はぴテク相談室:感謝する人も、される人も、ワークエンゲージメントとパフォーマンスが高い❗
最近、職場の雰囲気がなんかギスギスしてる気がして…。みんな自分の仕事だけやって、なかなか助け合えてないんですよね。どうしたらいいんでしょう?
それは悩みますよね。実は2023年に発表された日本の研究で、職場での「感謝」がその問題に関係しているかもしれないという面白い結果が出ているんですよ。
感謝ですか?「ありがとう」って言うだけで何か変わるんですか?
そうなんです!正木郁太郎先生の研究によると、感謝を「する」人も「される」人も、ワークエンゲイジメント(仕事への活力・熱意・没頭感)と、文脈的パフォーマンスというものが高い傾向があったんです。
「文脈的パフォーマンス」って何ですか?難しそうな言葉ですね。
簡単にいうと、「自分の担当業務の範囲を超えて、周りを助けたり協力したりする行動」のことです。チームワークや助け合いに近いイメージですね。これが低いと、誰の担当でもないことが放置されてしまって、職場が回らなくなってしまうこともあるんです。
なるほど!まさにうちの職場がそれかも。でも、感謝する側とされる側で、どっちの方が効果が大きいとかあるんですか?
それが興味深いところで、この研究ではワークエンゲイジメントと文脈的パフォーマンスへの効果について、感謝する側とされる側で統計的に有意な差は見られなかったんです。つまり、どちら側でも関連がみられたということです。
じゃあ、感謝する方もされる方もどちらも大事ということですね。でも、なんで感謝されると仕事への意欲や助け合いにつながるんでしょう?
研究では二つの説明が挙げられています。一つは、感謝されることで「自分がちゃんと誰かの役に立てた」という自己効力感や社会的な価値の感覚が高まるから、というもの。もう一つは、感謝を通じて相手との関係性が深まり、職場の対人関係が豊かになるから、というものです。
感謝する側の場合はどんなメカニズムなんですか?
感謝を「する」場合は、感謝の気持ちがポジティブな感情を伴いやすく、そのポジティブな感情が思考や行動の幅を広げる、という「拡張—形成理論」という考え方で説明されています。感謝することで周りへの関心や支援意欲が高まりやすい、ということですね。また、感謝の気持ちには向社会的な動機づけを高める働きもあると言われています。
じゃあ、職場でもっと感謝を伝え合うようにすればいいんですね。でも、テレワークで直接会わないし、なかなか機会がないんですよ…。
実はその点もこの研究で触れられているんですよ。テレワークの拡大で感謝を交わす機会が減ったことが、職場の対人関係のぎこちなさや助け合いの減少につながっている可能性も考えられると指摘されています。対策として、「サンクスカード」のような取り組みで感謝を可視化するのも一つの方法として挙げられていました。
サンクスカードか…それはうちでも取り入れやすそうです。あと、気になったんですが、感謝を送る側と受ける側のバランスって関係ありますか?
鋭いですね!この研究では「応答曲面分析」という手法を使って、感謝の表明と受領の量が一致しているとき、つまりお互いにバランスよく感謝し合っているときに、ワークエンゲイジメントへの効果が見られたことも示されています。一方的に感謝するだけでなく、双方向で感謝を交わし合える職場づくりが大切かもしれませんね。
なるほど、一方通行じゃなくて、お互いに感謝し合う文化を作ることが大事なんですね。まず自分から意識的に「ありがとう」を伝えてみようと思います!
素晴らしいですね!ただ一つ補足すると、この研究は相関関係を示したもので、感謝が直接ワークエンゲイジメントや助け合いを「引き起こす」と断言はできません。でも、数ある職場改善のヒントの一つとして、意識的に感謝を伝え合う試みはとても自然なアプローチだと思いますよ。
■ 今日のまとめ
- 職場で感謝を「する」人も「される」人も、仕事への意欲(ワークエンゲイジメント)と周囲を助け合う行動(文脈的パフォーマンス)が高い傾向があり、その差は統計的に有意ではなかった
- 感謝する側は「ポジティブな感情による思考・行動の拡張」、感謝される側は「自己効力感・社会的価値の認識向上」や「対人関係の深まり」がそれぞれ背景にあると考えられている
- テレワーク等で感謝を交わす機会が減りがちな現代では、サンクスカードなど感謝を可視化する仕組みや、お互いがバランスよく感謝し合える職場文化づくりが有効な手段の一つとして示唆されている
■ 出典・注意事項
- 正木郁太郎(2023)「職場において感謝がワークエンゲイジメントと文脈的パフォーマンスに与える効果:応答曲面分析を用いた検討」『社会心理学研究』39(1). https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/39/1/39_2116/_html/-char/ja
- 【注意事項】本研究は横断的調査に基づく相関研究であり、感謝行動がワークエンゲイジメント等を直接引き起こすという因果関係を示すものではありません
- 【注意事項】対象は特定の日本企業・組織の従業員であり、結果の一般化には限界があります
- 【注意事項】感謝の頻度は自己報告に基づいており、認知バイアスの影響が含まれる可能性があると研究内でも指摘されています
研究自体の紹介はこちら😊
感謝する人も、される人も、ワークエンゲージメントとパフォーマンスが高い❗
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-08-27-1693173610/