㉚主観的幸福感における余暇の重要性
ウェルビーイングハンドブック_第五章:ライフ
毎日読めばウェルビーイングの基礎が分かる、ウェルビーイング・ハンドブック紹介シリーズ、第五章😊
昨日が仕事でしたので、今回は余暇(レジャー)😊
余暇で幸福度を高めるには、↓のDRAMMAフレームワーク❗
① 脱タッチメント・回復(Detachment-Recovery)
② 自律性(Autonomy)
③ 熟達感・マスタリー(Mastery)
④ 意味(Meaning)
⑤ 社会的つながり(Affiliation)
しかし、それを満たさないTV視聴(今はネットになりつつありますね)で時間を半分くらい使ってしまっている。・・
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■ 余暇と主観的幸福感:なぜ「自由な時間の使い方」が幸せを左右するのか Kuykendall, Boemerman, & Zhu(2018)
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▼ そもそも「余暇」って何?
余暇(レジャー)の定義には2つのアプローチがあります。
・残余定義:仕事や義務以外の時間すべてを余暇とみなす考え方
・経験定義:自由に選択でき、内発的に動機づけられた(=やりたいからやる)活動を余暇とみなす考え方
また、研究では「余暇への参加(どれくらい余暇活動をするか)」と「余暇満足度(余暇からどれほど満足を得ているか)」を区別して扱います。
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▼ 余暇はなぜ幸福感に影響するの?
「ボトムアップモデル」という考え方がベースになっています。これは、人生全体への満足感は、仕事・家族・余暇といった各ライフドメイン(生活領域)の満足度の積み重ねによって形成されるという理論です。
重要なのは、余暇への参加そのものより、余暇満足度の方が幸福感により直接影響するという点です(Kuykendall et al., 2015)。
つまり「何時間余暇を過ごすか」より「その時間がどれだけ充実していたか」の方が大事ということです。
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▼ 余暇の効果は「どれだけ余暇を大切にしているか」で変わる?
直感的には「余暇を重視する人ほど、余暇満足度が幸福感に強く影響するはず」と思えますが、研究結果は意外なものでした。
・余暇をあまり重視していない人でも、余暇満足度は幸福感に有意に影響していた(Kuykendall et al., 2017)
なぜか?その可能性として、余暇は仕事や家族では得にくい「休息」や「自律性」といった独自の恩恵を与えてくれるため、本人が気づいていなくても幸福感を支えている可能性があると論文は指摘しています。
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▼ ライフステージや文化による違いは?
・退職者は労働者より、余暇満足度が幸福感に強く影響する(Kuykendall et al., 2015)
・ただし、労働者でも余暇満足度と幸福感の関係は有意であり続ける
・文化的価値観(ヨーロッパ vs アメリカなど)による差は、メタ分析では明確には確認されなかった(Kuykendall et al., 2015)
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▼ 幸福感を高める余暇の「中身」:DRAMMAモデル
幸福感を高めるのは「何となく過ごす余暇」ではなく、心理的ニーズを満たす余暇です。Newman, Tay, & Diener(2014)は、余暇が幸福感を高めるメカニズムとして「DRAMMAモデル」を提唱しました。
▼▼ ① 脱タッチメント・回復(Detachment-Recovery)
仕事のことを考えず、精神的にリセットすること。スマートフォンで仕事メールを確認し続けると、この回復が妨げられます(Derks et al., 2014)。介入研究では、脱タッチメントを促す方法を学ぶトレーニングが否定的感情を減らすことが示されています(Hahn et al., 2011)。
▼▼ ② 自律性(Autonomy)
「自分がやりたいからやっている」という感覚。余暇は仕事より自由度が高いため、自律性を感じやすい場です(Graef et al., 1983)。
▼▼ ③ 熟達感・マスタリー(Mastery)
スキルを使ったり、新しいことを学んだりする充実感。「シリアスレジャー(serious leisure)」と呼ばれる、趣味や奉仕活動に真剣に取り組むことが、人生満足度と関連することが複数の研究で示されています(Stebbins, 1992)。
▼▼ ④ 意味(Meaning)
余暇を通じて人生の意義や目的を感じること。アイデンティティの形成、創造的表現、自然や他者とのつながりなどが意味づけに寄与します(Iwasaki, 2008)。
▼▼ ⑤ 社会的つながり(Affiliation)
他者と関わる余暇は幸福感と一貫して正の関連があります(Sonnentag, 2001; Fritz & Sonnentag, 2005)。
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▼ 「補償的」余暇の重要性
仕事や家族生活で満たされないニーズを、余暇で補うことも幸福感の維持に重要です。
・仕事と自分の興味が合っていない人ほど、余暇活動の恩恵が大きい(Melamed et al., 1995)
・職場の価値観が自分と合わない人でも、余暇参加がその悪影響を和らげる(Vogel et al., 2016)
・仕事で自分でやれることが少ない週ほど、余暇を主体的に工夫することが幸福感と強く結びつく(Petrou & Bakker, 2016)
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▼ 現実の問題:人は余暇を有効活用できていない
アメリカの時間使用調査によると、自由時間の50%以上がテレビ視聴に使われており、社会活動は13%、スポーツはわずか6%にとどまります(Bureau of Labor Statistics, 2017)。
この傾向はアメリカだけでなく、OECDの18カ国調査でも共通して確認されています(OECD, 2009)。
テレビ視聴は心理的ニーズをほとんど満たさない可能性が高く、社会全体の幸福感向上のためには、より多くのニーズを満たす余暇活動の増加が課題です。
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▼ 余暇を妨げる「制約」の3種類
「階層的余暇制約モデル(Crawford et al., 1991)」では、余暇参加を妨げる要因を3つに分類しています。
・イントラパーソナル制約(個人内制約):「自分には無理」という思い込みや罪悪感など、内面的なバリア。余暇への関心形成そのものを妨げる
・インターパーソナル制約(対人制約):一緒にやる人がいない、配偶者の好みが違うなど、社会的なバリア
・構造的制約:お金・時間・近くに施設がないなど、環境や状況的なバリア
モデルによれば、まず個人内制約を乗り越えて関心が形成されて初めて、構造的制約が意識されるようになります。
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▼ 制約を乗り越える方法
・行動的方略:より安価な場所を選ぶ、参加時間帯を変えるなど、具体的な行動で対処する
・認知的方略:「高いスキルがなくても楽しめる」「余暇をとることで仕事にも良い影響がある」と考え方を変える
研究では両方の方略を組み合わせることが多く、行動的方略が先に使われる傾向があります(Jun & Kyle, 2011)。
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▼ 社会的弱者ほど余暇制約が大きい
・女性(特に働く母親):罪悪感などの個人内制約や、時間不足・スポーツ機会の少なさなどの構造的制約が多い(Shaw & Henderson, 2005)
・低所得・低学歴層:全体的に制約が強い(McCarville & Smale, 1993)
・若者:お金・機会・仲間の不足が主な制約
・中年層:時間のなさが最大の制約
・高齢者:スキルや孤立が制約になりやすい(Jackson, 2000)
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▼ まとめ
この論文が示す核心は以下の3点です。
・余暇満足度は、ライフステージや文化を超えて幸福感と一貫して関連している
・DRAMMAモデルが示すように、複数の心理的ニーズを満たす余暇ほど幸福感への貢献が大きい
・多くの人は余暇を十分に活用できておらず、個人・社会・制度レベルでの働きかけが今後の重要課題である
余暇は「怠け」でも「贅沢」でもなく、幸福な人生の基盤となるものです。アリストテレスの時代から現代の実証研究まで、その重要性は一貫して支持されています。
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The Importance of Leisure for Subjective Well-Being
By Lauren Kuykendall, Louis Boemerman, & Ze Zhu, George Mason University
本章では、余暇が主観的幸福感(SWB)にどのように寄与するかについて、既知の知見を概説する。余暇がSWBにとって重要であることを示す証拠を検討し、余暇が幸福感を促進する主なメカニズムとして心理的欲求の充足を指摘する。個人がレジャーの有益な効果を十分に体験できない理由について、レジャー参加に対する内的・対人的・構造的制約に焦点を当てて議論し、異なる人口統計学的グループが経験する制約の程度と種類の差異を検討する。最後に、個人がレジャー制約を克服するために用いる認知的・行動的戦略に関する研究をレビューし、社会的・制度的政策がレジャー参加と質に与える影響を理解する必要性を強調する。全体を通じて、今後の研究における重要な課題を提示する。
前野夫妻の幸福学Tipsで解説頂きました😍️
https://r.voicy.jp/5qmdqo1k9dP