作り上げた、そんなイメージですね。

相談者

それは確かに気持ちよさそう!他にも支援者が感じる嬉しいことってあるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

もうひとつ面白いのが、「インサイダー感」です。支援者は制作の舞台裏情報、たとえばプロジェクトが遅れている理由とか、どんな課題に挑んでいるかといった情報を共有してもらえることが多いんです。一般の人よりも内側にいる感じ、「関係者っぽい」感覚が嬉しいと支援者たちは話しているそうです。

相談者

へえ、それは確かに特別感がありますね。でも、返礼品が遅れたりトラブルがあったら、もう支援したくなくなりますよね?

はぴテクさん
はぴテクさん

これも研究で調べられていて、興味深い結果が出ています。一度ネガティブな経験をしても、支援者はそれを「そのプロジェクト固有の問題」として捉えて、別のキャンペーンへの支援をやめるわけではないことが多かったそうです。ただし、似たような失敗体験が何度も重なると、支援をやめる可能性が高くなるかもしれない、とも研究は述べています。

相談者

じゃあ、最初は多少のトラブルがあっても続けられるんですね。あと、どんな人がよく支援するんでしょう?誰でも参加しやすいんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ここは少し気になるポイントでもあるんですが、研究によると支援者はウェブデザイナー、ファッションデザイナー、作家など、クリエイティブな分野で働く人たちに偏っている傾向があったそうです。そして社会的な課題に応えるプロジェクトよりも、自分個人の興味に合ったプロジェクトに寄付する傾向があるとわかりました。その結果、音楽・映画・ゲームなどのカテゴリーが資金を集めやすくなっています。

相談者

プラットフォームって「みんなで民主的に決める」みたいなイメージがありましたけど、そうでもないんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

研究者もまさにその点を指摘しています。「人々が選択できるという意味では民主的だけど、平等主義的ではない」という言葉が印象的でした。プラットフォームが「プロジェクト」「誓約」といった言葉を使って理想的なイメージを作り出しているけれど、実際には特定の層の人・特定のジャンルに資金が集まりやすい構造になっている、ということですね。

相談者

そういう背景を知った上で支援するのとしないのとでは、ちょっと見方が変わりそうです。でも、個人的には気になるプロジェクトを支援してみたくなってきました!

はぴテクさん
はぴテクさん

それはとても自然な気持ちだと思います!研究の知見をまとめると、クラウドファンディングへの支援は「代理成功体験」「大きな何かの一部になれる感覚」「インサイダー感」という、お金以外の嬉しさをもたらすことが示されています。社会的に意義があるからというよりも、シンプルに自分が面白いと感じるプロジェクトを選ぶのが、多くの支援者の自然な行動パターンでもあるので、気になったプロジェクトに飛び込んでみるのもいいかもしれませんよ。

■ 今日のまとめ

  • クラウドファンディングへの支援者は、プロジェクトが成功したときに「間接的な成功体験」と「自分より大きな何かの一部になれる感覚」を得られることが研究で示されている
  • 返礼品の遅延など一度のネガティブ体験があっても支援を続ける人は多いが、同様の失敗体験が繰り返されると支援をやめる可能性が高まるとも報告されている
  • 支援者はクリエイティブ職の人が多く、社会的ニーズよりも個人の興味に合ったプロジェクトを選ぶ傾向があり、プラットフォームは「民主的」でも「平等主義的」ではないと研究者は指摘している

■ 出典・注意事項

  • ■元論文:Maciел, Andre & Weinberger, Michelle『Crowdfunding as a Market-Fostering Gift System』Journal of Consumer Research, 2023/9/9 https://www.researchgate.net/publication/373818507_Crowdfunding_as_a_Market-Fostering_Gift_System

  • ■報道:Science Daily, 2023/10/23 https://www.sciencedaily.com/releases/2023/10/231024110542.htm

  • ■注意事項①:本研究は質的調査(インタビュー・ウェブサイト分析・実際の支援体験)に基づいており、大規模な量的調査ではないため、結果の一般化には限界があります

  • ■注意事項②:支援体験と幸福度の関連は相関・概念的示唆の段階であり、支援すれば必ず幸福度が上がるという因果関係が証明されたものではありません

  • ■注意事項③:支援者の属性傾向(クリエイティブ職が多い等)は調査対象のプラットフォーム・時期・地域に依存する可能性があります

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
クラウドファンディングと幸せ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-10-28-1698530404/

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