はぴテク相談室:145カ国40万人弱のギャラップ世界世論調査における世界最大級の幸せ分析
最近、日本って幸福度ランキングで低いってよく聞くんですが、実際どうなんでしょう?なんか自分も毎日そんなに不幸せな感じはしないんですけど、でもなんとなく将来が不安だったり、人付き合いが疲れたりして…。
すごくリアルなご相談ですね!実はそのモヤモヤ、世界規模の研究データとぴったり重なっているんです。ハーバード大学のHuman Flourishing Programが、145カ国・約39万人を対象にした大規模調査(2020〜2022年)を発表しました。幸福度を「たった1つの点数」で測るんじゃなくて、38項目にわたって多角的に分析した、かなり画期的な研究なんです。
38項目!すごいですね。でも結局、日本って幸せなんですか?不幸せなんですか?
それがまさに面白くて、「一言では言えない」というのが答えなんです。この研究では、日本はものすごく高い指標と、ものすごく低い指標が混在しています。たとえば「心のやすらぎ」は世界2位、「悲しみの少なさ」は世界3位、「人生のバランス」も2位なんです。一方で、「将来への期待(将来の幸せ-現在の幸せ)」は144位で、アフガニスタンの次という…。
えっ、それは極端すぎる!今は穏やかなのに、将来には悲観的ってことですか?
そうなんです。今この瞬間は心穏やかで、ネガティブな感情(心配・悲しみ・痛み)も世界トップクラスに少ない。でも「これから先よくなるかな?」という期待感が極端に低い。あなたが「毎日そんなに不幸せじゃないけど将来が不安」とおっしゃったのは、まさにデータが示す日本の典型的な姿と重なりますね。
なるほど…。じゃあ人付き合いが疲れるっていうのも、データに出てますか?
出てますよ。「敬意を持って扱われているか」という項目で日本は140位(145カ国中!)。そして「誰かを助けるか」という利他的行動は、なんと145位、つまり世界最下位でした。これは「人と深く関わるのが苦手」「助け合いの文化が薄い」という傾向として表れていると研究では示されています。ただし、これはあくまで国レベルの集計データとの相関なので、個人差はもちろん大きいです。
世界最下位か…。なんか、少し傷つきますね(笑)。でも確かに、電車で倒れた人がいても見て見ぬふりしがち、みたいな話は聞きますよね。私も声をかけるのに勇気がいります。
その感覚、すごく正直で大切だと思います。この研究では、幸福を構成する9つの因子が見つかりました。その中に「市民的美徳(Civic Virtues)」という因子があって、寄付や他者を助ける行動が含まれます。面白いのは、この「誰かを助ける」という行動が、他の幸福指標とも関係している可能性があるということです。研究は相関を示しているもので、因果関係を証明しているわけではないですが、「つながり」と「幸福感」は無関係ではないかもしれない、という示唆はありますね。
9つの因子って、他にどんなものがありますか?私が気になる「人付き合い」はどこに入るんでしょう?
「社会的つながり(Social Connections)」という因子がありますよ。友人をつくる機会や、困ったときに頼れる人がいるかどうか、が含まれます。9因子は①生活評価、②バランスと調和、③ポジティブな日常経験、④ネガティブな日常経験、⑤健康と安全、⑥社会的つながり、⑦経済的安定、⑧仕事の満足度、⑨市民的美徳、です。日本は②バランスと調和がとても高い一方で、⑨市民的美徳と⑥社会的つながりの側面に課題があると言えそうです。
バランスと調和が高いのは意外でした。日本って過労とかストレスのイメージがあるので…。
そこが「一つのモノサシで測ると見えなくなる」ところですよね。この研究の一番の貢献は、幸福を一つの点数に圧縮せず、38項目で立体的に見せてくれたこと。過労やストレスは確かに問題かもしれませんが、「調和のとれた生き方をしている感覚」「今この瞬間の穏やかさ」は、日本人が世界トップクラスで持っている。それは本物の強みです。
なんか、自分のことを責めすぎなくていいんだな、って少し気が楽になりました。でも将来への悲観や、人を助けにくいっていう部分は、個人的にも変えていけるものですかね?
この研究は国レベルのデータの分析なので、「こうすれば個人が変わる」という処方箋を直接示しているわけではないです。ただ、9因子の中に「市民的美徳」や「社会的つながり」がちゃんと幸福の構成要素として組み込まれているのは示唆深い。つまり、小さな場面で誰かに声をかけてみる、誰かと協力する機会を持つ、そういった行動が「幸福の地図」の中に位置づけられています。あなたが「声をかけるのに勇気がいる」と気づいているだけで、すでに一歩進んでいると思いますよ。
ありがとうございます!日本人として複雑な気持ちもありますが、強みと課題の両方がはっきり見えて、なんかスッキリしました。
■ 今日のまとめ
- 日本は「心のやすらぎ・悲しみの少なさ・バランスと調和」で世界トップクラスに高い一方、「将来への期待・敬意を感じる・他者を助ける」で極めて低く、幸福は一言では語れない複雑な姿をしています。
- 幸福は1つのスコアではなく、生活評価・バランスと調和・社会的つながり・市民的美徳など9つの因子から成り立っており、どれかが高くても別の側面が低い国・人はたくさんいます。
- この研究は国レベルの集計データの相関分析であり、個人差は大きく、因果関係を示すものではありません。あなた自身の幸福の「地図」を多面的に見直すヒントとして活用するのがおすすめです。
■ 出典・注意事項
- Tyler J. VanderWeele et al. (2024). A multidimensional assessment of global flourishing: Differential rankings of 145 Countries on 38 wellbeing indicators in the Gallup World Poll, with an accompanying principal components analyses of the structure of flourishing. The Journal of Positive Psychology. Published online 2024/7/10. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17439760.2024.2370538
- 【注意事項】本研究はGallup World Pollの自己申告データを使用しており、回答者の主観や文化的な回答バイアスの影響を受ける可能性があります。
- 【注意事項】分析は国レベルの集計データに基づく相関関係の検討であり、個人レベルへの直接的な適用や因果関係の主張はできません。
- 【注意事項】調査期間が2020〜2022年(コロナ禍)と重なっており、結果が平常時と異なる可能性があります。
- 【注意事項】対象は145カ国ですが、各国のサンプルサイズや代表性にはばらつきがある場合があります。
研究自体の紹介はこちら😊
145カ国40万人弱のギャラップ世界世論調査における世界最大級の幸せ分析
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-07-13-1720836605/