食事を共にすることは、所得向上と同じくらい幸福度の向上につながる
オックスフォードのヤン・エマニュエル・デ・ネーヴ先生らの最新研究😊
共食(食事を共にすること)が、いかに幸福度の向上につながるか。
2025年のワールドハピネスレポートにも掲載された、味の素さんとギャラップさんの共同調査を深掘りした内容。
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・世界142か国・15万人での調査によれば
・週当たりの共食回数は、ラテンアメリカが約9回でTOP、東アジアは最低水準。
・週1回多く共食すると、幸福度(キャントリルのラダー)が0.2pt向上。
→ということは、世界一位フィンランド7.76、日本6.13なので、週に+8回だれかとご飯を食べれば、幸福度世界一位になりますね。
・共食の幸福度への影響は、所得や失業に匹敵する。
・社会的接触機会が少ない人ほど、共食の効果が大きい。
・一方で、孤食(一人ご飯)の割合は、(少なくともアメリカでは)かなり増えてきている。
とのこと。
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うーん、誰かと一緒にご飯を食べること。の影響は思ったよりも大きいですね😊
同じ釜の飯を食う、のは、想像以上に大事。
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食事を共にすることは、幸福感の向上と関連している。
Sharing meals is associated with greater wellbeing
Jan-Emmanuel De Neve(オックスフォード大学), Andrew Dugan, Micah Kaats & Alberto Prati
scientific report,2026/4/22
[https://www.nature.com/articles/s41598-026-46771-9](https://www.nature.com/articles/s41598-026-46771-9)
社会的つながりは幸福の重要な要因であり、食事を共にすることはほぼ普遍的な習慣であるにもかかわらず、食事の共有と幸福の関係は十分に研究されていません。研究1では、142の国と地域で行われたギャラップ社の調査(2022~2023年)の新規データを用いて、食事の共有頻度を社会的つながりのグローバルな指標として用い、主観的幸福との関係を調査しました。その結果、世界のほぼすべての地域で有意な正の相関関係が見られました。食事の共有回数は、所得や失業率などの主要な社会経済指標と同程度に幸福の変動を説明していました。研究2では、米国時間利用調査(2003~2023年)のデータを用いて、米国における食事の共有の経時的な変化を記録しました。その結果、年を追うごとに、特に若い世代において、アメリカ人が一人で食事をする機会が増えていることが明確に示されました。日再構成法データを用いて、少なくとも1回は他の人と一緒に食事をしたアメリカ人は、その日の幸福度が高く、ストレス、痛み、悲しみのレベルが低いことを示しました。最後に、今後の研究における有望な方向性をいくつか指摘し、政策への影響について議論する。
欠乏の感覚の悪影響。
花咲かじいさんと幸せ😊
以前紹介した、味の素さんとギャラップさんの共同調査。
調理の幸せ、共食の幸せ、を調べて頂いています😊
https://www.facebook.com/groups/wellbeinginfo/permalink/1565328180944541/
【背景】
▼ 出発点:社会的つながりはウェルビーイングの最重要因子のひとつ
論文はまず「人とのつながり」が健康・幸福・繁栄を支えるという広範な知見から議論を始めます。
・社会的に結びついた人ほど、より幸福で、ストレスが少なく、人生満足度が高く、抑うつになりにくく、地域参加が多く、病気や障害を抱えにくい(Diener, Seligman, Choi, & Oishi 2018; Kawachi & Berkman 2014; Rodríguez-Pose & von Berlepsch 2014)
・健康面の効果として、社会統合が高い人は死亡率が低い(Barger 2013)
・所得と寿命の関連を扱った大規模研究でも、社会的要因は寿命格差の重要要素として議論されている(Chetty et al. 2016)
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▼ 仕事面でも社会的つながりは有利に働く
・社会的つながりが多い人ほど、創造的・協力的・信頼を得やすく、昇進しやすい(Tenney, Poole, & Diener 2016; Sözbilir 2018; Lauricella et al. 2022; Kansky 2017)
・主観的ウェルビーイング(SWB:Subjective Well-Being、自分で評価する幸福感のこと)の研究は、社会関係が職業的成果にも結びつくことを示している(Diener, Oishi, & Tay 2018)
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▼ 犯罪・所得・寿命への波及
・つながりが豊かな人は、犯罪に手を染めにくく、所得水準が高く、寿命も長い傾向がある(Diener & Chan 2011; Johnson et al. 2018; Robison & Siles 1999; Shen & Bian 2018)
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▼ 反対の極:孤立と孤独の害
論文は次に、社会的つながりの「不在」が招く悪影響を整理します。
・孤独や社会的孤立は、罹患率上昇、寿命短縮、SWB低下、犯罪率上昇、権威主義的傾向の高まりと関連する(Holt-Lunstad et al. 2015; Leigh-Hunt et al. 2017; Knapp 1976; Osborne et al. 2023; Roßteutscher 2010; Tung et al. 2019)
・著名なメタ分析(複数研究の統合解析)では、孤独・孤立による健康被害は「1日タバコ15本」に匹敵する規模と推定された(Holt-Lunstad et al. 2015)。米国公衆衛生長官(Surgeon General)の2023年勧告でもこの数字が引用されている(U.S. Department of Health and Human Services 2023)
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▼ 個人を超えた社会的便益
つながりは個人の幸福だけでなく、社会全体の機能にも寄与します。
・つながりが強い人ほど他者を信頼し、制度への信頼も高い(Glanville, Andersson, & Paxton 2013; Sønderskov & Dinesen 2016)
・寄付、政治参加、地域への誇り、ボランティア、見知らぬ他人への思いやりにもつながる(Brehm & Rahn 1997; Brown & Ferris 2007; Forrest & Kearns 2001; Austin & Baba 1990; Glanville, Paxton, & Wang 2016; McClurg 2003; Wang & Graddy 2008; Wilson & Musick 1998; Liang & Meng 2023; Lyubomirsky, King, & Diener 2005)
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▼ なぜ「食事を共にすること」を指標にするのか
ここで論文は、つながりの代理指標(プロキシ:直接測りにくい概念を、関連する観察可能な行動で測ること)として「共食頻度」を提案します。
・言語的・文化的にも食事と仲間意識は深く結びついている。フランス語の copain(友人)、イタリア語の compagno(仲間)はラテン語 cum+pānis(=パンを共にする)に由来する。中国語の「伙伴」も、もとは「火伴」(焚き火を囲む仲間=食事を共にする者)に由来する
・既存の「つながり」指標(例:孤独感、家族・友人との親密さの自己評価)はすべて主観評価であり、(1)主観指標どうしの相関は人為的に高くなる、(2)文化や時代を越えた比較が難しい、という限界がある
・これに対し「過去7日に何回食事を共にしたか」は具体的行動を問うため、回答バイアスを受けにくく、国際比較や経時比較に強い
・同様の発想で、「16歳時点で家にあった本の冊数」が親の文化資本(家庭の教育的・文化的背景)の代理指標として、世界不平等研究、OECDのPIAAC(国際成人力調査)、欧州復興開発銀行のLITS(Life in Transition Survey)などで広く使われている
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▼ 共食とウェルビーイングに関する既存の実証研究
これまでにも、食事を共にすることの効用を示す研究は少数ながら存在していました。
・青少年に関する系統的レビュー(複数研究を体系的にまとめた論文)では、家族と多く食事を共にする青少年ほど食習慣・栄養状態が良く、肥満・摂食障害が少なく、学業成績も高い(Glanz, Metcalfe, Folta, Brown, & Fiese 2021)
・実験研究では、共食はポジティブ感情を高めるが、食事中のスマートフォン使用がその効果を弱めることが示された(Dwyer, Kushlev, & Dunn 2018)
・中国の高齢者約9,000人を対象とした横断研究(ある時点で一斉に調べる調査)では、共食頻度が高い人ほど抑うつ症状が少なかった(Wang et al. 2016)
・ただしこれらは、対象が青少年・高齢者・特定国に限られており、世界規模で共食とウェルビーイングの関係を扱った研究は存在しなかった点が、本論文の出発点になる
【研究内容】
本論文は、2つの独立したスタディで構成されています。Study 1では世界142か国の横断データから「共食頻度とウェルビーイングの関係」を国際比較し、Study 2では米国の時系列データから「孤食率の20年間の推移」を解析します。
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▼ 研究の問い
・社会的つながりはウェルビーイング(主観的幸福、SWB)の重要因子だが、つながりの代理指標(直接測りにくい概念を観察可能な行動で測ること)としての「共食頻度」と幸福度の関係は、世界規模では未検証だった
・本研究は、(1)世界レベルで共食と幸福の関連は普遍的か、(2)米国で共食パターンは時間とともにどう変化したか、(3)その変化はウェルビーイングと関連するか、を問う
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■ Study 1:世界142か国・15万人を対象とした共食とウェルビーイングの関係
▼ データ
・Gallup World Poll(GWP)の2022年・2023年特別モジュールを使用。Ajinomoto社が出資した食事関連の特別質問が組み込まれた
・対象国は142か国・地域、回答者は約15万人。各国で無作為抽出による全国代表サンプル(国民全体を代表する標本)を使用
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▼ 主要な測定項目
・共食頻度:「過去7日間で、知人と一緒にランチを食べた日は何日ですか?」「同じく、ディナーは何日ですか?」の2問。両者の合計を「週あたり共食回数」とする(0〜14回)
・人生評価:Cantril Ladder(キャントリルのはしご:0=最悪の人生、10=最高の人生として現在地を答える尺度)
・ポジティブ感情:前日に「笑った/楽しんだ/興味深いことをした」のyes/no平均(0〜1)
・ネガティブ感情:前日に「心配/悲しみ/怒り」を感じたかのyes/no平均(0〜1)
・統制変数:性別、年齢、年齢の二乗、世帯規模、教育、所得五分位(国内で所得を5段階に分けたもの)、就労状況、食料を買えなかった経験(食の基本的ニーズが満たされているか)、国の固定効果(country fixed effects:国ごとの平均差を取り除く統計手法)
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▼ Study 1の結果(1):共食頻度の世界地図
・週あたりの共食回数は世界で大きく異なる。ラテンアメリカが平均約9回でトップ、南アジア・東アジアが最低水準
・国別の所得との相関は0.2と弱〜中程度で、所得は世界の共食格差のわずか4.6%しか説明しない
・どの地域でも若年層が高齢層より共食回数が多い。性差は一貫しない
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▼ Study 1の結果(2):共食と人生評価の正の関連
・国レベル:週1回多く共食すると、人生評価は平均0.2ポイント上昇。これはインフレ率1.5ポイント上昇に相当する幸福コストと同等(Di Tella, MacCulloch, & Oswald 2001 の換算による)
・個人レベル:週0回(全食事を一人)の人の人生評価は4.9、週1回でも共食する人は5.2と、0.3ポイント高い。この差は失業による幸福度低下(幸福研究で最も大きい効果のひとつ)の約半分にあたる
・共食頻度が増えるほど人生評価は緩やかな上昇トレンドを示す
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▼ Study 1の結果(3):多変量回帰でも頑健
・所得・教育・雇用・世帯規模など多数の変数を統制しても、ほぼすべての地域で「共食回数 → 人生評価・ポジティブ感情の上昇、ネガティブ感情の低下」という関係が残る
・関連の強さには地域差があり、北米・豪州・ニュージーランドで特に強い。一方、ラテンアメリカ・カリブは共食頻度自体は世界一高いが、ウェルビーイングへの寄与は相対的に小さい。東アジアは共食が少なく、共食とネガティブ感情の関連は強いが、人生評価・ポジティブ感情との関連は弱い
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▼ Study 1の結果(4):孤食ペナルティのU字パターン
・「孤食(過去7日間で共食ゼロ)」のウェルビーイング低下幅は、その地域の平均共食頻度と非線形に関係する
・3グループに分かれる
・共食が少ない地域(南アジア、東アジア、サブサハラアフリカ):孤食ペナルティは中程度
・共食がそれなりに多い地域(欧州、独立国家共同体、北米・豪州NZ、中東北アフリカ):孤食ペナルティが非常に大きい
・共食が極めて多い地域(ラテンアメリカ・カリブ、東南アジア):孤食ペナルティは中程度
・つまり「孤食」が突出した逸脱行動になる地域ほど、孤食者のウェルビーイング低下は大きい
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▼ Study 1の結果(5):共食の説明力は所得・失業に匹敵
・人生評価、ポジティブ感情、ネガティブ感情のそれぞれを、(1)共食頻度、(2)孤食ダミー、(3)所得五分位、(4)失業ダミーで個別に回帰し、決定係数R²(モデルが従属変数のばらつきをどれだけ説明できるかを示す指標、0〜1)を比較
・人生評価:共食頻度のR²は所得とほぼ同等で、失業より大きい
・ポジティブ感情:共食頻度のR²が最大で、所得・失業を上回る
・ネガティブ感情:所得が最大だが、共食頻度・孤食もそれに次ぐ
・含意:「先週何回共食したか」を聞くことは、「失業しているか」「所得層は何か」を聞くのと同じくらい(あるいはそれ以上に)幸福度を予測する
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▼ Study 1の結果(6):社会的接触機会が少ない人ほど共食の効果が大きい
・世帯規模別分析では、すべての世帯規模で「共食回数↑→ウェルビーイング↑」が成立。「これ以上は逆効果」となる閾値は見つからない
・ただし「単身世帯」と「複数人世帯」では関係の傾きが有意に異なり、単身世帯のほうが共食1回追加の便益が大きい(t検定でp=0.004, 0.047, 0.001, 0.017)
・複数人世帯どうしの間では有意差なし(p=0.331, 0.160, 0.215)
・失業者・独身者についても同様の傾向。日常的に人と接する機会が少ない人ほど、共食の効果が大きい