はぴテク相談室:日常生活インフラの主観的幸福への影響
最近、引っ越しを考えているんですけど、住む場所って幸福感に影響するんですかね?近くに何があるといいとか、あるんでしょうか。
それはとても良いタイミングで考えていますね!実は、EU28カ国を対象にした2024年の研究で、「日常生活で使うインフラ施設へのアクセスのしやすさ」と「幸福感」の関係が調べられているんです。病院、公園、保育園、ジム、公共交通機関などが対象で、これらへのアクセスのしやすさが幸福感と関連していることが分かりました。
へえ、どんな施設が幸福感と関係しているんですか?
調べられた施設は、保育園(0〜2歳向けと3〜5歳向け)、医療施設、高齢者センター、障がい者センター、歩行者通路、公園や緑地、公共交通機関、文化センター、ジム、街灯などです。全体的には「インフラが整っているほど幸福感が高い」という関連が見られたんですが、面白いのは男女でかなり違いがあった点なんです。
男女で違うんですか?それはどんな違いですか?
女性はほぼすべての施設で幸福感とプラスの関連が見られました。一方、男性で幸福感との関連がはっきり出たのは「医療施設」と「ジム」だけだったんです。2種類の統計的な分析方法(OLSとPLS)で両方とも同じ結果が出た施設、という基準で見るとそうなりました。
男性はジムと病院だけ…(笑)。なんでそんなに差があるんでしょうね?
研究者はその背景として、保育園や介護施設などは、実際に育児や家族の介護を担うことが多い女性にとって特に助けになるからではないか、と考察しています。特に3歳未満の保育所と障がい者センターで男女差が一番大きかった、というのはそれを示唆しているかもしれません。ただし、あくまで「関連がある」という話で、これだけが原因とは言い切れないので注意が必要ですね。
公園や緑地は幸福感に関係しないんですか?なんとなくあると嬉しい気がするんですが。
そこ、研究者も少し意外だと言っているポイントなんです。今回の調査は「実際にどれだけ近いか」ではなく、「自分はアクセスしやすいと感じているか」という主観的な評価を使っています。公園は実際にはすぐ近くにあっても「使いやすい」と感じていない人もいるし、逆も然り。主観的な使いやすさの感じ方のばらつきが結果に影響しているのかもしれない、というのが研究者の見立てです。
なるほど、「実際の距離」じゃなくて「使いやすいと感じているか」が大事なんですね。引っ越し先を選ぶときも、地図上の距離だけじゃなく、使う気になれるかどうかが大事ってことかもしれませんね。
まさにそのとおりだと思います!地図上では「近い」施設でも、使い勝手が悪かったり行きにくいと感じたりしたら、恩恵を受けにくいかもしれません。特に引っ越しを考えるなら、「自分がどんな施設をよく使うか・使いたいか」を軸に考えてみると良さそうですね。
自分の場合は女性なので、保育園や医療、公共交通機関が近いとより幸せを感じやすいかもしれないんですね。
この研究の結果と照らし合わせると、そういった施設へのアクセスのしやすさを感じられる環境は、幸福感と関連している可能性があります。ただ、これはEU28カ国のデータをもとにした研究なので、日本の生活環境にそのままあてはまるかは分かりません。でも「自分がよく使う施設にどれくらいアクセスしやすいか」を意識して住む場所を選ぶ、という視点は参考になるんじゃないかと思います。
ありがとうございます!引っ越し先を探すときに、病院、ジム、保育園…自分が使いそうな施設がどれくらい身近に感じられるかを考えてみます。
それは素晴らしい視点ですね!「地図上の近さ」だけじゃなく「自分が使いやすいと感じられるか」を意識してみてください。今日お話した研究は政策的な観点から作られたものですが、個人の住まい選びにも十分ヒントになると思います。良いお引っ越しになるといいですね!
■ 今日のまとめ
- EU28カ国の研究では、日常生活インフラ(医療・保育園・ジム・公共交通など)へのアクセスのしやすさと幸福感に正の関連が見られたが、その影響は男性より女性で広く見られた。
- 男性で幸福感との関連がはっきり示されたのは「医療施設」と「ジム」のみで、女性はほぼすべての施設でプラスの関連があった。特に保育園(0〜2歳)と障がい者センターで男女差が最も大きかった。
- 今回の調査は「実際の距離」ではなく「主観的なアクセスのしやすさ」を測定しているため、公園のように物理的には近くても主観的使いやすさに差が出る施設は結果に影響した可能性がある。
■ 出典・注意事項
- 出典:Everyday Life Infrastructure Impact on Subjective Well-Being in the European Union: A Gender Perspective, Societies, 2024/9/16, https://www.mdpi.com/2075-4698/14/9/184
- 注意事項①【相関と因果】:この研究はインフラへのアクセスのしやすさと幸福感の「関連(相関)」を示したものであり、インフラが幸福感を直接引き起こす(因果関係がある)とは言い切れません。
- 注意事項②【対象集団の限界】:データはEU28カ国の2015年調査(BGEIP調査)に基づいており、日本を含むEU域外の国々にそのまま当てはまるとは限りません。
- 注意事項③【主観的測定の限界】:インフラへのアクセスは「主観的なアクセスのしやすさ」として測定されており、実際の物理的距離や客観的な利用可能性とは異なります。
研究自体の紹介はこちら😊
日常生活インフラの主観的幸福への影響
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-09-19-1726783802/