Giri(義理)と幸せ
西洋では幸せにつながらないが、日本では幸せにつながる**
アイオワ州立大学のハンナ・リー先生らの最新研究。
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●背景と概要
義理(Giri)は、日本文化の中核的概念で、他者への責任感や義務感を表します。
さらに親しい人間関係を超えて、より広い社会に対する道徳責任まで広がります。
西洋の研究では、義務感は幸福度を下げる原因となりますが、
相互依存を重視する日本文化では、違う影響があるのでは?という研究。
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●義理の種類
まず義理を3種類に分けています。
①軽い義理(家族と定期的に連絡を取る等)
②重い義理(自分を犠牲にしても困っている友人を金銭的に助ける等)
③公的義理(選挙に行く等)
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●調査結果
2009年から2013年までの3年間、中年期を対象に追跡調査を行った所、
軽い義理を果たしている人は、友人間でのストレスが軽減されていました。
→お互いに小さな配慮を積み重ねることで、バランスの取れた「与える・受け取る」関係を作り、対人間の関係性を良くしていたのかもしれません。
また、重い義理を果たしている人は、幸福度が有意に向上していました。
なお、公的義理については効果が見られませんでしたが、これは中年期の人が仕事・家族・介護などで忙しく、社会活動の優先度が下がることが影響していると考えられます。
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●重い義理が幸せにつながる理由
重い義理は西洋では幸福度を下げるのですが、日本ではむしろ幸せにつながっていたという。
日本では、↓あたりがあるのではないかとのこと。
1:自己犠牲が規範となっている
→その為、外部からの押しつけではなく、美徳として内的に価値付けられている
2:自己と他者の境界の曖昧さ
→重い義理を果たすことで、自己の完全性を感じる
3:社会的期待との一致
→社会的同調が高く評価されるため、社会的承認につながる。
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●重い義理が幸せにつながる理由自己決定理論の観点から
自己決定理論で説明すると、↓の感じで基本的欲求の充足につながっている。
●自律性(Autonomy)
日本では重い義理が「外部強制」ではなく「内的動機」として体験される
文化的価値観と一致した行動として認識
●関係性(Relatedness)
重い義理を通じて深いつながりを実感
他者に重要な存在として必要とされている感覚
●有能感(Competence)
困難な状況で他者を支える能力の実証
貢献感と達成感の獲得
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●補足_世代継承性
また、今回は中年期への調査であった為、
世代継承性:自分の知識や経験を次の世代に伝え、社会に貢献しようとする動機
が重要な時期だというのもあるのではないか。
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●まとめ
という事で、全体的には、
西洋ではネガティブな要素として扱われる義理ですが、
日本では幸せにもつながるポジティブな要素でありました。
義理文化も、やらされ感ではなく、
美徳として、内的動機をもって幸せに行う事ができる。
というのは、素敵ですね😊
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●参考_義理の測り方
以下に対して、どのくらい義理を感じていますか?
●公的義理(Public Obligation) - 3項目
「国内のニュースや公共の問題について常に最新の情報を得る」
「地方選挙と国政選挙で投票する」
「支援する社会問題に時間や資金をボランティアとして提供する」
●軽い義理(Light Obligation) - 2項目
「家族の一員が深刻な問題を抱えている場合、予定を変更する」
「家族と定期的に連絡を取る」
●重い義理(Substantive Obligation) - 2項目
「自分の必要を犠牲にしても、困っている友人に金銭を援助する」
「離婚したまたは失業中の成人した子供を自宅に受け入れる」
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日本における義務:中年成人を対象とした3年間の縦断的研究
Obligations in Japan: A three-year longitudinal study of midlife adults
Asian Journal of Social Psychology,2025/8/5
Han Na Lee(アイオワ州立大学), Jeewon Oh, Takeshi Nakagawa
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ajsp.70045?af=R
義務は他者への責任感を体現する。中年期の成人は、両親から子供まで、多くの身近な人々に対して特に義務を感じている可能性がある。これまでの研究では、義務が幸福感や人間関係に有益かどうかについては、さまざまな結果が出ていることが示されている。文化的背景やさまざまなタイプの義務を考慮すると、さまざまな結果の説明に役立つ可能性がある。私たちは、Midlife in Japan (MIDJA) 研究の2つの波のデータを用いて、日本に住む371人の中年期の成人の義務を調査した。因子分析の結果、義務の根底には3つの因子、すなわち身近な人々に対する軽い義務と実質的な義務、そしてより広いコミュニティに対する公的な義務が示唆されている。ベースラインアウトカムをコントロールし、義務が3年間の心理的幸福感と人間関係の幸福感の変化を予測するかどうかを調べた。義務と結果のほとんどの関連は有意ではなかった。しかし、軽い義務は時間の経過とともに友人からの負担が少なくなること(β = −0.21、p = 0.03)を予測し、実質的な義務はより高い生活満足度(β = 0.20、p = 0.035)を予測した。公的義務は、幸福感や人間関係の成果を有意に予測することはできなかった。研究への示唆について議論する。