2024.06.01

はぴテク相談室:持続可能性概念から企業に求められるサステナビリティ経営の本質とメカニズム

相談者

うちの会社でも「サステナビリティ経営をしていこう」という話が出ているんですが、正直、何をすればいいのかよく分からなくて…。SDGsとかESGとか言葉はたくさん出てくるのに、結局何が本質なのか掴めないんです。

はぴテクさん
はぴテクさん

それ、すごくよく分かります!実は「サステナビリティ」という言葉自体、研究者でも企業でも定義がバラバラで、混沌としているというのが正直なところなんです。長谷川(2024)という研究でも、その概念の曖昧さこそが企業が何をすべきか分からない原因だと指摘されていますよ。

相談者

そうなんですね。では、そもそもサステナビリティってどういう意味なんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では、持続可能性という概念がどうやって生まれてきたかをきちんと掘り下げていて、その「全体像」を整理しています。一言で言うと、サステナビリティとは環境・社会・経済の三つが長期的にバランスよく続いていける状態のことです。そして企業に求められるサステナビリティ経営については、「どうしたら経営が社会全体の幸せの総和を増やせるかを考え抜くこと」(水村2021)という定義がとても本質を突いていると紹介されています。

相談者

「社会全体の幸せの総和を増やす」…それは素敵な考え方ですね。でも、具体的に企業はどう動けばいいんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では「パーム油」という、私たちの身近な食品や日用品にたくさん使われている油を事例に取り上げています。パーム油はとても便利な一方で、農園開発による熱帯雨林の破壊や、現地の人々の人権問題など、現代のサステナビリティ課題が凝縮された素材なんです。

相談者

パーム油って、そんな問題を抱えているんですね。それで企業はどう対応しているんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

日清食品、ハウス食品、花王、ユニリーバといった企業が、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)という国際的な認証の仕組みに関わっている事例が紹介されています。ただ、各社の取り組みの深さや本気度には差があって、「認証を取ればOK」という形式的な対応と、「サプライチェーン全体を見直す」という本質的な対応では大きく異なると研究は示しています。

相談者

形式的か本質的かの違い…。では、本質的なサステナビリティ経営って何が違うんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究が企業倫理の観点から強調しているのは、「自社の利益を守るためにサステナビリティを使う」のではなく、「社会全体の幸せの総和を増やすことを経営の核に置く」姿勢の違いです。つまり、サステナビリティを「リスク管理のツール」や「PR手段」として使うだけでなく、経営の意思決定そのものの中心に据えることが求められている、ということです。

相談者

なるほど…。でも正直、「社会全体の幸せ」って言葉は美しいけれど、実際のビジネスの現場では理想論に聞こえてしまうこともあって。どこから手をつければいいか迷いますね。

はぴテクさん
はぴテクさん

その迷いはとても自然だと思います。この研究が示すヒントとしては、まず「自社の事業が社会や環境にどんな影響を与えているか」をきちんと把握することが出発点になるということです。パーム油の例でいえば、単に「調達先を認証品に変える」だけでなく、「なぜその問題が起きているのか」「自分たちがどの段階で関わっているのか」を考え抜くことが重要だとされています。

相談者

自社の影響を把握することから始める、ということですね。でも、それを社内でどう進めればいいか…。

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では、企業倫理の観点から「サステナビリティ経営は経営者だけの問題ではなく、組織全体の価値観として根付かせることが重要」という点も示唆されています。つまり、トップが方針を示すだけでなく、現場の人も含めて「社会全体の幸せにどう貢献できるか」を一緒に考える文化を作っていくことが、長期的な経営の強さにつながると考えられています。

相談者

組織全体の価値観として根付かせる…。難しそうですが、本質が分かると少し道筋が見えてきた気がします。ありがとうございます!

■ 今日のまとめ

  • サステナビリティ経営の本質は「社会全体の幸せの総和を増やすことを経営の核に置くこと」であり、PR手段やリスク管理ツールとして形式的に使うだけでは不十分とされています。
  • パーム油のように一つの製品にも環境・人権・経済の課題が複雑に絡み合っており、サプライチェーン全体を見渡す視点が企業には求められています。
  • サステナビリティ経営は経営トップだけでなく組織全体の価値観として根付かせることが重要であり、まずは「自社の事業が社会・環境にどんな影響を与えているか」を把握することが出発点になります。

■ 出典・注意事項

  • 長谷川浩司「持続可能性概念から企業に求められるサステナビリティ経営の本質とメカニズム」日本経営倫理学会誌, 31巻, 2024年5月30日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jabes/31/0/31_201/_pdf

  • 【注意事項】本研究は概念整理と企業事例の考察が中心であり、特定の経営手法の効果を統計的に検証したものではありません。紹介された企業事例はあくまで例示であり、各社の取り組みの優劣を断定するものではありません。

  • 【注意事項】サステナビリティの定義は研究者・機関によって異なるため、本研究の枠組みがすべての文脈に当てはまるわけではありません。自社の業種・規模・地域によって適切なアプローチは異なります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
持続可能性概念から企業に求められるサステナビリティ経営の本質とメカニズム
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-06-01-1717210810/

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