はぴテク相談室:一人当たりGDPと主観的幸福度
最近、ニュースで日本の経済成長の話をよく聞くんですが、結局お金が増えたら幸せになれるんですかね?なんか実感が湧かなくて…
すごくリアルな疑問ですね!実は2024年にPLOS ONEという学術誌に、まさにそのテーマを扱った研究が発表されたんですよ。中国の31の省を11年分のデータで分析したものなんですが、興味深い結果が出ています。聞いてみますか?
ぜひ聞きたいです!経済が成長したら幸せになれるんですか?
結論からいうと、「なれるけど、思ったよりずっと効きが弱い」という感じです。一人当たりGDP(国民一人あたりの経済的豊かさの指標)が約47%も増えても、幸福度(1〜7点のスケール)は0.38〜0.51ポイントしか上がらなかったんです。7段階のうちの0.4ポイントって、かなり小さいですよね。
えっ、47%も増えてその程度なんですか!じゃあ何が幸福度に効くんでしょう?
それが「格差」なんです。ジニ係数という格差を表す指標が0.09増えると、幸福度が1.47ポイントも下がる、という結果が出ています。GDPが47%上がっても幸福度が0.38しか増えないのに、格差がちょっと広がるだけで1.47も落ちる。格差の影響がGDPの影響をはるかに上回っているんですよ。
格差ってそんなに幸福度に関係するんですね…。ちなみに日本の格差ってどのくらいなんでしょう?
日本は2021年のジニ係数が0.381です。この研究では、ジニ係数が0.609を超えると、GDPがいくら増えても幸福度に有意な影響を与えなくなる、という結果も出ています。日本はそこまでは行っていませんが、格差の動向は気になるところですよね。
じゃあ今の日本はまだ大丈夫ってこと?
この研究のデータだけで見れば、日本の現在のジニ係数は「GDPの効果が消えるライン」よりは低いです。ただ、一点大事なことをお伝えしておくと、この研究は中国のデータをもとにしています。文化・政治・経済の背景が違う日本に、そのまま当てはめることには限界があります。あくまで「参考になる知見」として見てほしいんです。
なるほど。でもなんで格差があると幸福度が下がるんでしょう?
この研究では「なぜ下がるか」という仕組みまでは直接調べていないので、断定はできないんですが…一般的に、格差が大きいと「自分と他人を比べて不満を感じやすくなる」とか「社会への信頼感が薄れる」といったことが影響すると言われています。ただあくまでこの研究の範囲で言えるのは、『格差の拡大と幸福度の低下に関連がある』という点です。
面白いですね。ということは、個人レベルでも「自分の収入を増やすより、周りとの格差を気にしないようにすることの方が幸福感に関係しそう」ってことですかね?
鋭い視点ですね!ただ、この研究はあくまで「省レベル」や「国レベル」のマクロな話で、個人の行動についての分析ではないんです。なので「個人としてどう生きるか」への直接的な示唆は、この研究からは言えません。ただ、社会全体の格差が幸福度に関連しているという大きな流れは、知っておく価値がある知見だと思います。
そうか、社会全体の話なんですね。でも自分が暮らす社会の格差を知っておくことは大事そう。今日は勉強になりました!
ですね!経済が豊かになることと、みんなが幸せになることは、自動的にイコールではない。格差がどう変わっていくかも合わせて見ていくことが大切かもしれません。今日の話を少し頭の片隅に置いておいてもらえると嬉しいです😊
■ 今日のまとめ
- 一人当たりGDPが約47%増えても幸福度の上昇は小さく、経済成長だけが幸福を大きく押し上げるわけではないことが示されています
- 格差(ジニ係数)の拡大は幸福度の低下と強く関連しており、GDPの影響をはるかに上回る関連の大きさが確認されています
- ジニ係数が0.609を超えると、GDPの増加が幸福度に有意な影響を与えなくなるという結果も出ており、格差の水準が重要な要因である可能性が示されています
■ 出典・注意事項
- 出典:Gao et al. (2024) 'Exploring socioeconomic and social media indicators: An eleven-year panel data analysis', PLOS ONE, 2024年4月10日公開。https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0301206
- 注意事項①:本研究は相関分析であり、GDPや格差が幸福度を『直接引き起こす』という因果関係を示すものではありません
- 注意事項②:データは中国本土31省のSNS投稿をもとに幸福度を推定したものであり、日本を含む他国への一般化には限界があります
- 注意事項③:幸福度はSNS上のテキストデータから機械学習で推定されており、直接的な調査回答とは異なる可能性があります
- 注意事項④:分析はマクロ(省・国レベル)のデータに基づくものであり、個人レベルの行動や選択への直接的な示唆を与えるものではありません
研究自体の紹介はこちら😊
一人当たりGDPと主観的幸福度
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-04-14-1713132009/