2026.01.13

はぴテク相談室:東京都民の自然への接触と幸せ〜窓から見える緑が効果大〜

相談者

最近、仕事のストレスがたまっていて、なんか毎日がつまらないというか、幸せを感じにくくなっている気がします。何か手軽にできることってありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それはつらいですね。実は最近、東京都民1万人を対象にした、「自然と幸福感」に関する大規模な研究が発表されまして、すごく面白いヒントがあるんです。少し聞いてもらえますか?

相談者

ぜひ!どんな研究ですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

マサチューセッツ工科大学のチームが、東京の約800地区・1万人以上のアンケートデータと、Googleストリートビューや3D都市モデルを組み合わせて、「自然への接触と幸福感の関係」を調べた研究です。その中でとても印象的な結果があって……「実際に自然が近くにあるかどうか」よりも、「自分が自然を感じているかどうか」の方が、幸福感と強く関連していたんです。

相談者

えっ、実際に公園が近くにあるかどうかより、感じ方の方が大事なんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです!これ、なかなか驚きですよね。客観的に自然が存在するかどうかより、主観的に「自然を感じている」という感覚が幸福感との関連が強かった。だから、大きな公園の近くに住んでいても、それをあまり意識しない人より、ささやかでも日常的に自然を感じている人の方が、幸福感が高い傾向があったということです。

相談者

じゃあ、どんな自然の感じ方が一番幸福感と関連が強かったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ランキングがあって面白いんですが、1位が「窓から見える緑」なんです!次いで2位が「アクセスしやすい公園の緑」、3位が「街路(歩道沿い)の緑」という順でした。わざわざ自然に出かけなくても、窓から緑が見えるだけで幸福感と結びついているというのは、すごく実践的なヒントだと思いませんか?

相談者

窓からの緑が1位なんですね!でも私の部屋や職場の窓からは、あまり緑が見えなくて……。

はぴテクさん
はぴテクさん

それはよくある悩みですよね。ただ、今回の研究のポイントは「感じているかどうか」が鍵だということ。例えば、デスクに小さな植物を置いて意識的に目に入るようにするとか、休憩時間に窓の外の緑を探してみるとか、「自然を感じる習慣」を作ることが幸福感につながる可能性があるわけです。もちろん、これはあくまでこの研究から読み取れることであって、そうした行動が直接幸福感を上げると断言はできないのですが。

相談者

なるほど。ちなみに、自然って幸福感にどのくらい影響があるんですか?年収とかと比べてどうなんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では、幸福感に関わる要因を数値で比べていて、1位は「精神的な健康状態」(β=0.418)で飛び抜けて大きく、2位が「所得への満足度」(β=0.168)、そして「主観的な自然への接触」(β=0.062)は年齢や身体的健康とだいたい同じくらいの関連の大きさでした。所得満足度の半分よりやや小さいくらい、というイメージです。

相談者

所得の半分くらいの関連があるなら、意外と大きいですね!

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。年収アップのために使うエネルギーの半分くらいは、身近な自然に目を向けることに使ってみる価値があるかもしれません。例えば、通勤ルートを少し変えて街路樹の多い道を歩くとか、ランチを緑のある場所で食べるとか、小さな工夫から始められそうですよね。

相談者

水は関係ないんですか?川とか池とか。

はぴテクさん
はぴテクさん

実は今回の研究では、水域(川や池など)はあまり幸福感との関連が見られなかったんです。ただ一つ例外があって、「500メートル以内に水域がある」場合だけ有意な関連が確認されました。緑ほどの効果ではないけれど、近くに水辺があるのはプラスに働く可能性はありそうです。

相談者

なんか、自然って身近なところに意識を向けるだけで良いかもしれない、と思えてきました。今日のお話を整理するとどんなポイントになりますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ありがとうございます、良い質問ですね!今日の研究から得られる大切なポイントは3つにまとめられますよ。少し整理しますね。

■ 今日のまとめ

  • 自然が客観的に近くにあるかよりも、「自然を感じている」という主観的な感覚の方が幸福感と強く関連していた(東京都民約1万人を対象にした研究より)。
  • 幸福感と最も強く関連していた自然体験は「窓から見える緑」で、次いでアクセスしやすい公園の緑、街路の緑と続いた。日常の中で緑を意識的に感じる工夫が鍵になりそう。
  • 自然への主観的接触は、幸福感への関連の大きさが所得満足度の半分程度と推定されており、年齢・身体的健康と同程度の関連が見られた。日常の小さな自然体験を意識することは、生活の質を考える上での選択肢のひとつになりえる。

■ 出典・注意事項

  • 【出典】Maosu Li, Song Guo, Fábio Duarte, Ashutosh Kumar, Norimasa Kobori, Fan Xue, Weimin Zhuang, Anthony G. O. Yeh & Carlo Ratti. 'Influence of objective and perceived exposures to urban nature on people's happiness.' npj Urban Sustainability, 2025/1/9. https://www.nature.com/articles/s42949-025-00306-9

  • 【注意事項①:相関と因果】この研究はアンケートデータと都市データを用いた横断的(ある時点での)観察研究です。「自然を感じること」と「幸福感」の間に統計的な関連が示されていますが、自然接触が幸福感を直接引き起こす(因果関係がある)とは言い切れません。

  • 【注意事項②:対象集団の限界】この研究の対象は東京都民(日本の大都市居住者)であり、他の都市・地域・文化圏にそのまま当てはめられるかどうかは慎重に考える必要があります。

  • 【注意事項③:主観的指標の限界】「幸福感」や「自然を感じているか」はいずれも自己申告のアンケートによる測定であり、個人の解釈や回答時の状況に左右される可能性があります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
東京都民の自然への接触と幸せ〜窓から見える緑が効果大〜
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-01-13-1768341601/

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