2024.06.01

はぴテク相談室:ソーシャル・ビジネスにおけるパーパス形成に関する考察

相談者

最近、自分が何のために働いているのかわからなくなってきて…。会社の「パーパス」とか「存在意義」って言葉をよく聞くんですけど、なんかピンとこないんですよね。いきなり「あなたの存在意義は?」って聞かれても、答えられなくて。

はぴテクさん
はぴテクさん

それ、すごくよくある感覚だと思いますよ。「存在意義って何?」っていきなり聞かれても、なかなか言葉にならないですよね。実は、それに関連した面白い研究があるんです。北海道の「光生舎」という、障害者の自立を支援するソーシャルビジネスを長年にわたって調べた研究なんですが、「パーパス(存在意義)」はいきなり生まれるものじゃないということが示されているんです。

相談者

え、どういうことですか?存在意義って最初から決まってるものじゃないんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究によると、光生舎のパーパスは「志→目的→存在意義」という3つの段階を経て形成されていったことがわかったんです。まず最初にあるのは「志」、つまり「こうしたい」「こうありたい」という強い思い。それが土台になって、次に具体的な「目的」が見えてきて、そしてやっと「存在意義」が形づくられていった、という流れですね。

相談者

なるほど…。志が先にあって、存在意義はあとからついてくる、ということですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。光生舎の創業者である高江常男さんは、自身も障害者でありながら「障害者が自分たちの手で働く場をつくりたい」という強い志を持っていました。その志があったからこそ、「企業として授産施設を運営する」という目的が定まり、長年の活動の中で「障害者と健常者が助け合って自立を実現する場である」という存在意義が育っていったわけです。

相談者

じゃあ、私が「存在意義がわからない」って感じているのは、もしかして志や目的の部分がまだ固まっていないから、ってことかもしれないですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

その見方はすごく自然だと思います。この研究でも、存在意義はゴールとして最初に設定されるものではなく、志と目的の積み重ねの中から育ってきたものとして描かれています。もちろんこれはひとつの事例の分析なので、すべての人や組織に当てはまるとは言い切れませんが、「存在意義が見えないのは当たり前の段階かもしれない」と考えると、少し気持ちが楽になりませんか?

相談者

確かに…!なんか「存在意義がわからない=ダメだ」って思ってたんですけど、そうじゃなくて、まず志を考える段階なのかもって思えてきました。じゃあ、志ってどうやって見つければいいんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究の文脈で言うと、高江さんの志は自分自身の経験や痛みから生まれていました。「自分が感じた不便さや悔しさを、誰かのために変えたい」という思いがスタートだったわけです。なので、「自分が何に悔しさや怒りを感じるか」「何がもっとよくなってほしいと思うか」というところから考えてみるのは、ひとつの手がかりになるかもしれません。

相談者

自分が感じた痛みや悔しさか…。確かに私も「なんでこんなに非効率なんだろう」とか「もっとこうなればいいのに」って思うことはあります。それが志につながるんですかね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そういう感覚、大切にしてみてください。この研究では、光生舎のソーシャルビジネスが「志→目的→存在意義」という経路依存的な流れ、つまり過去の積み重ねが次のステップに影響していくプロセスで発展したことが示されています。日々のちょっとした「これおかしいな」「こうしたいな」という感覚が、長い目で見ると大きな目的や存在意義につながっていく可能性があるということですね。

相談者

なんか、すごく気が楽になりました。「今すぐ存在意義を見つけなきゃ」って焦ってたんですけど、まず自分の志を大切にしていけばいいんだって思えてきました。光生舎のお話も、すごく心に響きます。

はぴテクさん
はぴテクさん

光生舎、本当に素敵な取り組みですよね。創業者の自伝をもとにした映画のダイジェスト動画も公開されているので、よかったら見てみてください。「企業授産」という考え方が日本全国に広がったのも、最初の志があったからこそ。あなたの「なんとかしたい」という気持ちも、きっと大切な志の芽だと思いますよ。

相談者

ありがとうございます!存在意義は最後にやってくるものなんだって思ったら、今の自分を否定しなくてよくなった気がします。まず自分の志を丁寧に育てていこうと思います。

■ 今日のまとめ

  • パーパス(存在意義)はいきなり見つかるものではなく、「志→目的→存在意義」という段階を経て形成されていくことが、光生舎の事例研究で示されています。
  • 「存在意義がわからない」と感じるのは、まだ志や目的を育てている段階である可能性があり、焦る必要はないかもしれません。
  • 自分が感じる悔しさや「こうなってほしい」という思いが、志のヒントになることがあります。日々の小さな感覚を大切にしてみましょう。

■ 出典・注意事項

  • 出典:松田陽一・他「ソーシャル・ビジネスにおけるパーパス形成に関する考察―北海道光生舎の『企業授産』を事例に―」日本経営倫理学会誌 第31号, 2024年5月30日(J-STAGE掲載)

  • 注意事項①:この研究は北海道光生舎という特定の1組織を対象にした事例研究(物語分析)です。すべての組織や個人のパーパス形成に同じプロセスが当てはまるとは限りません。

  • 注意事項②:「志→目的→存在意義」という順序はこの事例から導かれたものであり、因果関係を証明したものではなく、あくまで当該事例における経緯の分析です。

  • 注意事項③:研究対象は創業から約20年間の組織の歩みであり、個人レベルでの応用には別途検討が必要です。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
ソーシャル・ビジネスにおけるパーパス形成に関する考察
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-06-01-1717282809/

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