はぴテク相談室:CEOが幸せな会社は、コロナのような危機的状況かでも、より合理的な経営判断が出来
はぴテクさん、こんにちは。私、小さな会社を経営しているんですが、最近コロナ禍のころを振り返ると、あの時期ってほんとうに毎日不安で、判断がブレブレだったなと思って…。経営者って、メンタルの状態って経営判断に関係あるんでしょうか?
こんにちは!それ、すごく大事なテーマですね。実はまさにそこを研究した論文が出たばかりなんです。ポーランドのワルシャワ証券取引所に上場している企業のCEO・255人を対象にした研究で、「CEOの幸福度がコロナ禍の経営判断や株価の安定性にどう関係するか」を調べたものです。
おお、それは気になります!結果はどうだったんですか?
まず面白いのが、「CEOが幸せだと株価が上がる」という結果ではなかったんです。でも、「コロナ禍という嵐の中で、株価が安定しやすかった」という傾向が見られました。つまり、幸福度が高いCEOのいる会社は、危機のときにパニックになりにくく、価格の乱高下が抑えられていた、ということなんですね。
なるほど…。でも「幸福度が高い」って、どうやって測ったんでしょう?
良い質問です!研究では「生活満足度尺度(SWLS)」と「ポジティブ・ネガティブ感情スケール(PANAS-X)」という、心理学でよく使われる質問票を使いました。簡単に言うと、「毎日の生活に満足しているか」「ポジティブな気持ちが多いか、ネガティブな気持ちが多いか」を数値化したものです。
そういう「気持ち」の状態が、経営判断にどう影響するんでしょうか?
研究が示唆しているのは、幸福度が高いCEOは、リスクをより冷静に、バランスよく評価する傾向があったということです。コロナ禍のような不確実な状況でも、「過度に守りに入りすぎず、かといって無謀にもならない」という意思決定ができていた可能性がある、と論文は述べています。パニックや短期的な感情に流されにくかった、ということですね。
確かに、あの頃の自分を思い返すと、不安が強い日ほど「とにかく全部止めよう」ってなってたかも…。でも、それって「幸せだから判断が良い」のか、「会社がうまくいってるから幸せ」なのかって、どっちが先かよくわからなくないですか?
さすが!本当に鋭い視点で、この研究自体も「逆の因果関係の可能性」を限界として認めています。つまり、「株価が安定してるからCEOが幸せなのかも」という方向もあり得るということ。この研究は相関を示したものであって、「幸せが原因で判断が良くなる」と断定はできないんです。そこは正直に受け取ることが大事ですね。
正直に教えてくれてありがとうございます。ちなみに、この研究ってどんな会社を対象にしてるんですか?日本の中小企業にも当てはまりますか?
対象はポーランドのワルシャワ証券取引所に上場している会社のCEOなので、中小企業も含みますが、「上場企業」という点が特徴です。また、ポーランドという特定の国・文化背景のデータなので、日本の中小企業にそのまま当てはまるかは慎重に考える必要があります。ただ、「経営者の心理状態が判断の質に影響しうる」という視点は、参考にする価値があると思いますよ。
なるほど。じゃあ、自分みたいな経営者として、日々の幸福度を高めることって意味があるということでしょうか?
この研究が示唆しているのは、経営者の主観的な幸福度と、危機時の安定した経営判断には関連がある可能性がある、ということです。「幸福度を高めれば必ず経営がうまくいく」と断定はできませんが、自分のメンタル状態を大切にすることは、判断の質という観点からも無関係ではなさそう、という示唆は得られますよね。
そう聞くと、「経営者のウェルビーイング」って、自分だけの問題じゃなくて、会社全体に関わることなんだなと感じました。もっと自分のコンディションを意識しようと思います!
その気づきはとても大きいと思います!「経営者自身が整っていること」が、チームや組織の安定にもつながりうるという視点、ぜひ持ち続けてみてください。この研究はまだ発展途上の分野で、「行動コーポレートファイナンス」といって、経営者の心理と企業行動の関係をもっと深く研究していこうという動きも広がっています。今後の知見も楽しみですね!
■ 今日のまとめ
- 幸福度が高いCEOは、コロナ禍のような危機的状況でも株価の乱高下が抑えられる傾向と関連が見られた(ただし相関であり因果関係の断定はできない)
- 幸福度の高いCEOはパニックや短期的感情に流されにくく、よりバランスのとれたリスク判断をしやすい傾向が示唆された
- この研究はポーランドの上場企業CEOが対象であり、他の国・業種・非上場企業へそのまま一般化するには限界がある
■ 出典・注意事項
- Subjective Well-Being of Chief Executive Officers and Its Impact on Stock Market Volatility During the COVID-19 Pandemic in Poland: Agent-Based Model Perspective, Journal of Happiness Studies, 2024/8/22. https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-024-00800-4
- 【注意事項】本研究は相関研究であり、CEOの幸福度が経営判断の質を「引き起こす」という因果関係を証明したものではありません。逆方向の因果(業績がCEOの幸福度を高める)の可能性も研究自体が認めています
- 【対象の限界】調査対象はポーランドのワルシャワ証券取引所上場企業のCEO255名に限定されており、日本を含む他国・非上場企業・中小企業への一般化には慎重な解釈が必要です
- 【測定の限界】上場企業CEOへの自己申告式アンケートであるため、実際の企業慣行に関する回答の信頼性や、CEOの幸福度に影響する個人的・社会的要因をすべて統制できていない点も研究自体が限界として挙げています
研究自体の紹介はこちら😊
CEOが幸せな会社は、コロナのような危機的状況かでも、より合理的な経営判断が出来
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-08-24-1724536807/