2024.07.04

はぴテク相談室:地方移住者の幸せの感じ方と居住継続意向の関係に関する研究

相談者

実は去年、思い切って地方に移住したんですが、最近「ここに住み続けていいのかな」ってモヤモヤしてきて…。移住してよかったのかどうか、自分でもよくわからなくなってきました。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは大事な気持ちですね。移住後にそういう揺らぎが来るのは珍しくないですよ。ちょうど、地方移住者が「住み続けたいと思うかどうか」に何が関係しているかを調べた研究があるので、一緒に見ていきましょうか。北海道の富良野市を対象にした2024年の研究です。

相談者

ぜひ聞かせてください!移住者って、地元の人と幸せの感じ方が違うんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。この研究で面白いことがわかっていて、移住者は地元住民に比べて「いろんなことに幸せを感じやすい」傾向があったんです。つまり幸せを感じるアンテナの範囲が広い。でも、それだけでは必ずしも「ここに住み続けたい」という気持ちには直結していなかったんですね。

相談者

えっ、幸せを感じているのに住み続けたいとは限らないんですか?それは意外です。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。重要だったのは「幸せを感じる場面や種類がたくさんある」かどうかでした。仕事に没頭する、趣味に打ち込む、仲間と一緒に取り組む、自然の美しさに触れる、とっておきの場所を見つける…そういった複数のチャンネルで幸せを感じられる人ほど、住み続けたいという意向と関係があったんです。

相談者

なるほど。ちなみにもっと具体的に「こういう人が住み続けたいと思う」みたいな特徴はまとまっていましたか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、研究では7つの特徴が抽出されていました。①得意なことがある、②今の生活や将来への不安が少ない、③積極的・意欲的に何かに取り組んでいる、④家族や友人と助け合う時間が十分にある、⑤家族の成長を実感している、⑥その土地ならではの自然や暮らしやすさに魅力を感じている、⑦住んでいる街に誇りを持っている、の7つです。

相談者

これを聞いて、私はいくつか当てはまるかも、と思いながら…でも「街への誇り」はまだあまり感じられていないかな。移住してまだ1年だと仕方ないですかね。

はぴテクさん
はぴテクさん

その感覚、とても正直だと思います。「街への誇り」というのは、外の友人に「そこに行きたい」と言ってもらえた時や、地域の人の気質のよさを感じた時など、日常の積み重ねの中で育まれていくものとして研究でも出てきていました。1年ではまだそういった体験が積みあがっていない段階かもしれませんね。

相談者

確かに。あと「得意なことがある」というのも気になりました。移住先で自分の得意を活かせているかどうかも関係しているんですかね。

はぴテクさん
はぴテクさん

研究ではそのスコアに差があったことが示されています。移住先で「自分には得意なことがある」という感覚を持てているかどうかが、継続居住意向と関係していたわけです。得意なことを発揮できる場や仲間がいると、「仲間と一緒に何かに取り組む幸せ」にもつながるので、幸せのチャンネルが増える方向にも働きそうですよね。ただ、これはあくまで関係性を調べた研究なので、「得意なことがあるから住み続ける」という因果関係が証明されたわけではないことは押さえておいてください。

相談者

わかりました。そう言われると、今の自分に何が足りていないというより、これから増やしていける「幸せのチャンネル」を意識してみればいいかもという気がしてきました。

はぴテクさん
はぴテクさん

それはとてもいい視点だと思います!仕事・趣味・人とのつながり・自然・土地への関心…どのチャンネルならすぐ広げられそうか、自分に問いかけてみるのも面白いかもしれません。「とっておきの場所を見つけた時」という項目もあったので、まずその土地をもっと探索してみるだけでも、何か変わるかもしれませんね。

相談者

「とっておきの場所」か、いいですね。週末に少し歩き回ってみます。なんか移住生活を楽しむヒントをもらえた気がします。ありがとうございました!

はぴテクさん
はぴテクさん

こちらこそ!移住後の揺らぎを正面から向き合っているのはとても大事なことです。幸せを感じるアンテナをいろんな方向に向けながら、焦らず暮らしを育てていってくださいね。

■ 今日のまとめ

  • 移住者は地元住民より幸せを感じやすい傾向があるが、それだけでは住み続けたいという意向には直結しない。幸せを感じる「場面の種類(チャンネル数)」が多いほど、継続居住意向との関係が見られた。
  • 継続居住意向と関係していた特徴は7つ:①得意なことがある、②将来への不安が少ない、③積極的に何かに取り組む、④家族・友人と助け合う時間がある、⑤家族の成長を実感している、⑥土地ならではの自然や利便性への魅力、⑦住む街への誇り。
  • 「住み続けたいか迷う」という揺らぎがある場合、自分がどのチャンネルで幸せを感じられているかを振り返り、まだ開いていないチャンネル(場所の探索・仲間づくり・得意の発揮など)を意識してみることが一つの手がかりになりうる。

■ 出典・注意事項

  • 出典:岡本和也ほか「地方移住者の定住促進に向けた基礎的研究:北海道富良野市を対象に」日本建築学会計画系論文集, 89巻821号, pp.1305-, 2024年7月 https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/89/821/89_1305/_pdf/-char/ja

  • 注意事項①:本研究は北海道富良野市の移住者を対象とした調査であり、他の地域や異なる属性の移住者にそのまま当てはまるかは不明です。

  • 注意事項②:本研究は継続居住意向との『関連(相関)』を分析したものであり、特定の要因が継続居住意向を『引き起こす』という因果関係が証明されたものではありません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
地方移住者の幸せの感じ方と居住継続意向の関係に関する研究
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-07-04-1720131783/

はぴテクさんのウェルビーイング相談室 やってみようありがとうなんとかなるありのままに 地域・自治体ウェルビーイング主観的幸福・幸福測定自然・環境とウェルビーイング

← 検索にもどる