はぴテク相談室:Google Trendから見る都道府県別幸福度
最近、自分の住んでいる地域って幸せなのかな?って気になってて。都道府県によって幸福度って違うんですか?
いい質問ですね!実は都道府県ごとに幸福度を測る研究って存在していて、日本でも「地域幸福度指数(RWI)」というものが使われています。収入・仕事・住まい・健康・生活満足度など11の分野を組み合わせて、各都道府県の幸福度を数値化したものなんです。
へえ!でもそういうデータって、アンケートを大勢に取らないといけないから、すごく大変そうですよね?
まさにそこが課題で!従来は大規模な調査が必要で、お金も時間もかかっていたんです。でも2024年に面白い研究が発表されて、なんとGoogleの検索データを使って幸福度をある程度予測できるかもしれない、ということが分かってきたんですよ。
Googleの検索データ?どういうことですか?
「Google トレンド」というサービスをご存知ですか?ある言葉がどの地域でどれくらい検索されているかが分かるツールなんです。この研究では、幸福度に関わる言葉(たとえば収入・雇用・健康などに関連するキーワード)が各都道府県でどのくらい検索されているかを調べて、そのデータから幸福度指数を予測するモデルを作ったんです。
それで実際に予測できたんですか?
かなりうまくいったんです!2010〜2016年のデータでモデルを作って、2019年のデータで試したところ、R²=0.665という結果が出ました。これは「実際の幸福度指数の変動のうち約67%を、検索データだけで説明できた」というイメージです。先行研究と比べても良好な精度だったと報告されています。
67%か〜。まあまあ当たってるんですね。でも、たくさん検索している=幸せ、ってことなんですか?
いいところに気づきましたね!これは大事な注意点で、「検索量が多い=幸せ」という単純な話ではないんです。どんなキーワードをどれだけ検索しているかのパターン全体を機械学習で分析した結果として、幸福度指数との関連が見られた、ということです。また、この研究自体も「検索語と幸福度の因果関係は不明」と明言しています。あくまで関連があった、という話ですね。
なるほど〜。そういえば、TwitterとかSNSでも似たような分析ってあるんですか?
あります!「Hedonometer(ヘドノメーター)」というサイトがまさにそれで、Twitterの投稿に含まれるポジティブ・ネガティブな言葉を分析して、日々の「幸福度スコア」を出しているんです。英語や日本語など複数の言語で公開されています。
面白い!何か印象的なデータってありましたか?
たとえばクリスマスが一年で最もポジティブな投稿が多い日だったり、大きな事件が起きたときに幸福度スコアが下がる様子が見えたりします。特に印象的なのは、2022年にウクライナでの戦争が始まったとき、ウクライナよりもロシアのスコアの方が大きく落ちていたというデータです。社会の空気がSNSに反映されているのが分かって、非常に興味深いですよね。
戦争でロシアの方が落ちてたって、意外ですね。こういうデータって、何かに役立てられるんですか?
この研究が特に注目しているのは、政策立案への活用です。従来の大規模調査は時間とコストがかかるため、タイムリーに地域の状況を把握するのが難しかった。でもGoogle検索データなら、比較的素早く・低コストで各地域の幸福度の変化を把握できる可能性があります。地域ごとの課題に素早く対応する政策につながるかもしれない、と研究者たちは述べています。
なるほど!自分の地域のことをもっと知るヒントになりそうですね。でも、このデータだけで『この地域は幸せ・不幸せ』と決めるのは早計ですよね?
その通りです!この研究は都道府県という「地域単位」のデータなので、そこに住む個々の人の幸福度は分からないんです。「地域全体の傾向」と「あなた個人の幸福度」はまた別の話。それに検索データには偏りもあって、スマホをよく使う人の検索が多く反映されるといった限界もあります。あくまで一つの参考情報として見るのが大切ですね。
■ 今日のまとめ
- GoogleトレンドのキーワードデータをAI(機械学習)で分析することで、日本の都道府県レベルの幸福度指数をある程度(R²≈0.67)予測できる可能性が示されました。
- TwitterなどSNSの投稿分析(Hedonometerなど)でも、社会的出来事と人々の感情の変化が大きな単位で観察できることが分かっています。
- ただし検索データと幸福度の因果関係は不明であり、また地域全体の傾向であって個人の幸福度を表すものではないため、あくまで参考情報として捉えることが重要です。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Togo K, et al. 'Predicting Prefecture-Level Well-Being Indicators in Japan Using Search Volumes in Internet Search Engines: Infodemiology Study.' Journal of Medical Internet Research, 2024;26:e64555. https://www.jmir.org/2024/1/e64555/
- 【参考】Hedonometer(Twitter分析): https://hedonometer.org/timeseries/en_all/
- 【注意①・相関と因果】本研究はGoogle検索量と幸福度指数の『関連』を示したものであり、どちらかが原因でどちらかが結果という因果関係は明らかにされていません。
- 【注意②・生態学的研究の限界】都道府県という地域単位の分析であるため、そこに住む個々の人の幸福度への示唆は導けません。
- 【注意③・データの限界】Google検索データはインターネット利用者に偏るため、全住民を均等に反映しているわけではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
Google Trendから見る都道府県別幸福度
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-11-16-1731721139/