はぴテク相談室:エピソード的傾聴理論(ELT)
最近、友達や家族と話しても「ちゃんと聞いてもらえてない」って感じることが多くて…。逆に、私自身も人の話をうまく聞けてるのか不安で。
それは少し寂しい気持ちになりますよね。「聞いてもらえていない」という感覚、もう少し具体的に教えてもらえますか?たとえばどんな場面でそう感じますか?
たとえば話してる途中でスマホを見られたり、「うんうん」って返事はするけど全然目が合わなかったり。なんか上の空な感じがして…。
なるほど、それはリアルに「伝わってないな」って感じる瞬間ですね。実はKlugerとItzchakov(2022年)という研究者たちが「エピソード的傾聴理論」という考え方を提唱していて、まさにその感覚を科学的に説明しています。傾聴って「ただ耳を傾けること」じゃなくて、3つの核心要素があると言われているんです。
3つの要素?どんなものですか?
①「注意」=意識をしっかり向けること、②「理解」=相手の言っていることを正しくとらえること、③「肯定的意図」=相手を支えようとする前向きな姿勢、この3つです。スマホを見ながらだと①の「注意」が伝わりにくく、目が合わないと「本当に聞いてる?」と感じやすい。あなたが感じた違和感はとても自然なことなんですよ。
たしかに!目も合わせてくれないと、心ここにあらずって感じがします。じゃあ逆に、自分がちゃんと聞いてるって相手に伝えるにはどうすればいいんでしょう?
この研究では、傾聴の質は「観察できる行動」を通じて伝わると説明されています。大きく「言葉を使う行動」と「言葉を使わない行動」の2種類があります。
具体的にはどんな行動ですか?
言葉を使う行動としては、「フォローアップ質問」(話の続きを掘り下げる質問)や「言葉での承認」(相手の言葉を言い換えたり、共感を表現したりすること)が挙げられています。言葉を使わない行動としては、アイコンタクト・表情・「うんうん」「なるほど」などの相槌・少し前のめりになる姿勢などがあります。
「うんうん」って相槌も大事なんですね。なんとなく無意識にやってましたが、意味があったんだ。でも、これを全部やろうとすると逆に不自然にならないですか?
鋭い視点ですね!この理論では、これらの行動はあくまで「注意・理解・肯定的意図」という内面の姿勢が外に出てきたもの、と捉えています。つまり「とにかくうなずけばいい」というテクニックではなく、まず相手を支えたいという気持ちが土台にあって、それが自然と行動に表れる、という流れなんです。
なるほど!気持ちが先にあって、行動はそれについてくるものなんですね。だとしたら、相手の話にちゃんと関心を持つことが一番大事なのかな。
まさにそこがポイントだと思います。「この人の話を理解したい、助けたい」という気持ちが根本にあると、自然と目を向けたり、続きを聞きたくなったりする。逆に言えば、日常のちょっとした会話でも、「今この人の話にちゃんと向き合おう」と意識するだけで、相手に伝わるものが変わってくるかもしれません。
なんか、傾聴ってすごく奥深いんですね。「聞いてあげる」じゃなくて「一緒にいる」みたいな感じ?今日は自分の聞き方をちょっと見直してみようと思います!
■ 今日のまとめ
- 高品質な傾聴には「注意・理解・肯定的意図」の3つの要素があり、どれか一つではなく総合的なプロセスとして捉えられています。
- 傾聴の質はアイコンタクト・相槌・前のめりの姿勢などの「観察できる行動」を通じて相手に伝わります。
- テクニックよりも「相手を支えたい」という内面の姿勢が土台にあり、行動はそこから自然に生まれるものとされています。
■ 出典・注意事項
- 出典:Kluger, A. N., & Itzchakov, G. (2022). The power of listening at work. Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 9, 121–146.
- 注意事項①:この理論は傾聴の構造を概念的に整理したものであり、ある行動をとれば必ずある結果が生じるという因果関係を直接示したものではありません。
- 注意事項②:研究で示された知見は特定の文化・文脈・集団を対象にしたものを含むため、すべての場面や人間関係に同じように当てはまるとは限りません。
研究自体の紹介はこちら😊
エピソード的傾聴理論(ELT)
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-11-27-1764258961/