2026.05.10
Beyond GDPの最新レポート
を、5/7に公開頂きました😊英語ですが。
「GDPは不平等や貧困を無視している。環境悪化も捉えていない。健康、教育、平和といった、金銭以外の幸福の側面を見落としている。」
– ノラ・ルスティグ、ハイレベル専門家グループ共同議長
GDPを補完して、超えていく、新しい人々と地球の進歩を測る羅針盤です😊
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柱となるのは、
①現在のウェルビーイング
そして今だけで終わるウェルビーイングではいけないので、
②サステナビリティ(持続可能性とレジリエンス)
そして一部の人だけがウェルビーイング、ではいけないので、
③公平性(エクイティ&インクルージョン)
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Beyond GDP
https://www.un.org/en/beyondGDP
今回発表のレポート直リンク(英語)↓
https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/high-level_expert_group_on_beyond_gdp_final_report.pdf
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プレスリリース
国連は、GDP以外の指標で進捗状況を測定するための新たなグローバルダッシュボードを提案した。
2026/5/7
https://www.un.org/sustainabledevelopment/blog/2026/05/press-release-united-nations-proposes-new-global-dashboard-to-measure-progress-beyond-gdp/?utm_source=chatgpt.com
■ 国連「Beyond GDP」報告書(2026年)の詳細
国連事務総長独立ハイレベル専門家グループによる報告書「Counting What Counts: A Compass of Progress for People and Planet」。Beyond GDP系の議論を整理する上での基準点になりうる文書。
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■ 1. 背景と問題意識
GDPは経済活動の指標として有用だが、それが「進歩」全体の代理指標として使われ続けてきたことへの問題提起から始まる。報告書はGDPを否定するのではなく、「単独で進歩を測る道具としては不十分」という立場を取る。
▼ 主な論点
・1980年から2025年の間に世界経済が縮小したのは2009年と2020年の2回だけにもかかわらず、不安・分断・環境危機は累積している
・AI・デジタル化により価値創造の構造そのもの(無形資産、ゼロ価格デジタルサービス等)が変容し、GDPの捕捉外が拡大している
・国境を越えた価値連鎖により、生産・収益・利益が異なる国に計上される
Stiglitz-Sen-Fitoussi報告書(2009)、Brundtland報告書、OECD Better Life、SDGsを前提とした上で、これらを国連の場で統合することを目指している。
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■ 2. 概念的フレームワーク
中核理念は「公平で、包摂的で、持続可能なウェルビーイング(equitable, inclusive, and sustainable well-being)」。構造は4層。
▼ (a) 基礎的原理(Foundational Principles)
国連憲章に基づく3原理。平和、人権、地球への敬意(planetary boundariesを含む)。これらは指標化しきれないため「指標+規範的コミットメント+制度的セーフガード」で補完するという設計。
▼ (b) 現在のウェルビーイング(Current Well-being)
8ドメイン
・物質的条件と仕事
・健康
・教育
・安全
・主観的ウェルビーイング
・社会的結束
・制度の質
・環境の質
▼ (c) 公平性と包摂(Equity & Inclusion)
横断的次元として、垂直的不平等(所得・富)と水平的不平等(集団間格差、特にジェンダー)の両方を扱う。Box 5でジェンダーは「普遍的に存在する水平的不平等」として特別扱い。
▼ (d) 持続可能性とレジリエンス(Sustainability & Resilience)
5資本アプローチ
・産出資本
・人的資本
・社会関係資本
・制度資本
・自然資本
Box 3が重要。「sustainability mirage(持続可能性の蜃気楼)」 ―― 自然資本の劣化が他資本の蓄積で見かけ上相殺される問題 ―― を避けるため、(1) プラネタリーバウンダリー指標、(2) 人間中心の環境質指標、(3) 自然資本指標、の3層構造を採る。
加えて「越境スピルオーバー」「個人/共同体/国家/地球レベルの入れ子構造」「制度・技術・イノベーションをenablerとして位置づける」という構造的特徴がある。
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■ 3. ダッシュボード:31指標
▼ 基礎的原理(5指標)
・平和:紛争関連死亡者数(人口10万あたり)
・人権:差別・嫌がらせを受けたと回答した人口割合
・人権:親密なパートナーからの暴力を受けた女性・少女の割合
・地球への敬意:温室効果ガス総排出量と一人あたり排出量
・地球への敬意:生物多様性インタクトネス指数
▼ 現在のウェルビーイング(14指標、8ドメイン)
・物質的条件と仕事:可処分所得
・物質的条件と仕事:労働力低利用率(LU4)
・物質的条件と仕事:無償ケア・家事労働時間
・健康:健康寿命
・健康:低出生体重児割合
・教育:読解・数学の最低習熟度達成割合
・教育:ICTスキル保有割合
・安全:故意の殺人
・安全:夜間の独り歩き安心感
・主観的ウェルビーイング:生活満足度(Cantril ladder)
・社会的結束:「昨日の大半で孤独を感じた」割合
・制度の質:公共サービス満足度
・環境の質:都市部のPM2.5濃度
・環境の質:安全な飲料水アクセス
▼ 公平性と包摂(6指標)
・富の不平等:富裕層上位1%の富シェア
・所得不平等:ジニ係数
・貧困:社会的貧困線(基準年固定)による貧困率
・仕事の包摂性:女性の男性比平均時給
・地域格差:全天候型道路から2km以内に住む農村人口割合
・重複した剥奪:多次元貧困指数(MPI)
▼ 持続可能性とレジリエンス(6指標)
・産出資本:純産出資本ストック
・人的資本:NEET割合
・人的資本:潜在損失生存年(PYLL)
・社会関係資本:一般的信頼(「ほとんどの人を信頼できる」と答えた人の割合)
・制度資本:公務員への信頼度
・自然資本:SEEAに基づく環境資産
▼ 設計上の特徴
・約半数がSDG指標から採用されており既存統計インフラを活用できる
・enablerは指標化しない(解釈可能性を優先)
・主観指標と客観指標を併用
・「進化する道具(evolving tool)」として位置づけられ、固定的なものではない
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■ 4. ヘッドライン集約指標
ダッシュボードは多次元性を捉える反面、コミュニケーション上は弱い。GDPの強みは「単一で比較可能」という点にある。これを踏まえ、「Well-being Beyond GDP」というルーブリックの下で限定数のヘッドライン指標を開発することを推奨。ただし、グループ内では特定の単一指標について合意に至っていない。
▼ 例示された2つの指標
・不平等調整後の一人あたり可処分所得:ジニ係数、Atkinson指数、上位1%所得シェア等で調整。データ可用性が高く即運用可能。
・多次元集約指数(Decerf, Fleurbaey, Graham, Lustig, 2026):可処分所得を不平等調整した上で、健康・環境質などの非貨幣的次元でさらに調整。健康については生命の価値推定文献が活用可能だが、他次元の選好ベース重み付けは未確立。
Box 6では集約の重み付けに関する3つのアプローチが整理されている。
・外生的重み(HDIなど。透明だが恣意的)
・専門家熟議ベース
・選好ベース規範的重み付け
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■ 5. 越境スピルオーバー
ある国の行動が他国のウェルビーイングに与える正負の影響を体系的に測る指標は現状欠落している。Center for Global DevelopmentのCommitment to Development Indexを参照点としつつ、低中所得国も含めた拡張を提言。
▼ 具体例
・ワクチン接種率
・抗菌薬使用
・サイバー活動
・調停関与
・オープンソースソフトウェア貢献
AIさんによる動画解説頂きました😊
https://youtu.be/40w3y0UzjVM
2026/3の報告会
https://www.facebook.com/groups/wellbeinginfo/permalink/2174996519977701/
●ここからのスケジュール
(a) 2025年9月から2026年3月:タスクチームによる、分野別ブリッジング表の作成に用いる優先指標の特定;
(b) 2025年9月から2026年1月:包括的かつ持続可能な福祉の枠組みのための章テンプレートの並行開発;
(c) 2026年1月:専門家グループが、タスクチームが各章を作成するために使用する章テンプレートに合意;
(d) 2026年3月:GDPを超えた指標に関するハイレベル専門家グループの最終報告書提出予定;
★いまここ★
(e) 2026年3月~6月:専門家グループがGDPを超えた指標に関するハイレベル専門家グループの成果及び総会での議論・結論との整合性を検討し、提案されたブリッジング表をGDPを超えた指標に関するハイレベル専門家グループ報告書で示された要件と比較;
(f) 2026年6月:専門家グループによる包括的かつ持続可能な福祉の枠組みの内容と設計の承認(タスクチームによる章草案作成を可能とするため);
(g) 2026年6月から2026年9月:フィードバックを反映したタスクチームによる章草案の作成;
(h) 2026年9月:専門家グループによる章草案の承認(グローバル協議のため)
(i) 2026年10月~11月:章草案に関するグローバル協議
(j) 2026年12月~2027年1月:章の最終改訂
(k) 2027年1月:専門家グループによる枠組み初版承認(統計委員会への提出のため)
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Report of the Expert Group on Well-being Measurement
https://docs.un.org/en/E/CN.3/2026/14