2026.01.28

はぴテク相談室:笑うから、幸せになる。は正しかった!?

相談者

最近、気分が落ち込むことが多くて…。友達に『無理やりでも笑ってみたら?』って言われたんですけど、そんな簡単なことで本当に気分って変わるんですかね?なんか嘘くさくて信じられなくて。

はぴテクさん
はぴテクさん

その気持ち、よく分かります!「無理やり笑っても意味ないでしょ」って思いますよね。実はこれ、科学の世界でも長〜い間ずっと議論されてきたテーマなんです。最近、理化学研究所のグループが脳の仕組みを直接調べた研究を発表して、面白いことが分かってきたんですよ。

相談者

え、脳で調べたんですか?どういうことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい!fMRI(えふえむあーあい)という、脳のどこが活動しているかをリアルタイムで見られる装置を使ったんです。参加者に感情的な映像を見てもらいながら、脳の動きを記録しました。すると、まず『表情を司る脳の部分』が活発になって、その後に『感情や主観的な気持ちを司る脳の部分』が活発になる、という順番が見えてきたんです。

相談者

へえ!つまり、笑顔を作ると、脳の中で『感情』が後からついてくる感じ、ということですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そう、まさにそういう流れが脳内で観察されたんです。具体的には、口角を引く動き(笑顔の動き)が起きると、大脳辺縁系や体の感覚・運動に関わる皮質が動き始めて、次に主観的な感情(気分)に関わる脳のネットワークが反応する、という順番が確認されました。これは昔から言われていた『顔面フィードバック仮説』——表情を作ると感情が変わる——を脳の仕組みの面から支持する結果なんです。

相談者

でも、以前に『笑っても幸せにはならなかった』って研究もあったって聞いたことがある気がするんですが…?

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭いですね!実はこの仮説、1988年に最初に提唱されてから、ずっと「再現できる/できない」の論争が続いていたんです。2016年の大規模な追試では「笑っても幸せにならなかった」という結果が出ました。さらに2022〜2023年頃の研究では、『笑ったら幸せになると信じている人には効果があるけど、信じていない人には効果がなかった』という結果も報告されています。

相談者

じゃあ信じている人だけに効くってこと?なんか都合よすぎませんか(笑)

はぴテクさん
はぴテクさん

(笑)おっしゃる通りで、研究者たちも首をかしげていたんです。ただ、今回の理化学研究所の研究は「信じる・信じない」に関係なく、脳内のネットワークの動き方を直接観察したもの。ひとつの解釈として、『笑っても幸せにならないぞ!』と強く意識的に反発していると、脳内で別の反応が起きてしまって、効果が打ち消されていた可能性も考えられますね。ただ、それはまだ推測の段階ですが。

相談者

なるほど…。じゃあ、気分が落ち込んでいる時に、ちょっと口角を上げてみるのって、やってみる価値はあるかもしれないってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

今回の研究結果からは、表情と感情の間に脳内でそういった流れがある可能性が示されています。ただ、これはあくまでfMRIで脳の動きのパターンを見た研究なので、『笑えば必ず幸せになる』と断言できるものではないんです。相関や順序の関係が見えたという段階で、魔法の解決策ではありません。でも、ちょっと意識してみる、くらいの気軽さでやってみるのはアリかもしれませんね。

相談者

確かに。あまりプレッシャーに感じずに、気が向いたらやってみる感じで良いんですね。ところで、どんな表情でもいいんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

今回の研究では、特に口角を引く動き(笑顔の動作)と感情反応の脳内ネットワークの関係が調べられています。悲しみや怒りに関係する表情も含めて感情との結びつきが分析されていましたよ。つまり、表情と感情はかなり密接につながっている可能性が示されているんです。

相談者

なんか、自分の表情って意外と大事なんですね。意識したことがなかったです。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです!感情って「気持ちが先にあって表情に出る」という一方通行のイメージが強いですよね。でもこの研究は、表情から感情への流れも脳内に存在することを示唆しています。まだ研究は途上ですが、表情と感情は双方向的に関わっている可能性があるということ、ちょっと面白くないですか?

相談者

面白いです!今日話してもらって、「ちょっと笑顔を意識してみようかな」という気になりました。ありがとうございます!

■ 今日のまとめ

  • 理化学研究所の脳科学研究(fMRI)により、脳内では『表情に関わるネットワーク』が先に活動し、その後『主観的な感情に関わるネットワーク』が動くという順番のパターンが観察されました。
  • これは昔から議論されてきた『顔面フィードバック仮説(表情が感情に影響する)』を脳の仕組みの面から支持する結果ですが、あくまで脳活動のパターンの観察であり、『笑えば必ず幸せになる』と断言できるものではありません。
  • 気分が落ち込んだ時にちょっと口角を上げてみる、というのはプレッシャーなく気軽に試せる行動として参考にできますが、効果には個人差や状況による違いがある可能性があります。

■ 出典・注意事項

  • 【論文】Wataru Sato, Takanori Kochiyama, Nobuhito Abe, Kohei Asano & Sakiko Yoshikawa, 'Neural network dynamics associated with facial and subjective emotional responses', Communications Biology, 2025/12/14. https://www.nature.com/articles/s42003-025-09361-5

  • 【プレスリリース】理化学研究所「感情に伴う表情と主観経験の脳内ネットワークを解明 ―顔の表情が喜び、悲しみ、怒りなどの感情経験を生み出す―」2026/1/28. https://www.riken.jp/press/2026/20260128_1/index.html

  • 【注意事項①】本研究はfMRIによる脳内ネットワークの活動パターンの観察研究です。脳領域間の活動の順序(動的因果モデル)が示されましたが、これは相関・順序関係の推定であり、直接的な因果関係の確定ではありません。

  • 【注意事項②】実験は感情的な映像を見るという特定の条件下で行われており、日常生活のあらゆる場面に結果をそのまま当てはめることには限界があります。

  • 【注意事項③】2022〜2023年の先行研究で見られた『信念による効果の違い』と今回の結果の関係は、まだ十分に解明されておらず、研究者による推察の段階です。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
笑うから、幸せになる。は正しかった!?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-01-28-1769599625/

はぴテクさんのウェルビーイング相談室 なんとかなる 神経科学・生物学的基盤感情・レジリエンス

← 検索にもどる