はぴテク相談室:EI(感情的知性)は、スキルがあると信じて行動することで、自分と相手の幸せにつな
最近、パートナーとの関係がうまくいっていなくて悩んでいます。私って感情を読み取るのが苦手で、相手の気持ちを理解できていないんじゃないかって。もっと感情を理解する能力を鍛えないといけないのかな、と思っているんですが…
そのお悩み、よく聞きます。「もっと相手の感情を正確に読める人にならないと」って思ってしまいますよね。実は最近、北京大学の研究チームが面白い発見をしているんですよ。407組のカップルを調べた研究なのですが、幸福感に大事なのは「実際の感情を読み取る能力」よりも別のものだったんです。
え、能力じゃないんですか?じゃあ何が大事なんでしょう?
それが「自分は感情をわかっている、という自信」だったんです。研究では「感情的知性(EI)」を2種類に分けて測定しました。ひとつは、表情や状況から感情を正確に読み取るテストで測る「本当の能力」。もうひとつは、「自分は相手の気持ちをよく理解できている」という自己評価、つまり自信のほうです。すると、自分の幸福感にもパートナーの幸福感にも影響していたのは、後者の「自信のほう」だったんですね。
自信があるだけで、パートナーまで幸せになるんですか?それはどういう仕組みなんでしょう?
研究者たちもその仕組みを考察していて、一番有力な仮説がこれです。「相手の気持ちを理解できる」という自信があると、たとえ少し思い込みが入っていても、実際に相手を気にかけて行動するようになる。その気遣いが相手に伝わって、相手が幸せを感じる、という流れです。心理学では、自分にできると信じることが実際の行動を引き出す、これを「自己効力感」と呼んでいます。
なるほど!でも逆に言うと、本当は大して感情が読めていなくても、自信さえあればいいってこと?ちょっと怖い気もするんですが…
鋭いですね。研究者もその点は慎重に扱っていて、「自信が行動を促す」という仮説はあくまで考えられる理由のひとつです。今回の研究だけで因果関係まで断言はできません。ただ、もうひとつ面白い仮説もあって、「本当の能力が高すぎると、相手のネガティブな感情にも敏感に気づきすぎてしまう」という「過敏性仮説」というものもあります。気づきすぎることで、かえって自分もしんどくなる面があるかもしれない、ということです。
確かに、気にしすぎて疲れちゃうことはあります。では私はどうしたらいいんでしょう?能力を磨くよりも自信をつけるほうがいいんですか?
この研究が示唆しているのは、「完璧に感情を読めるようになろう」とプレッシャーをかけるより、「自分はパートナーのことを気にかけられる」という自信を持って行動することが、お互いの幸せにつながりやすい、ということです。「ちゃんと気持ちをわかってあげられているかな」と小さな行動を積み重ねていくことが、意外と大事なんですよ。
なんだか少し気持ちが楽になりました。でも、自分のEIの自信が高いとパートナーも幸せになるって言っていましたが、逆に、パートナーの自信が高いと自分も幸せになるんですか?
そうなんです、そこもこの研究の面白いところで!「パートナーが自己評価型EI(感情への自信)が高いほど、自分の幸福感も高まる」という結果も出ています。つまり、自信を持って相手を気にかけるパートナーがいると、自分もより幸せを感じやすい、ということです。これは「パートナー効果」と呼ばれています。
じゃあ、二人でお互いに「相手のことをわかろうとする姿勢」を持てると、お互いに幸せになれる可能性があるってことですね。
まさにそのとおりです!ただ、もう一度だけ確認しておきたいのですが、この研究はイギリス・アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドの英語圏のカップルを対象にしていて、平均10年以上付き合っているカップルが多い集団のデータです。すべての関係や文化に同じように当てはまるかはわかりません。でも、「完璧に相手の感情を読もうとがんばりすぎる」より、「相手のことを気にかけようとしている自分を信じて動く」ほうが、お互いの幸せにつながりやすいというのは、日々の関係を振り返る上でヒントになるんじゃないかと思います。
ありがとうございます!「感情を読む能力が足りない」と落ち込んでいましたが、まずは気にかけようとする自信と行動を大切にしてみます。すごく気持ちが楽になりました。
■ 今日のまとめ
- 感情を正確に読み取る「実際の能力」より、「自分は相手の気持ちを気にかけられる」という自信(自己評価型EI)のほうが、自分とパートナー双方の幸福感と関連していることが示されました。
- 自信が実際の気遣い行動を引き出し、それが相手の幸せにつながる「自己効力感ルート」が有力な仮説として挙げられています(因果関係の断定はできません)。
- パートナーの感情への自信も自分の幸福感と関連する「パートナー効果」も確認されており、お互いが気にかけようとする姿勢が関係全体の幸せにつながる可能性があります。
■ 出典・注意事項
- Zhang, Z., Miao, M., & Zhang, X. (2025). You Feel Better When Your Partner is Emotionally Intelligent: Self-Rated Emotional Intelligence Shows Partner Effects on Subjective Wellbeing. Journal of Happiness Studies. https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-025-00914-3
- 【注意事項】本研究は横断的なデータに基づいており、自己評価型EIと幸福感の間に相関が見られたことを示すもので、因果関係を証明するものではありません。
- 【注意事項】対象はイギリス・アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドの英語圏カップル(平均年齢36.5歳、平均交際期間10.8年)であり、他の文化圏や交際初期のカップルへの一般化には限界があります。
- 【注意事項】「能力型EI」と「自己評価型EI」は名前は似ていますが、両者の相関は非常に低く(先行研究でr=0.12程度)、実質的に異なる概念として扱われています。
研究自体の紹介はこちら😊
EI(感情的知性)は、スキルがあると信じて行動することで、自分と相手の幸せにつな
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-06-05-1749147680/