はぴテク相談室:人とのつながりは、収入の4倍、未来の幸せを予測する
最近、仕事ばかりしていて、友達と全然会えていないんです。でも将来のためにお金を稼がないといけないし…。収入を上げることと、人間関係を大切にすること、どっちが幸せに繋がるんでしょうか?
それは悩みますよね。実はまさにそのテーマを、27,000人以上のオーストラリアの大人を22年間追いかけた、とても大きな研究が調べているんです。結論から言うと、人とのつながりの変化は、収入の変化よりも、翌年の幸せを約2〜4倍強く予測していたという結果が出ています。
えっ、そんなに差があるんですか?具体的にはどういうことですか?
幸せには大きく3つの側面があって、それぞれで比べてみると…「人生全体への満足感」では社会的つながりの影響が収入の4.16倍、「楽しい・嬉しいといったポジティブな気持ち」では1.74倍、「悲しい・不安といったネガティブな気持ち」を減らす効果では3.70倍、どれも社会的つながりの方が大きかったんです。
すごい差ですね…。でも、お金はまったく関係ないわけではないですよね?
そうです、大事なポイントですね。収入も小さいながらもちゃんと幸せに効いていて、意味のある影響があることも確認されています。特に、収入がかなり少ない状態では、収入を上げることが幸せに繋がるという別の研究もあります。「お金はまったく関係ない」ではなく、「お金よりも人とのつながりの方が、ずっと大きく幸せに関わっている」というイメージです。
なるほど。この研究って、どんなふうに「人とのつながり」を測っていたんですか?
研究で見ていたのは「社会的つながり」で、友人・家族との交流の頻度や、サポートを感じられているかといった要素です。そして大事なのは、これが同じ人を22年間追いかけた縦断研究だということ。ある年に人とのつながりが増えた人が、翌年により幸せになっているか、という「変化と変化の関係」を個人ごとに見ているんです。
自分自身の変化で比べているんですね。それは説得力がありますね。でも、幸せになったから友達と会うようになったのか、友達と会うから幸せになったのか、どっちなんでしょう?
鋭い質問です!実はこの研究、両方向を調べていて、幸せになると、その後の社会的つながりも改善するという逆方向の関係も確認されています。つまり、つながりが幸せを予測し、幸せもつながりを予測する、という双方向の関係が見えています。ただし、これはあくまで「関連」の話で、「つながりを増やせば必ず幸せになる」という因果関係を断言できるわけではありません。
そうなんですね。じゃあ、仕事を頑張るよりも、友達と過ごす時間を増やした方がいいってことになりますか?
研究が示しているのは「収入よりも社会的つながりの変化の方が、翌年の幸福度と強く関連していた」ということです。仕事をやめるべき、という話ではなく、収入を上げるために使う時間や労力と同じくらい、あるいはそれ以上に、人とのつながりを育てることに時間を使う価値があるかもしれない、という視点として受け取ってもらえると良いと思います。
確かに、稼ぐための勉強とかスキルアップには時間を割くのに、友人と会う時間は「後回しでいいか」ってなりがちでした。
そうなんですよね。でもこの研究の結果を見ると、「自分が心地よく過ごせる人間関係を探したり、つながりを作ったりすることへの投資」は、収入アップと同じかそれ以上に、将来の幸せに関わっている可能性があるんです。友人と会う時間を「サボり」ではなく「幸せへの大切な時間」として捉え直すのも一つの考え方かもしれませんね。
なんか、罪悪感なく友達に連絡できそうな気がしてきました(笑)。この研究、オーストラリアの話ですけど、日本でも同じことが言えるんでしょうか?
正直に言うと、この研究はオーストラリア成人を対象にしたものなので、文化的背景や社会構造が異なる日本にそのまま当てはまるかどうかは、まだわかりません。ただ、社会的つながりが幸せと関連しているという知見は、世界各地の多くの研究でも繰り返し見られているものです。「人とのつながりが大切かもしれない」という大きな方向性は、参考になると思いますよ。
■ 今日のまとめ
- オーストラリアの27,000人を22年間追った大規模研究で、社会的つながりの変化は、収入の変化よりも翌年の幸福度を約2〜4倍強く予測していた。
- 収入も幸福に意味のある影響をもたらしていたが、社会的つながりの影響力はそれをはるかに上回っていた。
- 幸せが社会的つながりを予測するという逆方向の関係も確認されており、つながりと幸せは双方向に関連している可能性がある。
■ 出典・注意事項
- Joshanloo, M. (2025). Social Capital vs. Financial Capital as Predictors of Future Subjective Well-being: A 22-Year Within-person Analysis. Social Indicators Research. https://link.springer.com/article/10.1007/s11205-025-03770-z
- 【注意事項】本研究は縦断的な関連(ラグ効果)を分析したものであり、社会的つながりが幸福を「引き起こす」という因果関係を直接証明するものではありません。
- 【注意事項】対象はオーストラリア成人であり、文化・社会制度が異なる国への一般化には限界があります。
- 【注意事項】「社会的つながり」の測定方法や定義は研究によって異なるため、日常的な感覚とは必ずしも一致しない場合があります。
研究自体の紹介はこちら😊
人とのつながりは、収入の4倍、未来の幸せを予測する
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-12-22-1766432035/