東京大学の公開講座、「人間の在り方、生き方」を公開頂いているのですが、
とても面白く、かつウェルビーイングにつながる話ばかりです😍
その内の一つ、「生物はなぜ老い、そして死ぬのか」を紹介します。
「なぜヒトだけが幸せになれないのか」を書かれた生物学の小林先生の講座😍
ー
生物は基本的に繁殖期が終了するタイミングで寿命を迎える。
繁殖期を過ぎても生き延びるのは、人間、シャチ、コビトイルカくらい。
人は、年齢とともに利己から利他に主軸がうつる。
そして、利他的なおばあちゃんによる子育てサポート(おばあちゃん仮説)、
利他的なおじいちゃんによる利他的なリーダーシップ(おじいちゃん仮説)
によって、集団の生存確率が引き上げられてきた。
老いと死は、生物として完璧な設計である。
ーーー
【生物はなぜ老い、そして死ぬのか】小林 武彦_第141回(2025年秋季)東京大学公開講座「人間の在り方、生き方」
2026/4/15
https://www.youtube.com/watch?v=s5wDD_cqU14
「死」の起源を遡ると生物が誕生する前の段階まで行き着きます。矛盾するように聞こえますが、「死」は生物の「誕生」から関わっていたようです。一方「死」の前に訪れる「老い」については、「死」に比べるとかなり最近に現れた、しかもヒト特有のもののようです。 本講座では「老い」と「死」の意味について生物学的な視点から考えてみます。
講師:小林 武彦 (東京大学定量生命科学研究所 教授)
ーーー
第141回(2025年秋季)東京大学公開講座「人間の在り方、生き方」シリーズ
東大TV
https://tv.he.u-tokyo.ac.jp/course_12174/
個人の生き方は法でどこまで尊重されるか | 米村滋人
花する人間 | 中島 隆博
生物はなぜ老い、そして死ぬのか | 小林 武彦
ただあるということ―東洋的な価値の再考 | 高橋 美保
生物はなぜ老い、そして死ぬのか 進化生物学が解き明かす、「死」と「老い」の本当の意味 東京大学 定量生命科学研究所 小林武彦教授の講義より再構成 Notebok4U 完璧な設計 進化は数億年をかけて、眼、手、感覚器など、複く且つ複雑なシステムを創り出した。 RNA RNA 不条理な結末 にもかかわらず、これほど見事な生命が、なぜかわざと自ら亡き「不老不死」を選択しなかったのはなぜか? 卵母細胞の約6000の遺伝子を調べると、驚くべき実装が明ける。その中で2000以上の遺伝子では、「播子」(細胞を含む)と呼ばれるのである一つの遺伝子からは実装すべき形態があり、その多くは「不老化するため」の選択子場が組み込まれている。 Notebook4U 死の多様性と絶対的普遍性 プログラムされた死(寿命) カブトムシ:8月末に一斉に寿命を迎え カカロウ:成虫は口や消化器官もなく、 数十時間で寿命を迎える。 限界による死(不死身の錯覚) プラナリア:100等分しても再生するが、 水温25度を超えると死ぬ。 クマムシ:極限環境に耐えるが通常環境 ではない月で寿命を迎える。 捕食・外部要因による死 野生のネズミ:寿命は2年だが1年以内 に捕食される。 マグロ:5000万個の卵から成魚になるのは わずか数十匹。 衰弱・病気による死 入間、大型哺乳類:自力で採食できない ことになると機能不全、 病気や老化により死。 死の「理由」は多様だが、死なない生物は存在しない。すべての生命は必ず死ぬ。 🔔 NotebookAI 生物最大の謎:「死」の正体 メカニズム(HOW) 生物は「どうやって」死ぬのか?寿命を決定づける生理学的・遺伝学的な引き金は何か。 存在意義(WHY) なぜ「死」が存在するのか?進化の歴史において、死が果たしてきた究極の役割は何か。 NotebookAI 寿命と「DNAの壊れやすさ」の逆相関(Nature誌論文より) ハツカネズミ 寿命:約2年 損傷箇所:年約800箇所(壊れやすい) 人間 寿命:約80+年 損傷箇所:年約60箇所(壊れにくい) メカニズムの正体は「ゲノム(DNA)の壊れ」。DNAが壊れにくい生物ほど長生きする。細胞内のDNA修復機能がこそが寿命の長さを決定している。 限界寿命(年) DNA の修復能力(正常に修復される割合) RNA Notebook4M 寿命を裏付ける医学的証拠 正常なDNA修復遺伝子 | 修復遺伝子の変異(ウェルナー症候群など) 傷ついたDNAを修復し、限界寿命(約80~100年)まで生命を継持。 | 患者期以降に急速な老化症状が現れ、平均死亡年齢は50歳以下に極端に短縮される。 DNAの傷を直す遺伝子が変異すると、寿命は極端に縮む。 生と死の境界線は、「修復」と「破壊」のバランスの上にある。 38億年前のタイムトラベル:「なぜ」死は誕生したのか? 3.8 Billion Year Time Travel: "Why" Was Death Born? 1 RNAの自己複製 海底の熱水噴出口で誕生した最初の生命の種(RNA)は、自らのコピーを作り始めた。 2 材料の枯渇と停滞 もし「壊れないRNA」が材料を独占して増殖し続ければ、新しい形質の変化(進化)は完全にストップする。 3 最初の「死」と進化の始まり 古いRNAが崩壊(=最初の死)することで、材料が解放され、機械の変更によるサイクルが定期した。 CYCLE RESTART / NEW DIVERSITY 「死ぬ(壊れる)」システムだけが変化をもみ出し、過酷な環境を生き残った。 私たちは、元々ダンゴル情報の崩壊から始まった。 • 個体にとって、「死」は1ミリの利益もないい不条理なものである。 "最初から死ぬようにデザインされている。 死があるからこそ進化でき、 私たちが存在する。" • しかし、種全体という長い目で見ると、過去の無数の「死(世代)(世代交代)」があったおかげで環境に適応し、現在の私たちの「生」が存在する。 • 結論:死とは、未来へ命を繋ぐためにプログラムされた、究極の利他的行為である。 RNA RNA Notebook4M 第2の謎:視点の転換「人間の老い」 100% 75% 50% 25% 0% 0 20 40 60 80 100 120 生存率 (0%~100%) 年齢(0~120歳) 1947年(感染症等による全年代での直線的死亡) 現在(限界寿命付近での急降下) 最大限界寿命の壁 平均寿命は延びたが、限界寿命自体は伸びていない(世界で115歳を超えた記録は歴史上74人のみ)。 RNA グラフが直角に近づいた結果、私たちは限界寿命にぶつかるまでの間に「長く老いる期間」を持つようになった。 NoteBookAI 「老い」は野生動物には存在しない 51種類の野生動物を調査した結果、繁殖期(メスの閉経)を終えた後に長く生きる生物はわずか3種類のみだった。 一般的な野生動物(チンパンジー、ゴリラ等) 特徴:生涯現役 寿命:繁殖期が終了する40代後半~50代のそのまま寿命となる。老後は存在しない。 例外の3種(シャチ、コビトイルカ、人間) 特徴:長い老後の存在 人間の寿命:閉経後も数十年生き続け、限界寿命は115歳に達する。 「老い(生殖能力)を失った後の長い生)」は哺乳類全体で見ても極めて異常であり、人類が進化の過程で「後から獲得した」特有の形質である。 「老い」を獲得した進化の連鎖(700万年前~) 直立二足歩行 と火の使用 「裸の猿」へ 体毛の喪失 常時抱っこ が必須 赤ちゃんが毛に しがみつけない 単独子育て が不可能 母親一人での保育が 物理的に限界へ 集団での 共同保育 種の存続の 必須条件となる RNA RNA NotebooklAI シニアの存在が、集団の生存確率を引き上げた 長寿遺伝子の継承(Evolutionary Survival) おばあちゃん仮説 (子育てのサポート) おじいちゃん仮説 (知識の継承と調停) 繁殖を終えた生長女性が 子育てで強力にサポート。 これにより、母親は双の出産に 早く移行でき、集団は「多産」 を実現して繁栄した。 マニュアルなき時代における 「環境の知識(狩りや採集)」の継承、 また、集団最大の危機である 「仲間割れ」を調停する リーダーシップと判他性を発揮。 身体能力が衰えても、年配者がいる集団の方が進化的に有利 (生存確率が高かった) ため、長寿遺伝子が人類に残された。 RNA (文字なし) Notebook4M 利己から利他への意識のシフト 若年期:利己(Egoism)のフェーズ 重値の失性 自分の力で生き抜き、繁殖し、 自らの遺伝子を残すために リソースを集中させる期間。 老年期:利他(Altruism)のフェーズ 意識と転性 衰えを契機として、協力・協調・ 経験に基づく集団貢献へと 意識がシフトする期間。 年齢軸(Age Axis) Key Insight Message 「老いとは単なる衰弱ではなく、自らの身体的限界を受け入れることで、 集団全体を利する精神性ヘと機能が切り替わる「ポジティブなメカニズム」である。 RNA Notebook