2025.03.02

はぴテク相談室:経済的自由と主観的幸福

相談者

最近、ニュースで「規制緩和」とか「小さな政府」とかよく聞くんですけど、そういう経済的に自由な社会って、やっぱり幸せな社会なんですかね?なんとなく豊かそうなイメージがあって…

はぴテクさん
はぴテクさん

とても面白い疑問ですね!実はその「経済的自由と幸せの関係」を直接調べた研究が2025年に発表されたんです。ノルウェーの研究者がヨーロッパ28か国、約20万人ものデータを使って分析したものなんですよ。

相談者

へえ!20万人!それだけ多いと信頼できそうですね。で、結果はどうだったんですか?やっぱり経済的に自由な国ほど幸せなんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それがちょっと意外な結果でして…「山型(逆U字型)」だったんです。つまり、経済的自由度がある程度まで上がると幸福度も高くなるんですが、一定の水準を超えると今度は逆に幸福度が下がっていく、という関係が見られたんです。

相談者

えっ、行きすぎると逆効果になるんですか?それはなんでなんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では3つの要因が挙げられています。1つ目は「格差の拡大」。自由競争が進みすぎると、豊かな人と苦しい人の差が大きくなりやすい。2つ目は「社会的信頼の低下」で、これは市場化が進んで、もともと公共サービスだったものが民間に移ると、「社会が自分を守ってくれる」という感覚が薄れていくようなイメージですね。

相談者

なるほど、社会のセーフネットが弱くなる感じ…。3つ目は何ですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

3つ目は「選択のパラドックス」と呼ばれるものです。自由が増えると選択肢もどんどん増えますよね。でも選択肢が多すぎると、「本当にこれで良かったのかな」「もっと良い選択があったんじゃないか」という心理的な負担や後悔が増えやすくなる、という考え方です。

相談者

確かに、選択肢が多すぎると逆に疲れちゃうこと、日常でもありますよね。でも「経済的自由度」って具体的にどうやって測るんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では「フレイザー研究所の経済的自由度指数(EFW)」というものを使っていて、①政府の規模(税負担や政府支出の少なさ)②財産権や法制度の公正さ③通貨の安定性④貿易の自由さ⑤ビジネスや労働市場への規制の少なさ、という5つの要素から計算されています。

相談者

5つも要素があるんですね。全部まとめて「経済的自由度」と言っても、中身は複雑なんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそこが研究の重要なポイントで!実はこの5つをバラバラに分析してみると、「山型の関係」が出たのは「通貨の安定性」の部分だけだったんです。他の要素ではその関係は確認されませんでした。つまり「経済的自由度」をひとまとめに語ることには注意が必要で、中身をちゃんと見ないと現実を単純化しすぎてしまう、と研究者も指摘しています。

相談者

じゃあ「小さな政府にすれば幸せになる」とか「規制緩和すれば幸せになる」とか、一言では言えないってことですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。この研究も「経済的自由が幸福を直接引き起こす」と証明しているわけではなく、あくまで「関連がある」という話です。それに対象はヨーロッパの国々に限ったデータなので、日本など他の地域に同じことが当てはまるかどうかも分かりません。社会の仕組みと幸せの関係は、そう簡単には語れないんですよね。

相談者

なんか、政治や経済の話がこんなに自分の幸せと関係しているって、改めて考えさせられました。「自由が多ければいい」って単純じゃないんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですよね。「自由」や「豊かさ」は大切ですが、格差が広がらないこと、社会への信頼感が保たれること、そして選択肢が多すぎて疲弊しないこと…そういったバランスも、社会全体の幸せには関係しているかもしれない、ということを教えてくれる研究だと思います。

■ 今日のまとめ

  • 経済的自由度と幸福度の関係は「山型(逆U字型)」で、自由度がある水準を超えると幸福度が下がる傾向がヨーロッパのデータで見られた
  • 行きすぎた経済的自由が幸福度を下げる可能性に関わる要因として、格差の拡大・社会的信頼の低下・選択肢が多すぎることによる心理的負担の3つが挙げられている
  • 「経済的自由度」は5つの要素からなる複合指標で、一括りにすると現実を単純化しすぎるリスクがあり、要素ごとに幸福との関係は異なっていた

■ 出典・注意事項

  • Nygaard Nortunnusen, P. (2025). Mo Money Mo Problems? Economic Freedom and Subjective Happiness in Europe, 2010–2020. Journal of Happiness Studies. https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-025-00877-5

  • 【注意事項】本研究は相関関係の分析であり、経済的自由度が幸福度を直接引き起こすという因果関係を示すものではありません

  • 【注意事項】対象はヨーロッパ28か国(2010〜2020年)のデータに限定されており、日本を含む他地域への一般化には限界があります

  • 【注意事項】経済的自由度指数はフレイザー研究所の定義に基づくものであり、「経済的自由」の測定方法によって結果が異なる可能性があります

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
経済的自由と主観的幸福
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-03-02-1740953402/

はぴテクさんのウェルビーイング相談室 お金・経済と幸福主観的幸福・幸福測定

← 検索にもどる