ストーリーテリングと人生の意味、whyの効果
ライヒマン大学のハラン・エイナム先生らの研究😊
ブルーナー先生は、
人は、科学的思考と物語的思考の2つのモードがあり、
物語的思考を元に、自分の経験を理解し、意味を構築する。
と述べています。
では、物語的思考は、心理学的にどんな効果があるのでしょうか?
ー
で、研究では、
・ストーリーテリングの能力が、人生の意味につながる。
・ストーリーテリングの能力が、より目標を高次にする。
** (how:何をするか、よりもwhy:なぜするか、を考えて目標をたてるようになる。)**
とのことでした。
※文化の違うアメリカでも中東でも同様だった。
※内向的な人ほど、上記の効果が高い。(より人生の意味を感じ、目標が高次になる)
※性格や自尊心などの影響を除外しても、上記の効果は発生していた。
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最近は職場やその他の場所でもエビデンス重視の科学的思考こそが正しい。
という流れもありますが、
物語を語ること、の重要性を感じる結果ですね。
人は、物語ることで、自分の経験を理解し、意味を構築出来る😍
対話にも通ずる所かと思います。
(そういえば、
幸せ企業の西精工さんは毎朝1時間の朝礼、ネッツトヨタ南国さんは日報などを通して、
物語る力を、めっちゃ鍛えていますね❗)
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語り手に光を当てる:物語を語ること、人生の意味、個人の目標について
Shedding a light on the teller: on storytelling, meaning in life, and personal goals
**2024/11/20,The Journal of Positive Psychology **
Haran Einam,Mario Mikulincer &Ron Shachar
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17439760.2024.2431684
この論文は、見過ごされてきた性格能力であるストーリーテリングが、重要な心理的役割を果たしていることを実証しています。ストーリーテリングに長けた人は、それほど熟達していない人に比べて、人生の意味の感覚 (MIL) と高レベルの目標の支持 (EHG) がより強く表れます。ストーリーテリング能力を評価するために、2 つの異なる方法を採用しています。ストーリーテラーの自己報告スケールを開発し、リスナーからの評価も収集しました。リスナーは、(a) 親しい友人、(b) ストーリーテラーの物語を聞く見知らぬ人、(c) これらの物語のビデオを観察する訓練を受けたコーダーの 3 つのカテゴリで構成されます。ストーリーテリングと、人生の意味の感覚および高レベルの目標の支持との関係は、すべての尺度で一貫しています。さらに、この関係は、物語が性格特性に関するものであっても、ランダムな 3 つの単語で構成されていても持続します。さらに、結果は 2 つの異なる文化 (米国と中東) にわたって一貫しています。最後に、これらの関係は内向的な人の間で最も顕著であり、外向的な人の間で最も明らかではありません。
■研究の背景
研究の前提となる既存研究と理論的背景
この研究は、ストーリーテリング(物語を語る能力)が人生の意味の感覚と高次目標の支持にどう関連するかを調査していますが、その背景には豊富な理論的枠組みがあります。以下、論文で引用されている主要な先行研究と理論的背景を時系列に沿って説明します。
物語と意味づけに関する基礎研究
ブルーナーの物語思考理論(1991年)
ジェローム・ブルーナーは、人間には「科学的思考」と「物語的思考」という2つの思考モードがあると提案しました。彼によれば、人々は物語的思考を通じて現実を構築し、自分の経験を理解します。つまり、物語的思考は主観的な意味の構築において重要な役割を果たすというのです。
シャンクとエイベルソンの研究(1977年、1995年)
彼らは、物語が人間の記憶、知識、社会的コミュニケーションの基本的な構成要素であると主張しました。これは人間が情報を整理し理解する方法として物語が中心的な役割を果たすことを示しています。
カールソンらの研究(2004年)
「人々はどのように自分の人生の出来事に意味を見出すのか?部分的には、物語を作ることで...」と論じ、「ほぼすべての文化と歴史的時代において、人々は物語を語ることで自分の経験と世界の理解を伝えてきた」と説明しています。つまり、物語は私たちの人生と周囲の世界の両方に意味を与えるものだと主張しています。
トラウマ経験と物語化
ペネベイカーらの研究(1986年、1990年、1997年)
ペネベイカーとその同僚は、トラウマを経験した人々に自分の経験について物語を書くよう促すことで、心の傷からの回復が早まることを発見しました。ペネベイカー(1997年)は「書くことから恩恵を受けた人々は、最初は整理されていない記述から始まり、書く最終日までには一貫した物語へと進化した」と述べています。これは物語が意味づけのメカニズムとして機能するという考えと一致しています。
物語的アイデンティティ研究
マクアダムスの研究(1993年、2001年)
ダン・マクアダムスが提唱した「物語的アイデンティティ」の概念によれば、人のアイデンティティは、人生の出来事を包括的な自己の物語に統合することから生まれ、それが人生の意味と目的の感覚につながるとされています。マクアダムスとマクリーン(2013年)もこの考えを支持しています。
物語と「なぜ(Why)」の関係
著者らは上記の先行研究をもとに、人々が「なぜ(Why)」—つまり、人生の意味と目的—を見つけるのは、人生の出来事に意味を見出すことによるものだと主張しています。物語は様々な出来事を一貫したストーリーにつなげ、そこに主人公の「なぜ」が埋め込まれます。
バウマイスターとボース(2002年)
彼らの研究では、人々の人生は4つのニーズが満たされると意味を獲得し、その一つが目的であるとしています。彼らは「このニーズの本質は、現在の出来事が未来の出来事とのつながりから意味を引き出すということ」と説明しています。
マクリーンとモリソン-コーエン(2013年)
彼らは「意味は...物語によって一貫した自己を構築する芸術から生まれる」と主張しています。
ストーリーテリングの個人差に関する研究
著者らは、ストーリーテリングの能力自体については研究があまり進んでいないと指摘しています。例外として:
スミスらの研究(2017年)
フィリピンの狩猟採集民族において、優れたストーリーテラーは社会的に好まれるパートナーであり、繁殖成功率が高いことを示しました。著者らは、優れたストーリーテラーは社会的結束を強化し、群集に有益な行動を促進するためこのような地位を獲得すると提案しています。
ドナヒューとグリーン(2016年)
男性のストーリーテリング能力が女性から見た魅力を高めることを示し、この効果は知覚された地位によって媒介されると提案しています。
理論的枠組みのまとめ
これらの先行研究に基づき、著者らは以下のような理論的枠組みを構築しています:
これらの理論的背景を踏まえて、著者らは「ストーリーテリング能力と人生の意味の感覚・高次目標の支持との間に正の相関がある」という仮説を立て、様々な方法を用いて検証しています。
■ストーリーテリングとは?
ストーリーテリングとは
ストーリーテリングとは、出来事や経験を物語形式で伝える能力のことです。この論文では、ストーリーテリングを「出来事を語り口調で魅力的に結びつける技術」と定義しています。単に出来事を羅列するのではなく、それらを意味のある一貫した物語に構築する能力を指します。
ストーリーテリングの要素
良いストーリーテリングには、以下のような要素が含まれます:
具体例
例: 日常的な出来事の語り方の違い
弱いストーリーテリング:
「今日、車が故障しました。修理工場に行きました。修理に3時間かかりました。その後、買い物に行きました。」
強いストーリーテリング:
「今日の朝、いつものように出勤しようとエンジンをかけたら、奇妙なガタガタという音が。『まさか...』と思った瞬間、車が完全に動かなくなってしまったんです。パニックになりかけましたが、幸運にも近所の信頼できる修理工場が急いで対応してくれることになりました。修理士のマイクは『こんな古い部品、見たことないよ!』と笑いながら言いましたが、なんと3時間もかけて修理してくれたんです。彼の熟練の技を見ながら、物を大切に長く使うことの価値を改めて感じました。修理後の車は以前より調子よく走り、その足で念願だったオーガニックマーケットに買い物に行けたときは、本当に今日一日が充実していると感じました。」
この例では、同じ出来事が語られていますが、後者は感情、緊張、解決、そして個人的な意味づけが含まれ、単なる出来事の羅列ではなく物語として構成されています。
日常生活における強いストーリーテラーと弱いストーリーテラーの違い
論文では、日常生活での違いについても触れています:
「私たちは日常的にこの能力の違いを目の当たりにしています。友人の中には、子供を学校に送った単純な活動について語るだけでも私たちを引き込むことができる人がいる一方で、別の友人は恐ろしい経験の連続について語っても、私たちの注意は数秒後には散漫になってしまいます。巧みなストーリーテラーは一連の出来事から容易に物語を紡ぎ出しますが、あまり上手でない人は出来事を意味のある形でつなげることに苦労します。」
ストーリーテリングの社会的・心理的影響
研究によれば、優れたストーリーテリング能力は:
このように、ストーリーテリングは単なる娯楽のスキルではなく、人生に意味を見出し、目標を設定する方法に影響を与える重要な能力だと考えられています。
■ストーリーテリング能力の鍛え方 7選
ストーリーテリング能力は、練習と意識的な取り組みによって向上させることができます。論文では、ストーリーテリングワークショップが人生の意味や目標設定に良い影響を与える可能性に言及していました。以下に、ストーリーテリング能力を向上させるための具体的な方法をご紹介します。
1. 物語の基本構造を理解する
ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)の枠組みを学ぶ
効果的な物語の要素を意識する
2. 実践的な訓練方法
日常的な練習
フィードバックを活用する
3. 聞き手を引き込む技術を磨く
感情的要素を取り入れる
語りのテクニック
4. 「なぜ」の要素を強化する
目的と動機を明確にする
出来事を結びつける
5. 他者の物語から学ぶ
優れたストーリーテラーを観察する
異なるジャンルやスタイルを試す
6. 自分の経験を意味のある物語に変換する訓練
人生の出来事を物語化する
マクアダムスの生活史インタビュー法を実践する
7. ストーリーテリングワークショップに参加する
公式のワークショップ
コミュニティグループ
研究からの示唆
論文で示されているように、ストーリーテリング能力を向上させることは、単に社交的なスキルを磨くだけでなく、人生の意味の感覚や高次目標への取り組み方にも良い影響を与える可能性があります。特に内向的な性格の人にとっては、ストーリーテリングは自己表現と意味構築の重要な手段となるかもしれません。
ロジャーズら(2023年)の研究では、ヒーローズ・ジャーニーの枠組みを使って人生のストーリーを書き直す援助をすることで、人生の意味の感覚が高まることが示されています。日常的な練習と意識的な取り組みを通じて、誰でもストーリーテリング能力を向上させることができるでしょう。