はぴテク相談室:香りと幸せ。
最近、なんとなく気分が上がらない日が続いていて…。アロマとか香りって、本当に気持ちに効くんですかね?なんとなく良さそうとは思うんですが、科学的な根拠があるのか気になって。
それは気になりますよね!実は「香りと幸せ」の関係を調べた研究があるんです。Bentleyさんたちの研究(Ambio, 2023)によると、自然の香りを嗅ぐことで、身体的な幸福感、感情的な幸福感、認知的な幸福感、精神的な幸福感、そして全体的な幸福感が高まることが示されているんです。
へえ!でも、なんで香りってそんなに気持ちに影響するんでしょう?
それがすごく面白いポイントで、香りって他の感覚とは脳への伝わり方が違うんです。視覚や聴覚は、まず「視床」という脳の中継地点を通るんですが、香りだけは直接、感情を処理する「扁桃体」と、記憶を作る「海馬」がある大脳辺縁系に届くんです。いわば感情や記憶の中枢に、ダイレクトアクセスしてくる感じです。
だから昔嗅いだ香りで、急に昔の記憶がよみがえったりするんですね!あれ不思議だなっていつも思ってました。
まさに!その「香りで記憶がよみがえる」現象、研究でも確認されていて、嗅覚に基づく記憶は引き起こされると強い感情反応を生むとされています。逆に言うと、コロナなどでにおいを感じられなくなった方(嗅覚障害)が、気分の落ち込みを経験しやすいという報告もあって、そこからも嗅覚と感情の深いつながりが見えてきます。
においが分からなくなると気持ちにも影響するんですね…。それは知らなかったです。では具体的にどんな香りが良いんでしょうか?
研究では特に「自然の香り」に注目しています。たとえば森を歩く「森林浴」の効果にも香りが関係しているとされていますし、梅の花やゼラニウムなど植物の香りの心理的・生理的な良い影響を報告している研究もあります。ただ、香りの好みや感じ方は人によって異なるので、「この香りが万人に効く」というより、自分が自然の中で心地よいと感じる香りを意識してみるのが大切かもしれません。
なるほど。ちなみに、お店とかでも香りを使っているところがありますよね?あれにも意味があるんでしょうか?
良い着眼点ですね!香りと記憶の結びつきを活用した実例として、介護施設が「ウェルビーイングアロマ」を開発して施設に導入したケースがあります。幸せな体験をしている場所に特定の香りが結びつくと、その香りが後で記憶を呼び起こすトリガーになりやすい、という嗅覚の特性を活かした取り組みです。来店型のお店でも同様の効果が期待できそうですよね。
確かに!好きなカフェの香りとか、嗅ぐと「あの場所だ」ってなりますもんね。じゃあ日常で香りをうまく取り入れるとしたら、どんなことができますか?
まず手軽なのは、自然の中を歩く時に意識的に香りを感じてみること。森や公園、花壇の近くなど、日常でも自然の香りに触れる機会は意外とあります。また、アロマを使うなら、自分が「心地いい」「好き」と感じる香りを選ぶのがポイントです。特定の香りと、リラックスできる時間や場所を組み合わせていくと、記憶との結びつきも育まれていきます。
意識的に香りを楽しむって、今まであまりしてこなかったかも。今日から散歩のときに少し意識してみます!
それ、すごくいいですね!研究でも香りと自然を組み合わせた多感覚体験が幸福感に関連していることが示されていますし、まずは「今日の公園はどんな香りがするかな?」と気にしてみるだけでも違ってくるかもしれません。ちなみに、同研究では今回の調査では社会的な幸福感への影響はあまり見られませんでしたが、別の研究では社会的なウェルビーイングにも良い関連があるという報告もあるので、香りの可能性はまだまだ研究が続いている分野でもあります。
香りってシンプルだけど奥が深いんですね。もっと日常で意識してみます。ありがとうございました!
こちらこそ!香りは手軽に日常に取り入れられる感覚のひとつです。研究ではまだ解明されていないことも多いですが、「自然の香りを意識する」というだけでも、幸福感と関連が見られている。そんなシンプルな知恵を日々の生活に役立ててみてください😊
■ 今日のまとめ
- 香りは視覚・聴覚などと異なり、感情を処理する扁桃体と記憶を担う海馬に直接届くため、感情や記憶と深く結びつきやすい特性があります。
- 自然の香りを嗅ぐことは、身体的・感情的・認知的・精神的・全体的な幸福感と関連があることが研究で示されています(社会的幸福感への影響は今回の研究では限定的でした)。
- 特定の場所や体験と香りを組み合わせると記憶に残りやすくなる可能性があり、日常の散歩やアロマで自分が心地よいと感じる自然の香りを意識的に取り入れることが、幸福感のヒントになりそうです。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Bentley, P.R., Fisher, J.C., Dallimer, M. et al. 'Nature, smells, and human wellbeing.' Ambio 52, 1–14 (2023). https://link.springer.com/article/10.1007/s13280-022-01760-w
- 【実例紹介】アライブ株式会社「アライブWell-beingアロマ」導入事例 https://www.alive-carehome.co.jp/news/17950(論文ではなく企業事例です)
- 【注意事項①】本研究は香りと幸福感の「関連」を示したものであり、香りが幸福感を直接「引き起こす(因果関係)」と断定するものではありません。
- 【注意事項②】研究の対象は主に森林環境における自然の香りであり、すべての香りやすべての人に同様の効果が見られるとは限りません。香りの好みや感じ方には個人差があります。
- 【注意事項③】社会的幸福感については、今回の研究では顕著な関連が見られませんでしたが、別研究では関連が報告されており、知見はまだ発展途上です。
研究自体の紹介はこちら😊
香りと幸せ。
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-07-12-1689205393/