はぴテク相談室:ウェルビーイング測定の経緯と課題
最近「ウェルビーイング」ってよく聞くんですけど、そもそも何なんでしょう?幸福度とか満足度とか、いろいろ言葉があって混乱しています。
よく聞きますよね!実は「ウェルビーイング」という考え方を数字で測ろうという試みは、1960年代から始まっているんです。当時は「社会指標運動」と呼ばれていて、お金(GDP)だけでは人の暮らしの豊かさを測れないよね、という問題意識がスタートでした。
GDPだけじゃダメってことですか?
そうなんです。たとえばGDPが上がっても、人々が「幸せだ」と感じているかどうかは別の話ですよね。だから研究者たちは、「主観的ウェルビーイング」、つまり本人が自分の生活をどう感じているかを直接聞いて測ることに注目するようになりました。
「主観的」っていうのは、要するに自己申告ってことですか?
まさにそうです!「あなたは今、生活にどれくらい満足していますか?」という形で本人に聞くんです。ギャラップ社という調査会社が世界中でほぼ同じ質問・同じ方法でこの調査をしていて、国連が使っている「世界幸福度報告」にもそのデータが活用されています。
世界幸福度ランキングってニュースで見ますね!でも日本って結構低かった気がして…。
日本は確かに順位が低い傾向がありますね。ちなみにこの調査データを見ると、戦争や政変など大きな政治・社会の変化があった国では、GDPでは見えない形で主観的ウェルビーイングが動いているんです。お金の豊かさだけでは捉えられない現実が、この指標で見えてくるということが確認されています。
それは面白いですね。でも日本でもちゃんと測れているんでしょうか?
実は日本でも50年以上にわたってウェルビーイングを測る努力が続けられているんです。ただ問題があって、調査のたびに質問の仕方や方法が変わってしまっているため、「去年と今年を比べる」といった時系列の分析が難しくなっています。
それは困りますね。なぜ統一できないんでしょう?
いろんな機関がそれぞれ独自に測ってきた歴史的な経緯もありますし、インターネット調査など新しい手法をどう使うかという技術的な課題もあります。国際的にも共通の指標を決めようという動き(SDGsの指標群など)がありますが、各国の合意を得るのはなかなか険しい道のりだと研究では指摘されています。
SDGsもウェルビーイングと関係あるんですね。
そうなんです!SDGsはウェルビーイングを含む「持続可能な豊かさ」を世界共通の目標としてまとめた指標群です。ただ指標の数がとても多いので、そこからさらに重要なものを絞り込もうという動きもあります。でもどの指標を優先するかで国ごとに意見が違うので、なかなかまとまらないのが現状です。
じゃあ私たちが「自分のウェルビーイング」を考えるときにも、こういう研究の視点が役に立つんでしょうか?
とても役立ちますよ!まず「お金や地位だけが豊かさじゃない」という視点は日常生活でも大事です。そして「自分が今の生活をどう感じているか」を自分自身に問いかけることが、ウェルビーイングの出発点になります。研究の世界でも、本人の感じ方を大切にする「主観的ウェルビーイング」の重要性がますます認められてきていますよ。
なるほど、測り方の歴史を知ると「幸福って何だろう」という問い自体が深くなりますね。ありがとうございました!
素晴らしい気づきですね!60年以上かけて世界中の研究者が「豊かさをどう測るか」と悩み続けてきたということは、それだけ答えが一つじゃないということでもあります。ぜひ自分自身の「豊かさの物差し」も大切にしてみてください😊
■ 今日のまとめ
- ウェルビーイングの測定はGDPだけでは豊かさを測れないという問題意識から1960年代にスタートし、60年以上の歴史がある
- 「主観的ウェルビーイング」=本人が自分の生活をどう感じているかを直接聞く指標は、GDPでは見えない社会変化を捉えられることが確認されている
- 日本では50年以上測定の努力が続いているが、質問や手法が統一されていないため時系列比較が難しく、調査手法の標準化が課題となっている
■ 出典・注意事項
- 出典:一橋大学経済研究所 ディスカッションペーパー No.703「ウェルビーイング測定の経緯と課題」2024年12月 https://cis.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/2024/12/dp703.pdf
- 注意事項①:本研究はウェルビーイング測定の歴史・現状をレビューしたものであり、特定の施策や行動が幸福度を上げるという因果関係を示したものではありません
- 注意事項②:ギャラップ社の世界世論調査データは民間調査であり、各国の調査環境・回答傾向の違いなど、データの限界も研究内で指摘されています
- 注意事項③:日本のウェルビーイング測定は設問・手法が安定していないため、時系列での比較には注意が必要です
研究自体の紹介はこちら😊
ウェルビーイング測定の経緯と課題
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-12-06-1733443445/