2025.05.22

はぴテク相談室:自尊心は孤独感を減らすが、外部評価に基づく自尊心は孤独感を減らさない。

相談者

最近、自分に自信をつけようと、仕事でいい結果を出したり、人から褒められたりすることで「よし、自分はできる!」って感じるようにしているんですけど、それでもなんか孤独感が消えなくて…。自信をつければ孤独感も減ると思っていたんですが、何が違うんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それは辛いですね。実は、その「自信のつけ方」がとても重要で、研究でも興味深いことが分かっているんです。早稲田大学の富井さんと小塩さんが2025年に発表した研究によると、「自尊心の種類」によって孤独感との関係がまったく異なるんですよ。

相談者

自尊心に種類があるんですか?自信があるかどうか、だけじゃないんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです!大きく分けると2種類あります。一つは「テストで満点をとった」「上司に褒められた」など、外からの評価や基準をクリアしたときに感じる自信。これを「随伴性自尊心」と呼びます。もう一つは、外からの評価に関係なく「自分はこれでいい」と感じられる、いわば内側からにじみ出るような自信です。さらに、「本来感」という概念もあって、これは「自分らしく生きている」という感覚のことです。

相談者

なるほど。で、その違いが孤独感にどう関係してくるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では、平均年齢約58歳の日本人400人を対象に調べたんですが、「内側からの自信(自尊心)」と「本来感」は孤独感の低さと関連していました。一方で、「外からの評価に基づく自信(随伴性自尊心)」は孤独感とほぼ関係がなく、むしろわずかに孤独感を高める傾向も見られたんです。

相談者

えっ、外からの評価で自信をつけると、むしろ孤独になりやすいってことですか?なんでそんなことが起きるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究ではその理由までは明らかにされていないので断言はできないのですが、考えられることとして、外の評価に依存する自信は「評価されないと崩れる」不安定なもので、人との関係も「評価してもらうためのもの」になりやすく、本当のつながりを感じにくくなる可能性があるかもしれません。あくまで推測の部分もありますが、研究が示しているのは「外からの評価による自信が高くても、孤独感は下がりにくい」という点です。

相談者

じゃあ「本来感」って具体的にどういう感覚なんでしょう?私にはあまりピンとこなくて…。

はぴテクさん
はぴテクさん

「本来感」は、「今の自分は、自分らしい」「自分の気持ちや価値観に正直に生きている」という感覚です。誰かに認めてもらったからではなく、自分自身が「これが自分だ」と感じられる状態ですね。研究では、この本来感が高い人ほど孤独感が低い傾向があると示されています。

相談者

うーん、私は仕事での成果や他人の目ばかり気にしてきたので、「自分らしさ」って何なのかよく分からなくなってきています…。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは多くの人が感じることだと思いますよ。この研究は「こうすれば孤独が消える」という処方箋を示しているわけではなく、どんな種類の自信や自己感覚が孤独感と関連しているかを明らかにしたものです。ただ、一つ言えるのは、「他人にどう見えるか」ではなく「自分はどう感じているか」という内側の感覚に少し目を向けてみることが、孤独感と関連している可能性があるということです。

相談者

なるほど。「評価されること」に頑張りすぎていたかもしれません。でも、今の自分を「これでいい」と思うのって、なんか難しくないですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

確かに簡単ではないですよね。研究が示しているのはあくまで「関連がある」ということで、どうすれば本来感が育つかまでは今回の研究の範囲外です。ただ、「結果が出たから自分はOK」ではなく、「結果に関係なく、今の自分の気持ちや考えを大切にできているか」という問いを自分に向けることは、一つのヒントになるかもしれません。

相談者

外からの評価を追いかけるだけでは、孤独感は解消されにくいということですね。なんか、すごく腑に落ちました。自分の内側を大切にすることが大事なんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですね。この研究が伝えているのは、「どんな自信を積み上げるか」が孤独感と関わっている可能性がある、ということです。外の評価も大切かもしれませんが、それだけを積み重ねても孤独感は変わりにくいかもしれない。「自分はこれでいい」という感覚や「自分らしく在る」という感覚が、孤独感の少ない状態と結びついている、そんなことをこの研究は示してくれています。

■ 今日のまとめ

  • 「外からの評価で得る自信(随伴性自尊心)」は孤独感の低さと関連しておらず、むしろわずかに孤独感を高める傾向も見られた。
  • 「内側からの自信(自尊心)」や「自分らしく在るという感覚(本来感)」は、孤独感の低さと関連していた。
  • 「他人にどう見えるか」だけでなく、「自分はどう感じているか」という内側の感覚が孤独感と関わっている可能性がある。

■ 出典・注意事項

  • 富井繭・小塩真司(2025)「自尊感情の2形態と孤独感の関連――随伴性自尊感情と本来感に注目して」パーソナリティ研究, 34(1), 34.1.2. https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/34/1/34_34.1.2/_article/-char/ja

  • 【注意事項】本研究は相関研究であり、「随伴性自尊心が孤独感を引き起こす」「本来感を高めれば孤独感が下がる」という因果関係を示すものではありません。

  • 対象は平均年齢約58歳の日本人400名であり、他の年齢層や文化圏への一般化には限界があります。

  • 自尊心・随伴性自尊心・本来感・孤独感はいずれも自己報告式の尺度で測定されており、測定上の限界があります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
自尊心は孤独感を減らすが、外部評価に基づく自尊心は孤独感を減らさない。
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-05-22-1747951502/

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