という横浜市立大学の原先生らの論文。
ウェルビーイングについての話ではないですが、その阻害要因ともなりうる、若者の生きづらさについて。
最近は、世界的にも若者の幸福度が低下してきていることも、各所で報告されています。
(日本はまだそうでもないですが。)
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若者の生きづらさが、
①新自由主義の個人化による、社会からの要求の高さと、
②雇用や社会の不安定化による、現実への不安と、
③そのギャップ
から産まれているのではないか。
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記載されていますが、ビジネスやメディアが不安をあおる影響みたいなのも結構効いてそうな気がしますね。
よく、仕事や勉強を頑張らないと、ご飯が食べれなくなる。みたいな話とか聞きますが、ちょっと見てみたところ令和5年で食料の不足で亡くなった方が、年間で20人。
もちろん0に近づけていく必要はありますが、色々サポートしてくれる方々が頑張ってくれているので、恐れ過ぎるような数値ではないような気もします。
蛇足ですが、スズメバチに刺されることによる死者数も20名前後と同じくらいですね。
(栄養失調で亡くなる方は2000人くらいいらっしゃいますが、これは病気などで食べれない方や、過度なダイエットなど含みます。)
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また、不安をモチベーションにすることは幸福度を落とす。こうなりたい!をモチベーションにすることは幸福度を高める。という研究もあります。
若者達が、不安からではなく、こうなりたい!をベースに生きていける世の中にしたいなぁ。
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※補足:日本の完全失業率としては、低下傾向 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-03-32.html
※補足:食料の不足による死(令和5年で20人) estat
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E4%B8%8B%E5%B7%BB%209%20%E4%BA%A4%E9%80%9A%E4%BA%8B%E6%95%85%E4%BB%A5%E5%A4%96%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%85%AE%E3%81%AE%E4%BA%8B%E6%95%85%EF%BC%88%EF%BC%B700%EF%BC%8D%EF%BC%B859%EF%BC%89%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E6%95%B0&layout=dataset&stat_infid=000040206185&metadata=1&data=1
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若者の生きづらさの概念化に向けた一考察
横浜市立大学論叢社会科学系列 2024 年度:Vol.76 No.1
原 広司・根本裕太郎・永吉 真子・奥村 春香
https://ycu.repo.nii.ac.jp/records/2003395
本稿の目的は、近年の若者の生きづらさの概念化に向けた一考察を論じることである。生きづらさという言葉は、日常的に広く使われているが、生きづらさが何を指しているのかは明確ではない。
生きづらさを論じるとき、医学的アプローチと社会学的アプローチの 2種類が存在する。医学的アプローチは、主に精神医学を中心に議論され、その機序や治療などに焦点が当てられる。社会学的アプローチは、当事者および周辺の環境に焦点を当て、その状況を記述し、生きづらさが社会からどのように生み出されているのかを描こうとする。本稿では、後者に重きを置き、生きづらさと社会の関係を解き明かそうとするものである。
社会学的アプローチの先行研究として、貴戸(2022)が挙げられる。貴戸(2022)は、生きづらさ研究会(通称:づら研)の活動を通じたエスノグラフィ調査を実施し、生きづらさの整理を行っている。また、貴戸(2018)では、生きづらさを「個人化した「社会からの漏れ落ち」の痛み」と定義している。「個人化」したという言葉には、社会にあったものが個人に移ったことを意味している。また、「社会からの漏れ落ち」は、社会で把握されづらく、理解も支援もほとんどない状況を表している。貴戸(2022)の議論は生きづらさを抱えた当事者を理解するうえで大変示唆のある内容であるものの、なぜ社会の問題から個人の問題へと移行したのかが十分に検討されていない。
この点を明確にすることで、社会がどのように変われば生きづらさは解消に向かうのか、という議論を進めることができる。
したがって、本稿では、若者を取り巻く社会環境の変化と生きづらさの関係を整理したうえで、若者の生きづらさを概念化することを目的とする。まずは、生きづらさに関するいくつかのデータを確認する。そのうえで、関連する文献をレビューし、概念化を行う。
社会からの要求 新自由主義の個人化 ギャップで生じる態度や感情=生きづらさ ギャップの拡大によって、 生きづらさへの影響が大きくなる。 ギャップ 現実 雇用や社会の不安定化 出典:筆者作成 図4:若者の生きづらさの概念化 仕事にやりがいを求める、没頭するといった考え方は、世界で広がっているようである。三宅(2024)は、ドイツの哲学者ヨセフ・ビーバーの「トーダル・ワーク」という概念を紹介している。これは、生活のあらゆる場面を仕事に変容しなければならない状況を表している。仕事と余暇の区分は曖昧になり、仕事に対して全身全霊でコミットメントすることを求めている。さらには、そうした姿勢を評価する、称賛する風潮すらある(三宅、2024)。新自由主義の個人化により、現代の若者はあらゆることを個人で全身全霊になって取り組むことが求められ、常になにかに追われ続けているのである。 若者には不安が渦巻いているが、その点について舟津(2024)は「不快と不安こそが、ビジネスの原動力(112頁)」と指摘する。Z世代は消費のターゲット層として注目され、不安を煽るようなコミュニケーションを通して良いカモにされているのである。また、舟津(2024)は不安に根拠はいらないと主張する。不安に似た性質のものとして「信頼」を挙げ、社会学者のニコラス・ルーマン、心理学者の山岸俊男の双方が「信頼には根拠がない」と述べている。我々は不安も信頼も明確な根拠がなく、なんとなくそう感じているのである。それがゆえに、不安を言語化することも、不安を払拭することも容易でないことがわかる。したがって、不安を煽るビジネスが広まり、それを払拭できないまま、若者たちが不安を抱えてしまっているのである。 7.若者の生きづらさ解消に向けた示唆 本稿では、若者の生きづらさが社会からの要求と現実のギャップによる態度や感情であることを示した。また、この生きづらさはこれまでの「絶対的生きづらさ」とは異なる「相対的生きづらさ」とも呼べるものであり、より多くの若者の間に広がっている可能性がある。この整理によって、「相対的生きづらさ」を解消するための方策は、三つに大別できる。 第一に、社会からの要求度を下げることである。ただし、イノベーションの担い手は一個人なのかもしれない。また、そのためにリスキリングやスタートアップの支援を行うこと自体を問題視しているわけでもない。現代社会では、総じて、短期のサイクルで回っており、短期的な成果を生み出すことを求めている。しかしながら、人材育成にしても、イノベーションの創出にしても、短期で結果が出るものではない。したがって、こうした人材への投資の評価、Key Performance Indicator(KPI)は中長期的で緩やかな視点が必要なのではないだろうか。また、個人に責任を負わせるのではなく、組織や社会全体で責任を持つ方向性に舵を切ることが大切と考えられる。 第二に、若者の現実をより良くすることである。平均所得は上がらない一方で、国民負担率は増加し、可処分所得は減少している。また、非正規雇用は拡大し、雇用の不安定化も続いている。こうした状況を改善する努力が必要である。加えて、制度・政策の整備だけでなく、将来は良くなるという機運、気分も重要である。未来に明るい希望を持てる社会をつくることで、若者の現実はよりよくなることが期待できる。 最後に、社会からの要求と現実のギャップに対する個人の受け止め方への対策である。同じ境遇であっても、それを糧にできる者もいれば、押しつぶされる者もいる。厳しい環境であっても乗り越えられる柔軟性、しなやかさをレジリエンスと呼ぶ。近年は、レジリエンスへの関心が高まっており、レジリエンスとはどのようなもの、またどのようにして獲得できるのかについて、多くの研究が行われている(Southwick & Charney, 2012)。これらが明らかになれば、教育などを通じてレジリエンスを獲得させ、個人としての生きづらさの軽減につながることが期待できる。 図表1-3-32 有効求人倍率と完全失業率の推移 図表1-3-32 有効求人倍率と完全失業率の推移 1.80 1.60 1.40 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 (2002.6) (2003.4) 5.50 5.50 (2009.7) 5.50 (2019.12) 1.57 (%) 6.0 (2020.6) 1.11 (2020.6) 2.8 3.0 (2009.8) 0.42 1989.1 1994.1 1999.1 2004.1 2009.1 2014.1 2019.1 ■有効求人倍率 ━完全失業率(右軸) 資料:有効求人倍率は厚生労働省職業安定局雇用政策課「職業安定業務統計」、完全失業率は総務省統計局「労働力調査」による。 (注) 有効求人倍率は新規求人数を新規求職者数で除した数値。完全失業率は、2011年3月から8月までの完全失業率は、東日本大震災の影響により全国集計結果が存在しないため、補充推計値(2015年国勢調査基準)である。
本研究のウェルビーイング小話はこちら😊
はぴテク相談室:若者の生きづらさの概念化に向けた一考察
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-03-12-1741814651/