2026.01.04

はぴテク相談室:マンガから学ぶ臨床心理学 'ドラゴンボール'に描かれる善と悪

相談者

最近、自分の中にある「嫌な部分」がすごく気になるんです。怒りっぽいとか、嫉妬しやすいとか…そういう自分を認めたくなくて、でも無視もできなくて、しんどいです。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは本当につらいですよね。でも実は、その「認めたくない自分」と向き合うことが、とても大切なプロセスだということが、心理学の研究からも見えてきているんですよ。今日は、ドラゴンボールを題材にした面白い論文を紹介しながら、一緒に考えてみませんか?

相談者

ドラゴンボール…!好きですけど、心理学と関係あるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

あるんです!京都先端科学大学の田中史子先生が2024年に発表した論文で、ユング心理学という心理学の理論をもとにドラゴンボールを分析しているんです。その中に、すごくヒントになる視点があって。ユング心理学では、自分が認めたくない・見たくない自分の側面のことを『シャドー(影)』と呼ぶんですね。

相談者

シャドー…。怒りとか嫉妬って、まさにそれですね。できれば見たくない部分です。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。で、この論文が面白いのは、ドラゴンボールの構造をこう読み解いているところなんです。悟空(主人公)には足りない部分があって、それを悪役たちが補っている、という見方です。物語全体でバランスが取れているんですね。そして、敵が仲間になっていく展開——ベジータとかピッコロとか——あれは、主人公が自分に足りなかった側面を『統合していく』過程として読める、と論文では述べています。

相談者

確かに!ベジータって最初は敵だったのに、仲間になりますよね。あれが「統合」ということ?

はぴテクさん
はぴテクさん

この論文の読み方ではそう捉えられる、ということですね。一人の人間の中にある葛藤を、キャラクターを分けて物語として描いている、という視点です。そして作者の『白昼夢』として漫画を捉えるという観点も論文では論じられていて、読み手も描き手も、物語を通じて自分の内面と出会っているかもしれない、と。

相談者

なんか、自分がドラゴンボールを読んで興奮していたのも、もしかして自分の中の何かと共鳴していたのかな…って思えてきました。でも、シャドーと向き合うって、具体的にどうすればいいんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

論文が直接「こうしなさい」という処方箋を出しているわけではないのですが、ヒントになる考え方はあります。シャドーを『なかったことにする』のではなく、『あるよね』と認識すること、つまり存在を認めることが最初の一歩とされています。怒りっぽい自分・嫉妬しやすい自分を、切り捨てようとするのではなく、『あ、いるね』と気づくだけでも違うんですよ。

相談者

切り捨てようとしていました、ずっと。でも、認めることって、その感情に飲み込まれることとは違いますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

大事な区別ですね!認めることと、飲み込まれることは別物です。『怒りがある』と気づくことと、『怒りのままに行動する』は全然違います。ドラゴンボールで言えば、悟空はベジータを倒そうとするんじゃなくて、最終的には仲間として一緒に戦う。否定も支配もせず、共存していく、というイメージに近いかもしれません。

相談者

共存、か。自分の嫉妬とか怒りも、そういう目で見られるようになれたらいいですね。なんか、少し楽になってきた気がします。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは良かったです。論文の中では、物語の登場人物をそれぞれ別の人間として見ると善悪の対立に見えるけど、全体としてバランスを取っている、という見方が示されています。自分自身の中の「嫌な部分」も、実は全体のバランスの一部かもしれない——そう思うと、少し違って見えてきませんか?

相談者

見えてきます!怒りっぽいのは、それだけ大切にしていることがある証拠、とか。嫉妬は、自分が何を求めているかのサイン、みたいな。

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそういう視点です。シャドーを『悪者』として追い払うのではなく、『なぜここにいるんだろう?』と問いかける姿勢が、ユング心理学的な統合のプロセスとも言えます。もちろん、この論文はドラゴンボールというフィクションを通じた考察なので、これがすべての人に当てはまる答えではありませんが、自分の内面を見つめるひとつの『レンズ』として使ってみてください。

■ 今日のまとめ

  • 自分の「認めたくない部分(シャドー)」は誰にでもあり、それを切り捨てようとするのではなく、まず『存在を認める』ことが大切な第一歩。
  • ドラゴンボールの悪役が仲間になる展開は、ユング心理学的に『自分に足りない側面を統合していく過程』として読み解けると論文は述べている。
  • シャドーを『悪者』として排除しようとするより、なぜそこにあるのかを問いかけ、全体のバランスの一部として捉える視点がウェルビーイングにつながる可能性がある。

■ 出典・注意事項

  • 田中史子(2024)「マンガから学ぶ臨床心理学 'ドラゴンボール'に描かれる善と悪」京都先端科学大学 紀要論文

  • 注意事項①:本論文はユング心理学の理論的枠組みによるドラゴンボールの質的考察であり、実験・調査による因果関係の検証ではありません。

  • 注意事項②:シャドーの統合とウェルビーイングの関連については、本論文の直接の研究対象ではなく、ユング心理学の理論的背景に基づく考え方として紹介されています。

  • 注意事項③:フィクション作品の分析を通じた考察であるため、個人の実際の心理的体験にそのまま当てはまるとは限りません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
マンガから学ぶ臨床心理学 'ドラゴンボール'に描かれる善と悪
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-01-04-1767563637/

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