2025.02.23

最高の自分ワークにおける西洋東洋の違い

幸福度を高めるワークは、色々研究されていますが、基本は西洋を中心に作られることが多く、

それが東洋ではあんまり効果無しみたいな事も報告されています。

(ただ、個人的には東洋というか日本では、最初の場作り雰囲気作りが重要なだけで、だいたい効果あるかな〜と感じてます。)

で、今回紹介するのはマーストリヒト大学のウー先生らによる、

最高の自分ワークの西洋東洋比較の最新研究😊オランダと中国です。

最高の自分ワークはシンプルで、↓の感じ。

■最高の自分ワーク

1分:自分の最高な未来を妄想する

15分:妄想した内容を書き出す(研究では最低500ワード以上)

5分:書いたことについて、ありありとイメージする(これ大事です❗)

(研究では、これを2日間隔で3回実施)

結果としては、

西洋(オランダ)では、初回から効果が出て、特にポジティブな面で効果がでた。

東洋(中国)では、初回はあまり効果がないが、1週間後には効果が出た。特にネガティブが減るという面で効果が出た。

とのこと。

なので、西洋東洋どちらでも効果はある。が、東洋は出るまでにちょっと時間がかかる。

これは実感している、最初の作りが大事というのとも、つながってますね。

何故やるのかを、ちゃんと伝える。ハッピーなオーラで包み込む。のが大事かなぁと思います。

ちなみに結果を、も少し細かく言うと、

オランダは初回実施直後に、大きくポジティブな要素が向上。

中国では、初回実施直後は、特に変化無し。

でも、

1週間後には、

オランダでは、

ポジティブな未来期待、目標の明確さ、特性的楽観性が有意に向上

中国では、

抑うつ、目標のアンビバレンスが有意に低下、ポジティブな未来期待が有意に向上。

※目標のアンビバレンス:目標をやりたい気持ちと、不安や懸念、やりたくない気持ちを同時に感じる。

ただし、元々のスコアとして、

オランダの方は結構高めのスコア、中国の方は低めのスコアだったという点もあります。

ーー

中国とオランダの大学生における最高の自己介入の有効性:異文化研究

The Effectiveness of the Best-Possible-Self Intervention in College Students from China and the Netherlands:A Cross-Cultural Study

2025/2/14,Journal of Happiness Studies

https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-024-00855-3

ベスト・ポッシブル・セルフ(BPS)介入の有効性は西洋人では十分に確立されているが、東洋のサンプルではまだ調査中である。西洋人と東洋人の間での有効性の直接比較は現在行われていないが、BPSの文化的感受性を理解するために不可欠である。本研究では、1週間以内に3回のオンライン介入を実施し、東洋(中国)と西洋(オランダ)のサンプル間でBPSの即時効果と短期効果を比較した。また、両方のサンプルで個別にその有効性とその根底にあるメカニズムを調査した。参加者(中国人61名、オランダ人48名)は、BPSまたは対照条件にランダムに割り当てられました。オランダ人の参加者は、肯定的な感情(即時効果)と特性楽観主義、および人生への満足度(短期効果)の点で、中国人よりも多くの利益を報告していることがわかりました。中国人の参加者は、主に否定的な結果の変化を報告し、複数回のセッションの後でのみでした。さらに、サンプル内分析では、効果サイズはオランダ人のサンプルの方が一般的に大きいことが示されました。この結果は、これまでの研究結果を再現し、オランダ人と中国人における BPS の有効性を裏付ける証拠を追加しています。この研究は、BPS はオランダ人のサンプルでは肯定的な結果に対してより効果的である可能性があるが、複数回のセッションでは中国人のサンプルでも特定の否定的な結果に対して効果的である可能性があることを示しています。今後の研究では、根本的な文化的感受性を調査し、特定の文化的背景に基づいて BPS を文化に適合したバージョンに適応させる可能性があります。

投稿者によるコメント・補足(2件)
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■研究の背景

  1. BPS介入の始まり(2001年)
  • King教授による最初の研究
  • 当初はトラウマについて書く介入の対照群として使用
  • 予想外の発見:トラウマ介入と同程度の効果があり、かつ不快感が少ない
    (出典: King, L. (2001). The health benefits of writing about life goals)
  1. BPS介入の効果に関する研究の蓄積
  • ポジティブ感情の向上
  • 状態的楽観性(その時点での楽観的な考え)の向上
  • 抑うつやネガティブな考えの減少
    (出典: Carrillo et al., 2019; Heekerens & Eid, 2021等の研究)
  1. 問題点:研究の西洋偏重
  • これまでの研究は主に西洋文化圏で実施
  • 東洋での適用可能性が不明確
    (出典: Heekerens and Eid, 2021)
  1. 東洋での研究の始まり
    以下の国々で研究が行われ始める:
  • シンガポール (Liau et al., 2016; Ng, 2016)
  • 中国 (Auyeung & Mo, 2019; Wu et al., 2023)
  • インド (Titova et al., 2017)
  • 日本 (Yogo & Fujihara, 2008)
  1. 重要な先行研究(2011年)
  • Boehm等による、アジア系アメリカ人とアングロ系アメリカ人の比較研究
  • 結果:アジア系の方が人生満足度の向上が小さい
  • 限界点:西洋環境で暮らすアジア系の研究であり、純粋な東洋文化圏での検証ではない
    (出典: Boehm et al., 2011)
  1. 文化差を説明する理論的背景
  • 東洋の弁証法的思考(物事を中庸で捉える考え方)
  • 西洋の線形思考(ポジティブな極を目指す考え方)
  • 東洋ではネガティブ感情がより重要な役割を果たす可能性
    (出典: Nisbett et al., 2001; Peng & Nisbett, 1999等)

このような研究背景から、本研究では:

  • 純粋な東洋文化圏(中国)と西洋文化圏(オランダ)の直接比較
  • 即時的効果と短期的効果の両方を検証
  • 介入のメカニズム(なぜ効果があるのか)の解明
    を目指して実施されました。

よく使われる専門用語の説明:

  • ポジティブ心理学的介入:幸福度や精神的健康を高めることを目的とした心理的介入
  • 状態的:その時点での一時的な状態
  • 特性的:比較的安定した個人の傾向
  • 弁証法的思考:相反する要素を含めて中庸を重んじる思考様式
  • 線形思考:一方向(例:ポジティブな方向)を目指す思考様式
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■考察部分

  1. 効果の文化差について
  • オランダと中国での効果の違いの説明
  • 特に、ポジティブ感情への効果の違いに関する考察
    • 自己不一致理論(Self-discrepancy theory)に基づく説明
    • 中国人参加者の低い生活満足度がベースラインにあり、理想の自己との差が大きい可能性
    • この大きな差が、ポジティブな効果を相殺した可能性
  1. 目標関連の変数における違い
  • 中国:目標のアンビバレンス(目標への矛盾した反応)の改善
  • オランダ:目標の明確さの向上
  • これらの違いは文化的背景の違いを反映している可能性
  1. 文化的な解釈の違い
  • "未来の自己"という概念の文化的な意味の違い
  • 西洋文化:個人的成長と幸福の明示的な追求を重視
  • 東洋文化:対人関係の調和をより重視
  • これらの違いが介入の効果の違いに影響している可能性
  1. 対照群への反応の違い
  • 中国人参加者は条件に関係なく変化を報告する傾向
  • 典型的な一日について書くという課題(対照群)が、
    中国人参加者にとっては表現的な書き方として機能した可能性
  • 文化によって「典型的な一日」の中立性が異なる可能性
  1. 目標関連のメカニズムについて
  • 仮説とは異なり、有意な媒介効果は見られなかった
  • 目標関連の認知の変化には、より長期的な観察が必要かもしれない
  1. 研究の限界点
  • COVID-19の影響による国による政策の違い
  • オランダのサンプルでの高い脱落率
  • 報酬方法の違いによる影響の可能性
  • パス分析のサンプルサイズ不足
  1. 実践的な示唆
  • 中国人サンプルでは複数セッションの必要性
  • 文化的背景に応じた介入の適応の必要性
  • 内容分析による文化的感受性の理解の重要性
  1. 将来の研究への提言
  • より長期的な研究デザインの必要性
  • 目標関連メカニズムの更なる探究
  • 中国のサンプルでの対照条件の中立性の検証
  • 天候や物体の描写など、別の対照活動の検討

これらの考察は、BPS介入の文化的な適用可能性と、その効果のメカニズムについての理解を深めることに貢献しています。

論文紹介 やってみようなんとかなる ポジティブ心理学介入文化と幸福・日本的幸福感情・レジリエンス

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